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カテゴリー  作者: 七賀ごふん


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22/38

#22



影山は僅かにびくっとしたが、口端を結んで小さく頷いた。


「……大丈夫です」


声は思いのほか力があったが、目を合わそうとしない。

これで大丈夫なら、会ったばかりの頃の彼はどうなる。以前も何度も思ったことを思い出し、大きなため息をついた。これは自分に対して。

「えっと……その前に品場さん、どうしてここに」

「いいから。行くぞ」

彼の腕を掴み、この場を離れようとする。しかし彼は動くことを拒んだ。

「俺は大丈夫なので、先に帰ってください」

「はっ!? お前、この状況で何言ってんだ」

驚きのあまり、つい強い言葉で返してしまう。しかし彼の意思は揺るがず、手を振り払おうとしてきた。

「何でだよ。ここに居るわけにいかないだろう?」

「それは、そうなんですけど……とにかく離してくださ……あっ」

綱引きのように引っ張り、踏ん張りの攻防戦。我ながら何やってんだと思ったものの、影山の方がバランスを崩して倒れそうになった。慌てて手を伸ばし、彼の身体を支える。

「あぶな……おい、大丈夫か?」

「大……だから、は、離し……っ」

腕の中で、影山は息を荒くしている。見れば頬が紅潮して、明らかに様子がおかしかった。

具合が悪い、というよりこれは……。


「影山、お前もしかして」

「違います!」


悲痛な叫びが吹き抜けの廊下に響く。彼の状態は分かりかけていたが、今また里川が出てきたら面倒だ。今度は本気の力で影山の腕を掴み、そして引いた。

「ちょっとだけ頑張って歩いて」

確かすぐ裏に小さな公園がある。一回行ったことがあるので知っていた。

そこには公衆トイレがある。

「あ……し、なばさ……っ」

幸い男性トイレの個室は空いていた。そこに狼狽える影山を押し込み、鍵をかけた。電灯がついているにも関わらず、トイレの中は酷く暗い。夜はあまり使いたくないな、なんてどうでもいいことを考えながら……影山のベルトに手を掛けた。


「ちょっと! 何してんですか!」

「お前、勃ってるんだろ?」


どストレートに訊くと、彼は哀れなほど顔を真っ赤にした。

「そ……うですけど。分かってるなら尚さらほっといてくださいよ。前から思ってたけど品場さんってデリカシーないです!」

「そりゃ悪かったな。今回のは全部、デリカシーを意識しての行動なんだけど。……柄にもないことするとやっぱり空回りしちゃうな」

苦笑して言うと、影山も困ったように目を逸らした。声を潜め、少しでも距離をとろうと後ずさる。




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