#17
本人はもちろん、周囲の人間の意識改革をしないと始まらない。消極的な人が増えたことを問題視し、過激な対策や治療ばかり考えるより、多くの人の偏見を取り除く方がずっと重要だ。
理解を得るのにどれだけの時間がかかるか分からない。それでもできることから始めよう。さっそく明日にでも……。
仕事のスケジュールを確認していると、スマホの着信音が鳴った。画面を表示すると、以前別の部署に異動した同期からだった。
『よう慎也。元気?』
「あぁ。そっちは?」
『もちろん元気! 元気過ぎて困るよ!』
相変わらずハイテンションで、ポジティブの鑑のような青年だ。話が長くなりそうな気がして椅子に腰掛ける。
『驚かないで聞いてほしいんだけど、俺結婚するんだ。慎也には絶対結婚式来てほしいんだけど、どうかな?』
「絶対って言ってる時点で拒否権ないじゃんか。まぁそれはさておき、おめでとう。もちろん出席するよ」
良かったー! と声が返ってくる。以前から恋人と結婚を考えていると聞いていたので、むしろやっとか、という感想だった。
彼も同じ仕事の為、たくさん相談し合って乗り越えてきた中だ。そのせいか、少し距離ができてしまう気がして寂しくなる。それでも彼には好きな人と幸せになってほしいから、精一杯祝福したいと思った。
『ところで慎也は今良い感じの相手いないのか?』
「いたら良いよな」
『お前昔から仕事一筋だもんな。それも良いけど、お前って色々考え過ぎるとこあるじゃん。何か支えてくれる人がいればいいのにな』
支え……。彼の言ってることは分かる。でも今は自分が誰かを支えることしか頭にない。それは職業柄……いや、職業病だ。
「支えてやりたい奴なら、いるかもしれない」
『マジ? なになに、詳しく!』
友人はすごい食いつきだ。興奮しているけど、自分でも今の感情がよく分からずにいるから上手く返せない。




