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カテゴリー  作者: 七賀ごふん


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15/38

#15



こんな感情は初めてだった。

高揚して、謎のやる気が湧いて、何とかしないと、という焦りが生まれている。

他人はもちろん、自分を宥めるのも中々至難の業だと知った。


「品場さんに色々話せて良かったです。明日からまた頑張るつもりなので、宜しくお願いします」


影山は深くお辞儀して、乱れた襟を直した。そして立ち去ろうとしたけど。


『────明日から頑張ります』。


いつかの明るい声が蘇る。笑顔で話して、自ら暗い場所に落ちていった青年のことを。

気付いたら前へ踏み出して、影山の腕を掴んでいた。

「ど、どうしました?」

「いや、その……」

引き止めておいて二の句が継げず、視線を足元に落としてしまう。いや、これじゃ駄目だ。どう思われてもいいから伝えよう。

「頑張る……なんてのは、言わなくてもいい。辛くてしようがなくなるぐらいなら、頑張らないでくれ。……頼む」

無理しないでほしいと言いたかっただけなのに。結果として、何とも奇妙なお願いをしてしまった。


「わかりました」


どんな反応をされるか冷や冷やしたものの、影山は笑って頷いてくれた。

ホッとしたと同時に、何故かさらに胸が締め付けられた。彼の笑顔があまりにも明る過ぎたからだろうか。

でも、ここで微笑む彼は本当に心根が優しい青年なのだと思う。

「というか、品場さんこそゆっくり休んでくださいね。いつも思うんですけど、疲れた顔してますよ」

「あ、あぁ……」

触れようと思えば触れられる距離だ。気付くと右手が不自然に上がっていたので、さりげなく引っ込める。

それより本当に、俺の言ってることが「わかった」んだろうか。もっと突き詰めた方が良いのかもしれない。

……けど、それによって溝が深まることを恐れた。


「……また明日」

「はい。お疲れさまです!」


翻るロングコート。遠のく足音。

影山の後ろ姿がどんどん小さくなる。


でも、言うべきことは言ったよな……。




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