変わらない想い
ぼくたちはあっという間に高校生になった。今もまだ理想のあの人には出会えてないけど、いつか出会えるはず…、だよね?
「みる〜?いつまで寝てんの?置いてくよ?」
ぼくの兄、苺原みく。顔は同じだけどしっかりもので現実主義な人。小さい頃から、あの人の話をすると露骨に嫌な顔をするので、兄の前ではあまり話題に出さないようにしている。
「あーん、くーちゃん待ってよ〜!手伝って〜!」
泣きそうになりながら身支度していると、ため息を吐きながらなんだかんだ手伝ってくれる。本当はとっても優しいことも知ってる。本人には言わないけど。
「ほんとにみるは手がかかるよね。もう高校生なんだからさ。いい加減自分の身支度くらいちゃんとしなよ?」
「うん…。ごめんなさい。」
結構ネチネチしてるところはちょっとだけ嫌い。
「くーちゃん、みぃちゃん!うめちゃんが迎えに来てるよ!」
いつもこんな兄妹喧嘩を仲裁してくれるのがぼくたちのお母さん、もも。美人で優しいけど、怒らせるととっても怖い。
ぼくたちの朝は毎日忙しい。でも平和だ。
「みくち、みるち!おはよ!準備できた?みくちもちゃんと叩き起こさないとダメでしょ〜!」
ネチネチうるさい兄に喝を入れるのはぼくたちの幼馴染、春川こうめちゃん。大雑把でサバサバしている。ぼくたちはみんな「うめちゃん」って呼んでるし、うめちゃんも自身を「うめ」って呼ぶ。
「ちゃんと起こしたよ、でもみぃがさ…。」
「ひどい!くーちゃんだって今日寝坊してたのに!」
「あーもう、続きは後にして!」
三人でこうしてドタバタ学校生活を送っていくんだろうなって、思ってた。
だけど、突然ぼくたちの生活に大きな変化が起きた。




