高校生の日常
俺、鈴木連は現在、吉田愛の家に来ていた。
今、目の前でスナック菓子を食べている少女が吉田愛。
華奢で金髪のストートヘア。
「ねぇ、鈴木、私の実家ってゴキブリのお腹の中だと思うの」
吉田はスナック菓子を食べるのをやめ、真剣な顔で唐突にそんなことを言った。
……いつも通り変な事を言っている。
「……俺が毎日ツッコむと思ったら大間違いだぞ」
「いや、ボケてない、真剣だよ」
………。
「………吉田、風邪引いてるんだな、ゆっくり休めよ……」
「いや、平熱」
………。
「……いや風邪を引いたということにしとこう、そうじゃないと馬鹿認定されるぞ、お前」
「馬鹿認定……馬と鹿を飼うことが認められるってことか!」
………。
俺はその言葉を無視し。
「で、なんでゴキブリのお腹の中が実家だと思うんだ?」
「……ふっふっ、よく聞いてくれたね」
「本当な、俺よく聞いたわ、俺すごい」
「まぁね」
と頬を赤くする吉田。
「なんでお前が照れるんだよ!?」
「何でゴキブリのお腹の中が実家かというと…!」
無視しやがった!
別に良いんだけどね!
俺もさっき無視したし!
「私、今朝、鏡見たんだけど鼻の穴からゴキブリの触覚が出てきてたんだよ……!」
満足そうな表情を浮かべる吉田。
「……えっ!?話終わり?」
「終わり」
終わった。
全然理由になってないぞ。
あとそれ多分鼻毛な。
「あっ!まだ終わってない!あともう1個ある!」
「おー!」
流石にまだ終わってないみたいだ。
俺としたことが。
焦りすぎたな。
「夢の中で神様が言ってた、あなたはゴキブリのお腹の中が実家って」
まさかのご神託。
なんていらないご神託だ。
「帽子被っててサングラスかけてた、あとチェゲラ♪チェゲラ♪とかも言ってた」
「それ神様じゃなくてラッパーだ」
「お金1円もないぜ♪仕事しない♪親のすねかじるの楽しい♪って言ってた」
「それただのニート!!」
「まぁこんな感じかな!」
「どんな感じだよ!?もっとましな理由持ってこいよ!」
「ましな理由………3×9=51とか?」
「27な、あとそれ理由じゃないぞ」
「………ぐすっ、ぐすっ、私、馬鹿だから鈴木に迷惑かけてる……そういえばあの時もそうだったな……」
「急に泣いて急に回想シーン入った」
「特に何も無かった」
「何も無かったんかい!」
「ぐすっ、鈴木ごめん、ぐすっ」
「いやいや、別に泣くことじゃないぞ」
「……許してくれる?」
「……お、おぉ、許すっていうか……別に迷惑かけられた覚えがないぞ……」
「本当!?良かったぁ~、この前鈴木に借りてた漫画なくしたし……」
「おっと?」
「鈴木が大事にしてたお皿割っちゃったし……」
「おっと!?」
「昨日、鈴木の持ってるフィギュア全部壊しちゃったし……」
「………」
「でも全部許しくれるってことでしょう?」
「………」
「……す、鈴木、どうしたの?」
「……この……大馬鹿者がぁぁあーー!!」
俺はこの後長時間、吉田のことを叱ったのだった。
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