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名門というものは〜1年春の大会〜

過去に秋の神宮大会、春のセンバツ、夏の甲子園優勝の経験がある、福岡県の九重国際付属。

近年は甲子園には出場するも優勝から遠ざかっていた。

そんな中、新高校1年生になった15名が入部してきたのであった。

近年3年連続夏の甲子園に出場を果たした九重国際付属。

しかしながら2年前の夏準々決勝まで行ったのがベストであった。

7年前。俺はテレビで夏の甲子園決勝を見ていた。

その時九重国際付属が秋、春と連続優勝し、夏優勝まであと1つと言うところまできていた。

当時のエースであった内田投手を中心とし守りも固く、特に打撃面では大会打率1位を残した。

決勝戦は白熱し、9回にサヨナラ勝ちで3冠を達成したのだ。

そこから九重国際付属に憧れを持ち始めた。

中学時代には全国大会に出場しベスト4の成績を収め、北海道から九重国際付属に入部することが出来たのであった。




「集合!」監督の号令と共に選手が集まる。

「監督の小田だ。今日から新1年が入部する。1人ずつ自己紹介をしろ」

15人の新入部員が挨拶を始めた。

「北海道の函館から来ました榎本です!ポジションはピッチャーです!よろしくお願いします!」

そう挨拶したのは榎本政宗だ。

左投左打の技巧派の左腕。変化球が多彩でスライダー、カーブ、スクリュー、フォークを持ち球にしていた。

MAXは135キロを投げ込む。

その他の有望株としてキャッチャーの稲田、ショートの出口、外野手の丸山と言ったメンツが揃っていた。

中には留学生投手カイケルも入部したのだ。

「春の大会まで1ヶ月。昨年夏の甲子園に出場してから秋は地方大会で負けた。1年も実力があるとレギュラーにする。」監督はチームに激を飛ばした。



4月中旬初の練習試合が行われた。

この夏にかける思いが強い3年生。

エースは3年の右腕野口が勤めている。

野手陣を見るとプロ注目の1番松家、3番長谷部、4番松浦を筆頭に2年生の外野手山本、内野手原口と行った面々がオーダーに連ねた。

試合は大分の強豪明王に3-4で負け。

2試合目は2番目を勤めていた3年末岡が先発。

しかし、乱調も重なり5回6失点と結果を残せない。

そんな中監督は思い切った決断をする。

「キャッチャー柳沢に代わって稲田!」

6回から1年の稲田にマスクを被らせたのだ。

「いいか?結果は求めない。思いっきりプレーしてこい!」そう背中を押した監督。

末岡はここから開き直り、2イニングを6人パーフェクトに抑え込んだのだ。

そして8回「ピッチャー榎本!」1年生バッテリーを組ませたのである。

「点差は気にするな。今のお前達の実力を出してこい!」

バッテリーはガッチガチの中、ランナーを許すも

稲田の好返球で盗塁を刺したり、打たせて取るピッチングでバックにも助けられ2イニングを0に抑え込んだのだ。




5月中頃、ついに春の大会が始まった。

その間、練習試合は10戦4勝6敗と負け越した。

何が足りないのかそして勝ちにこだわるために監督は選手達にこう告げた。

「3年生。自覚がない。特にバッテリー。名前を出すと柳沢。お前はキャッチャーとして下級生から出てるがその程度なのか?投手の良さを引き出そうとしているか?」と問いかけた。

4勝した内、3勝は稲田がマスクを被って勝ったのだ。

バッティングでも.220と不調に陥っていたのだ。

最後にはメンバー発表も行われ、背番号2は1年稲田が着けることになった。

1年生からは背番号10で榎本、14で出口、17で丸山、18でカイケルが背負い5人がベンチ入りしたのだ。

練習試合でも榎本、カイケルは結果を残し特にカイケルは中継ぎで0失点、12イニング中20奪三振とノビのあるストレートで三振の山を築いたのだ。

榎本は2試合に先発し緩急をうまく使いながら打たせて取るピッチングを披露。連投はなくてもゲームを作る能力を発揮。

出口はショートや外野で途中出場し、10打数4安打と結果を残した。

丸山は守備の上手さから守備要因としての出場が多かった。

春の大会は決勝まで計5試合を行う。

チームは準決勝で強豪大原学園にサヨナラ負けを喫した。

稲田の好リードを始め、投手陣は接戦に強くなっていったが打線がチャンスをモノにできなかったのだ。

試合後監督は「夏に全てを賭ける。しっかり短期間で仕上げます。」と記者に話帰宅した。


試合の次の日。ミーティングが行われた。

「昨年の新チームから昨日までの結果を踏まえ、チームを大きく変える。キャプテン長谷部。副キャプテン松浦、松家。以上3人だけ残れ。そのほかは練習にいくように!」監督はこの3人だけ残した。

「お前ら3人はスタメンで使う。しかし、他の3年生に関して。野口をエースから外す。2年の野村に背番号1を与える。あとは1、2年で固める。この事は後日俺から告げる。」監督は夏の構想について話をしたのだ。



6月最後の週。

練習試合も12戦9勝3敗と結果が出た。

特に投手陣は2年生サウスポー野村が一冬超えて成長した。ストレートのキレ、変化球のキレが昨年より増したのだ。

1年も負けていない。榎本、カイケルの両左腕は点を取られながらもゲームを作った。

2年からも野村以外に右腕の内田が火消しのリリーフを見せたりと成長をみせた。

また、二刀流の岡が主に野手ながら投手としても存在感を見せてきた。

しかし、3年の野口の状態だけが上がらない。

先発してもリリーフでも1試合2、3失点は当たり前の状態だったのだ。

以前の変化球のキレ、ストレートのノビが消えていたのだ。

打線も4番に1年横山を座らせた。

これが功を奏したのか、1番松家、2番長谷部でチャンスを作り、3番松浦がタイムリーやホームラン、4番横山もタイムリーなど線になっていったのだ。



夏の大会5日前。背番号発表当日。

「このチームを常勝軍団にする為、この夏4年連続夏の甲子園に出場する為チームの最善を尽くすメンバーを考えました。発表します。」

20人の発表が始まった。

俺は1年ながら背番号10を貰った。

3年生は15人中松家、長谷部、松浦、野口の4人しか貰えなかったのである。

泣き崩れる3年生。

「今回のチームは若いチームでいく。特に3年生はベンチ入りしてない11人の分もしっかり背負え。」小田監督はそう言い放った。

選手間ミーティングではキャプテン長谷部が

「お前らはやるだけだ。結果を残したのは16人の1、2年生なんだ。しっかり自信持ってプレーして欲しい。後半勝てたのも特に1年の稲田のおかげだ。ありがとう。県大会6試合絶対勝って甲子園きめるぞ!」と激を飛ばした。


1回戦の相手は大会2日目の3試合目で中洲高校。

首脳陣はどんなオーダーを組むのか

大会までの仕上がりを各々噛み締めて試合まで待つのであった。










春の大会準決勝でサヨナラ負けを喫した九重国際付属。

夏のメンバーも16人が1、2年生と若いチームに仕上げてきた。

4年連続夏の甲子園出場を賭けていざ試合が始まる。

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