08. 新人、大大大歓迎会!!
――――さらに、数日後。
「お前は何故、俺がここに縛り付けられているかわかるか」
「わからない」
俺の問いに、答えられない№400。
我が組織「オリエント」の本拠地にて。
唯一無二、唯我独尊を駆ける救世主の俺は今――――椅子にくくりつけられ、身動きが取れない状況にいる。
自分からこうなったわけではない。断じてな。
「―――これは、仕来りだ。仕方ねえ、やらせてやるよ。№400」
俺は、頭を下に向け№400に捧げる。真下を向いた俺には、足元しか見えない。
「かけろ」
「何をすればいいのか、よくわからない。もっと詳細な説明が欲しい」
「新入りは、ボスの頭に熱湯を掛ける。これが、我が組織の仕来り。今回は、現ボスの一条が拒否ったから、俺がその宿命を受ける」
「君は素直に受け入れたのか」
「一条は、これをやったら、俺をボスに戻すと言ってからな。断れなかったんだ。いい、いい。同情とか、そういうのいいから。やるなら早く、やっちまえ」
「君はボスで、僕は新入り。そんなこと、できない」
「そういうこと言ってっと、こっちはこっちで、この椅子から解放されないんだよ! いいからとっとと、やってくれ!」
「君がいなければ、僕は誕生していない。そのことを考えると、君は僕の父に当たる存在でもある。そんな君をぞんざいに扱えるわけがないだろう」
「だっかっらーッ! そういうの良いんだってば! 早くやれって言ってんだ、ろ」
下を向いていた顔を、上にあげれば。
大きなバケツに入った何かを、こちらに向ける№400。
「お、おいおいおいおい、ちょっと待てよ。その量はさすがにやばいって」
「了承は、得た。もう僕を止められる者はいない。さあ、受けよ!」
「「 ベリー・ホット・ウォーターッ! 」」
「うああああああああああああああああああああ!」
コイツ! カタカナ英語で決めたようなこといいやがって! テメェ、何も決まってねえからなァ!
「うおっあっつ! あっつ! あっつ! おい鷹司! 水風呂どこだ!」
「なしでいいって言ったの、ボスじゃないですかぁ」
ふわっとした感じの、男性。鷹司が、ふわっと現れる。(丸みのあるべっこうのメガネがチャームポイント)
「そ、それは!」
~回想~
「ボス、今回は水風呂用のレジャープールを買う時間がないので、なしでもいいですか?」
「ああ? あー、うーん念のために買ったほうがよくないか? ア○ゾンでポチれば、すぐ届くだろ」
「それはそうですが、今まで水風呂が必要になるほど熱くて多いお湯を掛けることなんてなかったじゃないですか。だいたいコップ一杯程度……」
「うーん……それもそうか。んじゃ、買わなくていい」
~回想終了~
「って話だったじゃねえか! ハメたなッ、鷹司! 他の奴らも! お前ら、俺が戻ってくるなり、ハメやがって……ちくしょう! お前ら、縄を解け! そして直ちに俺を乾かせ!」
「はーい」
鷹司は、うふふと笑う。俺を取り囲み、ドライヤーで乾かされる。
こんな姿で格好つけても、示しがつかんだろが!
俺には、このあと超重要な役目がある。そのためにも身だしなみはしっかりしておきたい。
「ごっほん……」
我が仲間達により、しっかり乾かされ、服も綺麗にされ、義手義足も新調してもらった完全な俺は、№400の前に立った。
室内を照らしていた明かりをすべて消し、カーテンが自動で開かれる。
四面から光が入ってくる。この場所は、全ての壁が窓になっているからだ。
「シオン」
俺がそう呼んだことに、№400改め、シオンは驚いていた。
「お前は、この組織に入ったんだ。つまり、お前は俺の家族。家族を、識別番号で呼ぶ奴はいない。バディとして、血のつながりある家族として、我が組織『オリエント』の新入りとして、お前を迎え入れよう」
義手の手を、シオンに向けた。
でもシオンは少し戸惑っているように見えた。
自分なんかが、この手を掴んでいいものか、と。
「おわっ」
ドンッと、背中を押されるシオン。
聞いたこともない声が、彼からした。後ろを振り向く彼に、一条はウインクして見せた。
シオンは、俺の手を掴んだ。
「ああ、ええっと……」
俺でもびっくりするほどに、緊張するシオン。手袋越しに、かすかに震えている。
「……あの、よろしくおねがい、する」
自分のデータを基に作られた、量産型クローン。
同じ顔、死んだ目、蒼い髪。同じ顔、死んだ目、蒼い髪。同じ顔、死んだ目、蒼い髪。同じ顔、死んだ目、蒼い髪。同じ顔、死んだ目、蒼い髪。同じ顔、死んだ目、蒼い髪。
「―――――全然違うじゃねえか」
思わず笑った。
「やっぱ気に入ったわ、お前!」
面白くなって、シオンの背中を叩いた。
「うわっ君! 突然びっくりするじゃないか! 僕は人との接触にあまり慣れていない! 気安く触らないでくれないか!」
「うっせえ、新入りは黙ってボスの言うこと聞け」
「……現ボスは、私ですけどね」
ぼそりとつぶやく、一条だった。
「ボス――っ! お客さんですよ~!」
そう言う、メガネの一員。
俺は、その客を迎え入れようと扉へ向かう。
現れたのは車いすに乗った少女。
「ユキ!」
走って駆け寄る俺と、喜ぶユキ。
このあと、新ボス会を開いたとか開いていないとか。まあとにもかくにも、新入り歓迎会は何とか成功したわけで。
皆さんこんばんは!週一投稿ではpv数は減る一方であることを確認した、夏神ジンでございます!!
pv数……めちゃくちゃに減りました!このままではいけない!でも毎日投稿は絶対的に無理!なので、週二投稿にいたします!(何度も変わりすみません!)
火曜日金曜日に投稿するのは変わらないのですが、この曜日の朝はこの作品「プラズマハッピーエンド」を、夜に「ジャンヌダルク」の方を投稿していく形式に代えさせて頂きます!!
最後に、読んで頂きありがとうございました!ぜひぜひコメント、ブックマーク等々よろしくお願いします!!!