06.10%+α
「――――残念だったな」
胴から腕が生え、それが剣を止めた。起き上がった俺は、にやり笑ってやった。
胴だけだった体には、いつの間にか四肢が付き、地面に音を立てて落ちる義手義足。
腕がある。足がある。包帯を外せば、右目も見える。
「久しぶりの腕だな」
手を開いたり、握ったりしてみる。動作に問題はない。
自己再生能力が、戻ったのか? いや、それだけじゃない。全ての能力が戻っている。
何故だ?
俺はまだ奴らから四肢を取り戻したわけじゃない。なのに、全てが元に戻っているなんて。
自分自身今の状態が、よくわからない。なにより。
『起動が遅い。あと少し遅れていたら、僕の努力が水の泡だった』
内側から声がする。しかも声から察するに正体は、№400だ。
こんなことは、初めてだ。
「うっせえ! 俺の中で黙って働け、このアリが!」
『僕は働きアリじゃない! どっちかって言うと、女王アリだ!』
なんで突然元気になってんだ、コイツ。
無表情でぼそぼそ何かを呟いていた奴が、突然陽キャになる始末。謎なことは多い。
だが今は、疑問を呈している場合じゃない。
「……この体、使えんだな。ならこのまま一気にやらせてもらうぞ」
『マスターの赴くままに』
№400は、そう言うと接続を強化した。
その様子を見て、ガーネットは驚愕した。
「―――なんなんだよ、コイツら」
そりゃ驚くだろう。先ほどまでぐちゃぐちゃに、めちゃくちゃに滅多刺しにしていた相手が、完全復活しているのだ。
「やれ! やれ、やれ!」
ソフィアが指示をする。彼女もまた焦っていた。
「能力を使って、奴の動きを止めるのだ!」
ガーネットが、透明化し近づく。
気づかぬうちに近づかれ、剣を振るう。俺の腹部に刺し跡が付く。
「それがどうした」
刺してくれたおかげで、どこにいるのかすぐわかる。ガーネットの額に人差し指を置くと、俺はそこに小さな電流の球体を作りだした。
「エンテオス」
額にそれがぶつかった瞬間にビームと化した電流が、ガーネットを襲う。
「がはっ」
ガーネットはビルにぶつかり、動かない。
「一人ノック。武器持つ必要もなさそうだな。つまんねぇな。こんなもんだったか、ジャンクって」
「行け行け……行けぇぇぇっ!」
また、ソフィアの少女が指示を出す。
ソフィアは、様々な形状の剣を生み出し矢のように放ち、ククリは近接で槍を入れる。
右から、左から、後ろから、剣が降ってくるのを避ける。
そして、その避けた位置に、降りかかってくる槍。
すさまじいコンビネーションだ。
「ん?」
確かにコンビネーションは素晴らしい。
だが、俺は確かにそれを避けている。
しかしいつの間にやら傷ができている。
「……お前の能力は、時を止めるんだったか」
俺は気づかぬうちに、俺自身の時間を止められていたらしい。
「うおっ」
いつのまにか、四本の槍が俺の心臓に突き刺さっていた。
ソフィアにより武器製造、ククリの時止め。
なるほど。
「心臓だけではだめだ! 脳を狙え、ククリ!」
ソフィアは必死になって、言う。
ククリは上から、脳へと槍を刺す。
「脳の機能を停止した程度で、心臓を刺した程度で、俺の動きが止まると思うか? 人間じゃないんだ」
脳から血が、噴射する。が、すぐ止まる。槍は、俺の手によって受け止められる。
「それ」
俺は、槍を掴んでククリ目がけて投げる。
「―――、止められない!」
すさまじい速さで飛んでいくそれを、ククリは止められず体で受け止める。
ククリは、目で見たものを、写真のように脳に取り入れ、その上で物体を止めている。
逆に言えば、直視でコマ切れにできないものは止めることが出来ない。
あっという間にに対撃破した俺は、最後の獲物に取り掛かる。
「何かにぶつけるのが一番いいな。すぐ終わる。さ、お前の番だ」
ソフィアは怖がり、震える。戦評が覆り、狼狽えたか?
「来るな、来るな、来るな!」
その反応が疑問だった。戦略重視の、司令官。自分はほとんど戦わず、傷つきもせず。
殺されることを恐怖する。
そういうやつは、俺のコピーにはいない。みんな好戦的だから。
「まあいい。ほーら、来いよ。来ないならやっちまうぞ」
俺は、ククリの槍をスタンバイさせ、ゆっくりと近づく。
「ッひ、やめろ! 来るな! 来るな!」
泣き叫ぶソフィア。
「おいおいまさか、ここにきて日寄ってんのか。ボスってのは、どーんと構えてるもんだろ。仲間やられてんのに、自分は生きてるなんて……情けないとか思わねえのか」
『君が言えた義理ではないが』
内からの声がささやく。
「ごっほん!」
五月蠅いアリは、黙らせて。
「おーい、何か言ったらどうなんだ―――――――あァ?」
突然黙り込んだ。不自然だ。
「ふん」
首を持って、顔を見やる。心ここに非ず、と言ったところか。
ソフィアの目は曇り、感情が見えない。怖がらせすぎたのか?
「―――――――ミ」
ソフィアの口が微かに開く。
「なんだ?」
いち早く何かに気付いた№400が、声を出す。
『君、今すぐその子から離れろ』
「あ?」
『……直感ですまない、だが何かがこちらに向かっている!』
「だから、何言ってんだ、ここには何も」
「「「 ツキナミッ! 」」」
もっともっと改良を重ねたい、夏神ジンでございます!この間まではストックで何とか食いつないでいたのですが、現在は全くストックがありません!毎日なんとか書いているような感じです。正直言って、キツイ!マジキツイです!ですので、毎日のように投稿しては手直しして、を繰り返していくことになると思います!ですので、前話ではこんなこと言ってなかった、とか突然知らないキャラと話してる!? 等々起こるかと思います!それでも読んでいただけたら幸いです!(ほんとにすみません)
最後に読んでいただきありがとうございました!よろしければブックマーク、コメント、などなどよろしくお願いします!