05. №400のウルトラC
「―――――僕のとっておきが役立つ」
ニヤつきながら、№400は言った。
続けるように、№400は言う。
「君、僕とキスできるかい?」
はあ?
「無理に決まってんだろ! 何言ってんだテメェ!?」
当り前に無理だ。俺には大切な人がいるんだぞ!
「唾液は接続したときの線が、強力で切れにくいから良いんだけど……まあ血でもいい」
№400の言っていることが全く理解できず、俺の頭の上にはクエスチョンマークが浮かぶ。
№400は俺に小さな声で耳打ちした。
「僕が隙を作る。その間に距離を取ろう。君と僕を接続する。行くよ」
……まさか、さっきの話は本当なのか!? やめてくれよ……
そうは思いつつ、打開策がそれしかないのなら受け入れるしかない――――――、のか!?
「とりゃとりゃとりゃ―――っ!」
ガーネットの大剣が№400目がけ、空から降ってくる。
うまく躱せなかった№400の腕に大剣が刺さる。
それを見たククリが、さらなる追い打ちをかけるように槍を投げ、瞬息で迫る。
「っおい!」
二人同時に攻撃しようとした瞬間、俺は№400に手を引っ張られ宙にとんだ。
「お前、腕は大丈夫なのかよ!」
俺は№400に言う。
№400の左腕は無く、また腹部には槍が刺さっていた。
距離を置いたとはいえ、すぐさま迫りくる彼ら。
「時間がない。悪いけど、動かないでくれ」
そう言って、№400は俺の頸筋に短刀を入れた。
「いッ……!?」
短刀はそのままぐぐっと入っていき、傷口を押し広げていく。
「……よし、いいだろう」
№400は、短刀を抜いて俺の傷口に手を置くと、静かに言った。
「―――接続」
突然、№400の指先から光る糸のようなものが現れ、それが傷口の血とつながった。
血もまた、糸のようになり№400とつながる。
体中が光り、それと同時に何かに汚染されるのを感じた。何かが、入ってくる。
「あ、あ、あ――――――――――――――――」
それは、様々な記憶。
―『初めまして、№400。僕の名前は、近衛夕陽です。あなたのママです。よろしくね……って突然言われても困るよね、男のくせにママなんて……あ、ははは』
夕陽と、№400がいる。俺は、こんなことは知らない。もしかしてこれは、№400の記憶なのか?
―――『やあ、久しぶり。この顔で思い出したかな。僕が、誰かってこと。随分とやってくれたじゃないか。僕を神の座から引きずり落とし、神になり、それでいて二度も世界を改変するだなんて。でも、残念だったね。こんなことになるなんて。じゃあ改めて、やあ! 久しぶり! お前の事を、殺しに来たよ』―――――――――――――――――――――――――――――。
蒼く長い髪を持ち、玉座に座る少女と、黒い髪に黒い瞳の少年。
『あなたが、あなたが隣にいてくれれば、それだけでよかった。あなたと共にある未来が欲しかった。もっと早くに知っていれば、もっと早くに気付いていれば――――――――」
処刑寸前の、女性が泣いている記憶。
これはいったい、誰の記憶なんだ。
―――――『あなたに逢うために、紡ぎ続けてきた。あなたがくれた大切な糸、私のところまで繋げてくれたあなたからの、糸。ずっと、あなたに逢いたかった』
―――『みんなと一緒にいたい。願いはそれだけ。でも……もしかして、それは私がいちゃ叶わない事なのかな』
『俺は元々人間、きらいなんだよ。滅ぼうが、何だろうが、もうどうだっていいんだよ』
『俺はもう、人類を救済しない』
最後のは、俺か。
ククリとガーネットは、何が起こったのかわからなかった。
「――おい、ククリ一人消えたぞ」
「……イレギュラーが起こったんだ」
ククリが言う。
「いやいやそんな馬鹿な」
ガーネットが笑う。
「早く殺せ。もし本当に何か起こったなら、即刻処理した方がいい」
ソフィアが外野から、つぶやいた。
「はいはい。わかったよ!」
アンは剣を上から、振る。
「ッ! ひいいいいいいいいいいいッ!?」
内側から声がする。しかも声から察するに正体は、№400だ。
が今までにないほど、怖がり叫んだ。
「―――――残念だったな」
グッドラック!嬉しさ満点、笑顔満点で、明日も元気に頑張りましょう!夏神ジンです!読んでいただき本当にありがとうございました。もしよろしければブックマーク、コメント等々よろしくお願いします!
それでは失礼!(スッ)