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14.少女は、救世主に願う

「あははははは! あははははは! あはははははははっ!」


 ガーネットは子供みたく、その場をくるくる回って笑った。


「すごいだろう! すごいだろう! すべて私が手配したんだ! 貴様との決戦のために」


 円形の、まるでスタジアムみたいな競技場。もとは実験を行うための部屋。

 そこを、どうやらガーネット改造したらしい。


 中央にはゴミの山が作られ、天井の裂け目からわずかに光が漏れている。当時は最新技術を入れに入れ込んだ作りになっていたが、今は吐きだめのように汚い。


「―――――俺を一人にして、始末するつもりか」


「まさしく! だか、それではつまらん。交渉しようと思ってな」


 ガーネットはもちろんその山の頂点に居座り、俺を見下ろしていたが、突然座り込んだ。

 奴には珍しく、戦いではなくお話合いをするらしい。


 元々持っていた俺のイメージとは全然違う。スクランブル交差点の時のように、俺を見た瞬間に向かってくるもかと思っていた。

 子供っぽい性格で、とにかく戦いをしたいのだと、そう思っていた。



「その前に、俺の質問に答えろ。そしたら交渉してやる」

「なんだ? なんでも聞いてくれ!」

「―――さっきの手は、俺をここまで連れてきたあの手は、ツキナミか」


 その問いに、ガーネットははっきりと答えた。


「ああ! まさしく! 私には権限がないのでな、あの一回限りしか使えないのだが」

 権限? ツキナミはすでに動ける状態にあり、誰かが所有し、支配しているのか?

 もしそうだとしたら、強敵になりうるだろうな。


「それから、この研究所の職員は今どこにいる」

「いない」

「何故?」

 俺が壊したのは、第四研究所だけだ。他の研究所には何ら影響はなかったはずだが。


 ガーネットは俺の質問に、自慢げに答えた。


「なぜならば、私が全員殺したからだ!」

 わははは、わはははと、純粋な笑顔を浮かべる。 

 

 こいつ、平然と人を殺していたんだな。いや、有りえなくはないことだ。俺のコピーなら、そんなことをしていても、別に普通だ。


「……なるほど、だからここは廃墟と化し、警備も手薄だったわけか」



「もういいぞ、お前と『おはなし』してやろうじゃないか。まあ、大量生産品が、オリジナルと話そうなんて100万は必要になるがな」

 その言葉に反応し、一瞬権を握ったガーネットだったが、早々には乗らないようで。


「……今だけはその侮辱も受け止めてやろう」

 


「オリジナル、お前と交渉してやる」


「はあ?」

 いきなり何を言い出すのかと思えば、「交渉」?

 いつ、俺がそんなことを求めたと?


「私がお前から奪った右腕、それを返してやろう」


「なんだと?」 


「その代り、我々の側に付け」



「――――そんなこと、聞くわけないだろう」

 当り前だ。俺は人類を救う側だ。まして自分の腕を奪った奴を信用できるはずがない。 


 

「貴様は知っているだろう。私たちが、作られた理由を」


 ……ツキナミプロジェクト。 


「人間による最強を作り出す実験。そのために、ツキナミの器となり得るであろう俺のコピーを大量生産し、一体ずつ試しては殺していく」

 なんとも下劣な実験だ。


「お前は、その中でも数少ないエリートだったな。ガーネット」

 実験終盤、可能性が高い上位数名を主に候補に実験していった。


「だが、それももう終わりだ。ツキナミは完成しきった」



「―――私たちは、不要だ」

 

 俺は黙ったまま、何も言わなかった。


「不要になったジャンク品が、どうなるか知っているか? 捨てられるんだ。きっと最後は、ツキナミの腹の中。我々はツキナミの餌にでもなって、死んでいくんだ」



「だが、そんな終わりは受け入れられない」



「だから、オリジナル。私と手を組み、組織を内側から壊そう。私たちは、ともに利害が一致している。悪くない選択だと思うのだが、どうだ?」


 話は分かった。しかし。

「じゃあ何故それを今言う? 三人集まっていたあの時の方が、ずっと効率良いだろ」

 あの時の、まだ復活したばかりの俺だったら、まだ頷いたかもな。けれど、もう前とは違う。

 どれだけ劣情を煽ろうと、俺は靡かない。



「少なくとも私はそう思う、というだけだ。ククリもソフィアも、お前の事は恐怖の対象でしか見ていない。お前に殺されるくらいなら、まだツキナミの方がいいというもの」




「安心しろ。ククリとソフィアに関しては、どうとでもなる。どちらも、私が殺せばいいだけの話だからな」


 なるほど、やはり仲がいいわけではないのか。同族で、目的が同じであったからというだけだった。


「お前の方こそ、安心しろ。俺がお前と手を組むことは、これまでもこれからもありゃしない。せいぜい俺に、ぐちゃぐちゃに殺されることだ!」


「―――――」 

 俺の言葉を聞いて、完全に吹っ切れたのかガーネットは戦闘準備を始めた。大剣を持ち、軽くストレッチをして、立ち、俺を見下ろす。


「……交渉は、決裂したというわけか。残念だ」




「――――では、始めようか! 創造主(オリジナル)!」


皆さまこんばんわ!なぜか今日大量に投稿することになってしまった作家、夏神ジンでございます!!

なんと私!今日、引越しました!はい、びっくり!へとへとでべっどべどになりながら保存していたお話を再度推敲し、投稿しております……

そんな私を励ましていただける方、ぜひぜひブックマーク、コメント等をして頂けると幸いです……

最後まで読んで頂きありがとうございました!!

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