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そうして、歪みが収まった時現れたのは、
今まで見た部屋とはまったく違う部屋だった。
10畳程の小さな部屋だが、
白と金で統一された部屋は、厳かで神聖な雰囲気がしている。
そして、その中心にあるのが、
赤い大きな岩のような物、
これがスカルドラゴンの核だろう、
見つけた!後は破壊するだけだ!
エルフの姉妹と顔を合わせる。
「やるぞ!」
気合を入れ、剣を構えた。
ヴェーガ親方に作ってもらった特別な剣、
今まではとんでもない切れ味を発揮していた。
「はっ!」
核に向かって剣を振り下ろす。
カキン
剣が弾き返される、信じられない事に、
まったく核に傷1つ付けられない。
「セフィロス!頼む!」
セフィロスの卓越した剣技、それらをもってしても、
同じく核に傷1つつけられなかった。
「くそ!!!」
「私がやってみてもいい?」
エレナが声をかけ、びっくりする。
「エレナ?」
「どうして、私が選ばれたと思う?
もちろん、ハルトと知り合いだからって事もあるけど、
私はハイエルフで、エルフの中では、一番攻撃魔法が強いの」
でも、ジェネラルゴブリンに捕まっていたのでは?
と言う疑問が思い浮かぶ。
そんな俺の心の声を読んだかのように、
セスティナが続ける。
「エレナの魔法は制御ができないのです、
ひとたび魔法を使うと大災害になるので、
精霊王とエルフの長から魔法を使わないよう言われておりまして」
困ったように言うセスティナに、もう一度エレナを見る。
料理上手で甘えたで、まだ子供のようなエルフが大災害・・・
「こんな小さな部屋でそんな災害級の魔法を使って大丈夫なのか?」
びくびくしながら聞く俺に、エレナがえへんと答える。
「大丈夫!魔法は前にしか発動しないから、
後ろにいてもらえると、ダメージを受ける事はないよ」
その威力にちょっと気になりながらも、
「それでは・・・」
とお願いする事にした。
「私の後ろにいててね」
エレナが力を籠める、すると大気の風が巻き起こり轟轟と音を立てていく。
竜巻か!
日本なら、車は確実、家も吹き飛びそうな竜巻が起こる。
これは、確かに災害だな。
とんでもない威力の魔法に、これなら核が破壊できるかと、
かなり期待する。
しかし、
「そんな」
呟いて、エレナが尻もちをつく。
エレナの気持ちはわかる。
あれほどの竜巻だったにも関わらず、
スカルドラゴンの核は傷一つなく、その場に残っていたのだ。
魔法の威力が凄まじかったのは、見ていた俺が一番知っている、
その魔法すら、スカルドラゴンの核を破壊できなかったのだ。
セスティナも呆然としているようだった。
俺のあらゆる調合をした剣でも破壊できない、
エレナの魔法でも駄目。
もう打つ手はない。
落ち込み、涙ぐむエレナを慰めながら、その日は眠りについた。




