4-10
「何しに来たんだい」
ぼさぼさの眉で、目をぎらつかせながら、
ヴェーガ親方が恫喝する。
うーん、予想通り?
一応連絡はしたんだけどな~
「お久しぶりですヴェーガ親方」
そう言ってセフィロスは剣を見せる。
すると、ガンを飛ばしていたヴェーガ親方が、
ふにゃりと泣きそうな顔をする。
俺はそのあまりにもの変化に、
うおおおっと内心焦る。
「おお、あんちゃん、生きてたか!
仲間の為に命を張るって、心配してたんだ」
ヴェーガ親方は、セフィロスの事を、
しっかりと覚えていてくれたらしい。
「今は奴隷になり、この方に仕えています」
そう紹介されて、ぺこりと頭を下げる。
「奴隷だと!」
怒るヴェーガ親方に、ゆっくりと、
セフィロスが今までの経緯を説明していた。
「おおお・・おおうう」
ヴェーガ親方は、ぼろぼろと涙を流して、
セフィロスの話を聞いていた。
「そうか、大変だったの、
しかし、いい主人に会えたようだ、本当に良かった」
我が事のようにしみじみという親方に、
心が温かなドワーフなのだなと思う。
「剣か・・・つくってやりたいのはやまやまなんじゃが、
素材がのう」
「素材ですか」
武器を買うのではなく、依頼して作ってもらう場合、
素材を用意するのが普通なのだ。
「ご主人様!持ってる!」
マチルダが自慢そうに言う。
「強い武器を作るには、いくつかの素材を混ぜるのが、
一番なのだが、不純物がでる事も計算して・・・」
そう言って、紙に何か書き始めた。
それを受け取ると素材と、分量が書かれた紙だった。
「じゃあ、これで」
そう言って、アイテムボックスから素材を出すと、
文字通りヴェーガ親方はひっくり返った。
「はああああ?そうそう手に入らない素材も
あるのじゃぞ」
この世界に来て最初、ギルドの掲示板を見て、
沢山の依頼を一気に受けて、
アイテムボックスから出した時の反応を思い起こす。
「しかし、これは無理じゃろう」
そう言われて、再度渡されたのは、紙の指定だった。
「付与を行うのに必要な魔法紙じゃ」
そう言われて、アルテノン共和国で、
大量に紙を購入したのを思い出す。
確か魔法紙としても使えるって、
店員さん言っていたよな。
「これはどうですか?」
そう言ってアイテムボックスから段ボール1箱程出してみる。
「なんじゃーこの量は!!!!」
いちいちリアクションが大きなヴェーガ親方だが、
慣れればマンガの一コマを見ているようで面白い。
「これで、剣をお願いしたいのですが」
「セフィロス、お主の主人って・・・」
「慣れました」
その表情と声に、実はセフィロスも驚き、
呆れていたのだと、しみじみと実感する。
マチルダはヴェーガ親方の作品に興味しんしんらしく、
店内をじっくりと見て回っていた。
俺は剣を振ったり、いろんな動作をしたり、
ヴェーガ親方の満足するまで、
データを提供して剣を作ってもらえる事になった。
「ワシのとっておきを作ってやる、任せておけ」
親方と言われる、ドワーフのトップ。
剣を作る料金も良心的で、
もちろん、任せるしかないのだが、
あまりにものリアクションの数々に大丈夫かな?
と不安になってしまう。
しかし、3週間後受け取った剣は、
セフィロスの剣にも劣らない、一流の業物で、
やはり親方は凄いのだと実感した。
「本当にありがとうございます」
「なぜ、剣を作ったか分かるかい?」
理由を聞きたくて、わざと
「分かりません」
と答えた。
「俺は、誰かを助けてくれそうな人にしか剣を作らない。
部下を救ったセフィロスしかりな」
俺は、その言葉を驚きと共に聞く。
「単に、素材を持っていたからだけじゃない、
あんたは多くの人を救う人だ、だから剣を作った」
そう言われて、自分の手になじんだ剣が、
急に重くなった気がした。
「そんな立派な人じゃ・・・」
「そんな顔をする必要はない、
ワシがそう感じた事が重要なのだ、
気軽に剣を振るってくれ」
そう言われてウインクされる。
そのおちゃめな顔に、こちらも笑顔になる。
「ありがとうございます」
そう告げて、剣を収納した。




