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「少し庭でも歩いてきたらどうだ?」
「は、はい!」
ローレンスはマチルダをエスコートして、
手を繋いでいる。
赤い顔で、尻尾をピンと立てて、
いかにも緊張している風のローレンスと、
お友達が来たぐらいに思っているのだなと思うマチルダ。
温度差はあるが、子供2人が仲良く歩いて、
花を見ている姿は可愛らしい。
だんだん、ローレンスなら、
マチルダを幸せにしてくれるかなという気持ちになってくる。
散歩を終えた2人に、マチルダの部屋を案内する。
最初会ったばかりで、部屋を見せるのはどうかと思うが、
王宮の使用人たちが、部屋を見せないでどうするのですか!
と強引にスケジュールに組んでしまったのだ。
部屋に入ったとたん、ローレンスが言ったのが、
「この絵は!」
だった。
アルテノン共和国で買った絵は8枚、
今は最初に飾った5枚とは2枚入れ替えて飾っている。
俺にはまったくわからないが、マチルダにはこだわりがあるらしく、
季節や気分で入れ替えているようだ。
「私が欲しいと言って、ご主人様に買ってもらったの」
マチルダが自慢げに言う。
「作者は?」
ローレンスの言葉にマチルダが困る。
作者の名前は憶えていないようだ。
ちなみに俺も覚えていない・・・
「作者は分かりませんか!」
ローレンスの必死の表情に、確かサインをもらったなと思い出す。
「ローレンス、絵にサインがある、それを見てみるかい?」
「はい!お願いします!」
明らかに嬉しそうなローレンス。
王宮の使用人に指示を出して、
今は飾ってない絵を持って来てもらう。
「ガルティア・・・」
ローレンスの視点はサインに集中している。
「ディアール王国の有名な画家は網羅しているはずですが、
思い当たる人がいません・・・」
「アルテノン共和国で買ってもらった」
マチルダが自慢げに言う。
「アルテノン共和国・・・何としてもコンタクトを取らないと・・・」
ぶつぶつ言っているローレンスについ口を出してしまう。
「マチルダの名前を出せば、買いやすくなるはずだよ」
俺は絵を買った時の状況を話す。
確か連絡先も聞いていたはずだ。
「分かりました、ありがとうございます」
丁寧に礼をするローレンスに、好感度が上がる。
食器といい、絵といい、
マチルダの感性と合いそうだ、このまま話を進めてもいいかもしれないな。
そう思っていると。
いきなりローレンスが膝をついて。
「マチルダさん!結婚して下さい!」
といきなりローレンスがプロポーズをした。
「結婚?」
何の事かいまいち分かっていないマチルダに、
「一緒に住む事だよ」
と伝える。
すると、
「ご主人様と一緒にいれなくなるの?」
と言うので、
「結婚したらね」
と言うと。
「じゃ、結婚しない」
とマチルダはきっぱりと言った。
やっぱり今は俺といたんだなと嬉しい気持ちになると同時に、
ショックを受けているローレンスに、
「こんな事で諦めるぐらいなら、マチルダはやれないぞ」
と言うとすぐに立ち直っていた。
なかなか見込みがある青年だ。
マチルダが結婚しないと言った事に気を良くした俺は、
とりあえず、婚約だけは結んでおくかと決めたのだった。




