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それからしばらくして、暗くなったので眠るようにした。
感覚として、昼の時間が長いので、
日本の季節としては夏だろうか、
その割には暑すぎる事もなく快適。
ただ、昼間は過ごしやすいが、
夜野宿には、肌寒く感じる事があるので、毛布が恋しい・・・・
とは言っても、真冬で凍え死ぬとかではないので、
これぐらいなら、感謝するぐらいだと思う。
夜になったら、東京の夜空に比べると星が沢山見え、
惑星のような、大きな天球も見える。
ここが地球ではない事を、嫌でも感じさせる。
パネルによると、モンスターもいるようだが、
今の所遭遇した事はなく、むしろ自分以外誰もいない。
人間以外にも、エルフやドワーフなど、
種族があるようなので、これから出会えるのが楽しみだ。
そして、メインで調べていた街の情報。
この異世界は海に一つだけ島があり、
この島の名前がローデウス大陸らしい。
国のようなエリアが4つあり(きちんと境界がある訳ではない)
イメージとしては四国。
今いる所は高知県のイメージで、精霊王が治めている。
まず行く所として一番良さそうなのは、徳島に当たるディアール王国。
その上に香川に当たる所に、アルテノン共和国があるらしい。
ちなみに、愛媛に当たる場所は遺跡と書かれており、
かつて帝国だった所が滅んだようだ。
ここまで調べて、自分がプレイしたゲームの世界とか、
読んだ本の世界に来たとかだったら、
まだ知識を生かせるかもしれないと思ったけれど、
まったく心当たりもない。
日本で得た知恵が、どこまで通用するのか、正直不安な所だ。
今一番の問題は今いる世界樹の木から王国までの距離だが、
単位がこの国の単位らしく、まったく距離が分からない・・・が。
そういや定規があった!
すっかりお世話になっているアイテムボックスから鞄を取り出し、
その中の筆箱から定規を出す。
駄目で元々。
ドキドキしながら、パネルに単位の登録をしてみる。
すると、メモリの設定など細かい設定が出て、悪戦苦闘しながら、
センチ、メートル、キロなど登録していく。
上手くいってくれよ!
登録にかなりの労力を費やした俺は、脱力しながらパネルを見る。
その甲斐があって、異世界の単位が、
地球の単位でどのぐらいか、表示させる事に成功した。
世界樹から王国までの距離、72キロメートル。
よし!やった!!
思い通りに行った事に喜びながらも、
72キロメートルと言う距離にガクっとなる。
歩いて行ける距離じゃないよな・・・
水はある、木の実はある、一応生きてはいける、
しかし、できるなら他の物、できればお肉も食べたい。
世界樹の結界のおかげで、ひとまず身は安全かもしれないが、
一生このままここで過ごすのは、あまり嬉しくないな。
ちょこちょこ洗濯してはいるが、衣類も着ているものしか
ないのは今後不安だ。
とは言っても、すぐに打開策は思いつかず、
今まで通り、収集に注力する。
それから、最初は食料ばかり集めていたが、
ふとこれから調合するに当たり、
食料ではない草木も利用できるかもしれないと、
積極的に植物を採取している。
アイテムボックスにはかなりの種類の草木が集められたが、
容量無制限なので、どんどん追加していく。
ちなみに世界樹はどんな仕組みなのか不明だが、
採取した葉が次の日には元の通り枝についていたので、
遠慮なく収穫していった。
手当たり次第収穫していったので、4日目には、
近くにある植物ほぼ全ての種類を採取し終わっていた。