3-10
龍神様の一件が済んで、宿でゆったりしていると、
ルーディスから呼び出しがかかった、
マチルダの事で相談があると言う、
俺は急いで議会場へとむかった。
「偽物だもん」
マチルダが半泣きで言っている。
マチルダの前には短剣らしき物が置かれていて、
共和国の研究者は本物と言っていて、
マチルダは偽物と言っているらしい。
「共和国の権威ある機関が調査したのです、
間違いはありません!」
眼鏡で、身長の高い女性が、
キーキー声で抗議している。
「マチルダ、どうして偽物だと思うんだい?」
マチルダの前にかがみこんで、優しく問う。
「だって見えるんだもん」
見える?
一応気になってマチルダのステータスパネルを呼び出す。
*:..。o¢o。..:・*・:..。o¢o。..:・*・:..。o
力C/C 防御C/D 魔法C/B
収納B/A 警備D/D 統治C/B
鑑定S/SS 調合D/D 幸運S/S
商売B/A 教育C/B 芸術A/A
・真贋の眼
*:..。o¢o。..:・*・:..。o¢o。..:・*・:..。o
鑑定がSランクに上がって、スキルが付いている、
恐らく、この真贋の眼で、偽物か分かったのだろう。
「マチルダ、皆にステータスパネル見せていい?」
一応確認するが、よく分かっていないようなので、
主人である俺の判断でステータスパネルを皆に
見れるように表示する。
「どうやら、この真贋の眼でそう思ったようです」
マチルダのステータスパネルを表示すると、
周りから驚きの声が上がり、
権威ある機関の女性はキャーと叫んでいた。
「本物かどうかの判断は皆様にお任せします、
ただ、この子にはスキルがある、
それが何かの参考になれば嬉しいです」
その場にいた、宝物殿の責任者からお詫びをされ、
その場を去った。
真贋の眼か・・・
その後の調査で、短剣が入手された当初は本物で、
権威ある機関での調査は本当だった事が分かった。
ただその後、何者かによって短剣が偽物と入れ替え
られたようだ。
それから、全ての展示してある宝物を検査し直し、
小さな物、例えば指輪や判子など、
持ち出し易い物が偽物と入れ替えられている物が、
数点判明した。
これだけの品を偽物と交換できるとなると、
内部の人間の仕業という事になり、
偽物を作っている作業所と共に大々的な捜査となり、
結局職員の数人がグルで犯行に及んでいたと分かった。
マチルダが気づかないと、被害は更に大きくなっていたと、
アルテノン共和国の議長直々に感謝された。
そして、マチルダは一気に有名人となったが、
まあ可愛い子には間違いないなと、
相変わらず主人馬鹿な事を考えていた。
マチルダの一件が片付いたら、
今度はセフィロスの事で呼び出された。
話を聞くと、議員の1人がセフィロスを買い取りたいらしい。
「元々セフィロスはこの共和国で、
全体の警備をする責任者だったのだ、
本来の能力を発揮できる場所にいる方が
本人も幸せではないかね?」
買い取りたいと言うガザロフを見て思う。
あーこの人、会社にいた課長にそっくりだ・・・
部下を自分の手足に動く道具にしか思っていない、
失敗しても責任は取らず、部下のせい、
そのくせ、部下の功績も自分の物にする・・・
正直、セフィロスを渡したくない
「セフィロスはいくらで買ったのだね」
「金貨5枚です」
本当は1枚とマチルダ付だが、
怪我がなかった時の、本来の料金を言う。
「金貨10枚だ、これでいいだろう」
俺は何も言っていないのに、勝手に交渉が成立
したかのような物言いをする。
うーん、一応セフィロスに聞いてみるか
「セフィロスはどうしたい?」
「ハルト様の奴隷でいたいです」
俺は頷く。
「ありがたい申し出ですが、セフィロスは売れません」
するとガザロフはいきなり怒り出した、
「この私が使ってあげようと言っているのだ、
貴方にはお金が手に入り、誰もが幸せになるのだ、
どうして分からない!」
あー、再び心の中で溜息をつく、
うん、この手のタイプって何を言っても駄目だな。
俺は無言で立ち上がる。
「とにかくセフィロスは売れません」
そんな俺に、口悪く罵る言葉が聞こえるが、
無視をしてその場を去った。




