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続いて鑑定、
これは手にした物の内容を、パネルに表示する機能、
昨日世界樹と分かったのは、この機能のおかげだな。
何か分かるだけでも、今の俺にはかなりありがたい。
とりあえず、今使えそうなのは、鑑定と収納。
まずは食料の確保。
水は川があるので困らなさそうだが、ろ過か煮沸してないと、
病気になったりと心配ではあるが、鑑定の結果『聖水』と表示された、
聖水・・・ありがたすぎて、逆に飲んで大丈夫が一瞬不安になる。
パネルで再度確認して、飲めるらしいので、これを飲む事にする。
水が綺麗すぎるのか、魚の影などは見えない、
少しだけ、手に取り水を口に含んでみる。
味は普通の水だが、疲れが少し取れたような気がする。
これが聖水の効果なのだろうか?
後は食料だが、木の実が何種類かなっているので、
手当たり次第鑑定して、食べられると表示された物を食べてみる。
木の実の名前や食べられるかどうかは分かるが、
味までの表記はない。
「うわっすっぱ」
赤くて美味しそうな実だったのに、実際食べてみると、
とてもすっぱかった!
レモンでもないし・・・何というか独特なすっぱさだ。
フルーツみたいに美味しいもののあれば、
繊維を食べているみたいな物など、当たり外れがある。
取りあえず食べた物の感想を、パネルに追加していく。
パネルに最初から味の表記はないのか聞いてみたら、
『味は個人の好みがある為、表記されません』との事だった。
確かに、このすっぱい実も、ある人にとっては、
とても美味しいのかもしれない。
何度か使ってみて分かった事だが、このパネルは万能ではない、
最低限の情報だけが書き込まれていて、
後は自分で情報を追加していく必要がある。
まあ、オリジナルの物が出来上がると言えばいいが、
自分が興味がなかったり、気づかなかった事は、
多分に情報が洩れる可能性がある。
そこに注意しながら、できるだけ幅広くパネルから
情報を引き出してくる必要がある。
ひとまずの目標としては、この世界の情報をできるだけ集めるのと、
街を目指す事。
街を目指す途中では、食べれる木の実や水が、
上手く手に入るとは限らない。
幸いこの土地には、1人では食べきれないほどの食料がある、
それをできるだけ収穫して、水も取っておこう。
しばらくすると、薄い光の膜のような物を見つけ、鑑定すると
『世界樹の結界』と表示された、
この結界内は悪意・殺意のある者は入って来れないようだ。
モンスターの侵入も防ぐとあって、ぞっとした。
モンスター・・・ここが本当に異世界だと認識させられる。
いままで身の危険の事など何も考えずにいた事に、
今更ながら呆れてしまう、
そうだ、ここは日本ではないんだ、
どんな危険があるかもっと注意しないと!
街を目指すと言っても、途中でモンスターに襲われたら、
武器、防具も何もない状態では命が危ないだろう。
『世界樹の結界』に感謝しながらも、
鑑定、収納、そしてパネルでの情報収入に時間を費やす事にした。