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結局セスティナはずっと固まったまま、一言も声を発しなかったので、
感想は分からないが、顔が嬉しそうにほころんでいるので、
満足したのだろうと思う。
店を出た後は、元々人や獣人達がらちらちら見られていたが、
更に一気に注目を浴び、ぎゅうぎゅうに人が歩いている所も、
3人の所だけは、不思議な空間ができていた。
セスティナと出会えたおかげで、ディアール王国に無事来れられらたのだ、
本当に感謝してる、少しでも恩返しできただろうか。
それから、二人がエルフの村に帰るので、城門まで見送る。
城門まで来た時、エレナがぎゅっと抱き着いてきた。
「そうだ」
そう言ってアイテムボックスから髪飾りを取りだし、
エレナの髪にそっと付ける。
「これはエレナにプレゼントだよ」
先ほどセスティナの服を買った店にあった髪飾りだ。
姉のセスティナには服をプレゼントしたが、
エレナはそんな服が汚れている風でもなかったので、髪飾りにしたのだ。
金貨2枚と、服の2倍の値段がしたが、
日本でも宝石は高かったので、髪飾りについている石の値段だろうと購入した。
「ハルト様、この御恩は一生忘れません」
二人が膝をついた所で、周りがざわざわと騒ぎ出す。
「エルフが?」
「人間に膝を折るなど・・・」
と驚愕の声が聞こえる。
これはまずいと、慌てて二人を立ちあがらせる。
こちらにしてもらった事を考えると、
俺こそ感謝しなくてはならない所だ。
帰りに使う一角獣は、馬車1台に1匹ついていたので、
それぞれ3人で1匹づつもらう事にした、
エルフの村がどの辺りかは知らないが、一角獣の足と、エレナの料理、
セスティナのモンスターを狩る能力があれば、無事帰れるだろうと、
さほど心配する事もなく送り出す。
「また、困った事があれば頼ってくれていいから」
そう言って、二人を送り出した。