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1-11

「お姉ちゃん!」


小さな牢屋に閉じ込められていたエルフが声を上げる、


大きな傷などはなく、どうやら無事だったようだ。


セスティナが大慌てで駆け寄り、風の魔法で牢を壊す。


「エレナ!」


抱き合う姉妹を見て、本当に助かって良かったと思う。


「お姉ちゃんこの人は?人間?」


どこか緊張した面持ちでエレナが言う。


「ハルト様だ、ジェネラルゴブリンを退治した英雄だ」


いやいや、弓でとどめを刺したのはセスティナだし、

調合しただけの俺に英雄は言い過ぎだ。


そんなエレナの耳元で、セスティナがぼそりと呟いている。


”多分精霊王様だ”


はい、言っている事ばっちり聞こえてますよ。

全然、耳元でこそこそ話している意味ないですよ。


そう思いながらも、もう訂正は不可能と諦め、

にこにこと二人を見る。


セスティナはもう成人してる、20代後半ぐらいの容貌だが、

エレナは中学生のように見える、


尖った耳はエルフである事の証だろうが、

切れ長の目の姉に比べ、まん丸い目、

肩ぐらいに切りそろえられた髪が、更に幼く見せていた。


ずいぶん年の離れた姉妹だなと思う。


それはともかく。


「初めまして、陽翔です、エレナちゃん、無事でよかった」


そう言うと、顔が赤くなり、耳がピコピコ動くので、

どうやら興奮しているようだった。


多分精霊王様が効いているな・・・

訂正は諦めたものの、困ったものだと思う。


さてと、


この馬車をどうするが・・・・


このまま放置するのは、もったいないよな。


「この馬車の荷物、山分けしますか?」


そう言うとセスティナは驚いているようだった。


「ハルト様、私のアイテムボックスはほとんど一杯で、

とてもこの荷物は入りません」


そうなの?とエレナをちらりと見ると、エレナも首をぶんぶん

振っていた。


「それなら俺が預かっておくね」


そう言って馬車3台、一気に収納してしまう。


それから二人をみると、ポカンとした顔をしていた、

あれ?俺何かまずい事した?


「え?全部入れたのですか?」


「そうですけど?」


「ハルト様のアイテムボックスの容量は・・・」


と聞きかけて、首を振る。


聞くと失礼だと思ったのかなと思い、こちらから答える。


「俺の容量は無制限なので、気にする必要ないですよ」


そう言うと、またあの偉い人を見る目で、

キラキラと見つめられる。


「普通はどのぐらいなのですか?」


気になって聞くと。


「私で5日旅ができるぐらいです、容量が多いと言われる獣人でも、

露店を収納できれば、一人前とされます」


そっか、普通トランク1個分なら、馬車3台収納すると驚かれるよな。


他の人の前では気をつけようと思いながら、話を聞く。


ちなみに、モンスターはジェネラルゴブリンが馬車を持っていたように、

アイテムボックスは持っていないらしい。


「欲しいアイテムがあれば、お渡ししますが」


そう言うと、驚かれたようで、


「いえ、全てこれらはハルト様の物です、元々ハルト様がいらっしゃられなければ

置いておかなければいけなかった物ですから」


そう慌てて言われるが、先ほどの金銀財宝をみてしまうと、

独り占めは悪い気がしてしまう。


それと、


「これからどうするんですか?」


そう問うと、当然のような答えが返る。


「住んでいた村に戻ります」


「そうですか」


それではここでお別れと言う事になる。

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