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1-1 冒険の始まり

「島崎部長大丈夫ですか?」


50代後半、少しお腹が出て来た事を気にしてる、

人のいい部長は、顔は耳まで真っ赤、時々足取りもあやしく、

ふらっと傾いたりするので、見ていてひやひやする。


今も足をもつれさせ「おっととと」などと言っているので、

慌てて手を差し伸べ支える。


ずっしりと体重がかかる事を予想して身構えていたが、

思っていたより意識がしっかりしているのか、

思った程に体重はかからなかった。


「ありがとよ」


陽気に部長が答える。


「飲みすぎですよ」


「なーに言ってんだ、大型案件が一見落着、

 会社は安泰!かみさんの機嫌も安泰ってもんだ」


確かに、今一番部長が気にかけていた案件が片付いたのだ、

億の利益が見込まれるプラン、

接待の場でも盛り上がり、お酒が進むのは分かるが、

こうも飲みすぎるのはどうかと思う。


「ああ、ここからはタクシーで帰るよ」


「分かりました」


右手は部長を支えているので、空いている左手を振って、

タクシーを呼ぶ、

幸いすぐにタクシーは捕まり、部長を後部座背に座らせる。


「須藤君もご苦労だった、明日は休みだゆっくりしたまえ」


「ありがとうございます」


部長がタクシーの運転手に自宅の住所を告げているのを確認して、

タクシーから離れる。


バタンと音がして、戸が閉まり、タクシーが動き出した。




それをしばらく見送ってから、自分も帰路につく、

住んでいるアパートまでは徒歩で20分程、

少し距離はあるが、タクシーを使うまではない。


自分も少しお酒が入っている、夜道を歩いていると、

酔いが醒めて、丁度いい感じになるだろう。


そう思って大通りを歩き始める。


大通りは飲食店のネオンが輝き、車も途切れる事なく流れている、

どことなく流れてくる音は、都会である事を象徴するようだ。


そんな大通りを抜け、横にそれると、

所どころにある街灯が足元を照らし、

長い影を作るぐらいで、一気に静かになる。


時計を見ると、針はもうすぐ9時をさそうとしていた。

全体的に薄暗く、星が綺麗に見える。


部長、大丈夫かな?・・・


同じ営業部の部長は、おおらかで仕事には厳しく、

尊敬できるすごくいい人なのだが、いかんせんお酒に弱い。


先ほどは飲みすぎと言ったが、そんな豪快に飲んだ訳ではなく、

ちょびちょびとグラスのお酒を飲んでいただけのはずだが。


そんな部長の代わりに、部長の5倍はお酒を飲んだ自分は、

少しほろ酔い程度で、少しふわふわして気分が良い。


お酒に弱くなく、まったく酔えない程強くもない、

部長を見ていると、けっこう人生得しているなと思う。


そんな事を考えてながら、会社が借り上げて住んでいる、

小さなアパートを目指していると、空がいきなり明るく輝いた



月が二つ見える?


以外と酔っているのか?


すると光はどんどん強くなり、体全体を包んでいった。


すると、いきなり足元が消え、ジェットコースターで、

トップからいきなり急降下したような感覚に襲われる。


うおっっ!!


思わず目を閉じる。


ドッキリとかじゃないよな?芸能人ならまだしも、

入社1年目の中堅会社の、何の変哲もない平社員に何かしかけても、

笑いと視聴率は取れないぞ?


そんな事を考えながら、光に吸い込まれていった。

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