26 預言書
♪コンコン
「カズヤ殿、よろしいですかな?」
オレの元へ客人が現れた。
誰だ、こいつ?
ここは王宮内にある禁書庫。
オレはこの部屋の管理を任されている。
理由は端的に説明すると、ここに収めてある
全ての本を理解できるからだ。
そんなことできる人物はおそらく
この世界でオレだけだろう。
実は、オレは日本から来た異世界転移者だ。
文字も言葉も日本語とかけ離れてたこの世界で
なぜか理解できたのである。
客人は上流貴族であろう。
王宮の、しかも禁書庫に入れる人物など限られている。
そして、こ奴の目的も分かっている。
預言書で未来を見て欲しいのだ。
「私は第一王子、マルテルの使いの者である。」
話しによると、第二王子と隣国のフォレス王国との
間で不穏な動きがあるのだという。
そこで、我が国とフォレス王国の未来を見てもらいたいとのことだ。
なるほどね。
その結果で第二王子の動きを予測しようとしてるのね。
ちなみに、フォレス王国は世界で突出た大国であり、
人口、経済規模、技術のどれもが我が国を大きく上回る。
隣国でありながら貿易はなく、幸いにも武力衝突もない関係だ。
客人の説明で状況は理解できた。
オレは預言書を開きパラパラとめくり、白紙のページを見つける。
ここに質問を書き込むと未来の出来事が回答として現れるのだ。
ChatGPTの未来予測版って言ったところだろうか。
便利な物だ。
ちなみに、古代の言葉で書き込む必要があり、オレだけしか扱えない。
質問>我が国とフォレス王国は、近い将来、
関係に変化が起こりますか?
回答>再来月、サックス王子 (第二王子)が友好条約を結び、
来年、自国はフォレス王国の属国となります。
それに伴い、フォレス王国からの要請により、
サックス王子が新国王として就任されることとなります。
なるほど。
サックスを王に据えることで言いなりの国にさせるつもりか。
「それは誠か?」
客人に結果を報告すると、青ざめた顔でこの場を去っていった。
◇◇◇ 数日後 ◇◇◇
オレは預言書を開き、パラパラとページをめくっていたら、
先日のフォレス王国の件が目に止まる。
気になることが頭を過ったので続きを質問してみることに。
質問>フォレス王国の属国となった後、
我が国はどうなりますか?
回答>大国との貿易により10倍の富を生み
貧困層は解消されます。
また大国からの新たな知識と技術が流入し、
職人の技と相まって、世界第二位の経済大国
にまで上り詰めりこととなります。
へぇ、良いこと尽くしじゃん。
属国になった方が良くない?
ちなみに。
質問>フォレス王国との友好条約を
阻止した場合、どうなりますか?
回答>フォレス王国との全面戦争となり
我が国は消滅します。
それ、やばくね。
♪コンコン
「カズヤ殿、大変です。
フォレス王国が宣戦布告してきました。
近日中に大規模な戦争が開始されるとのことです。」
マジかぁ。
ーーー 完 ーーー




