24 集団転移
「勇者御一行の皆様、お待ちしておりました。」
王宮の一角、大きな魔法陣の中心に総勢43名の
男女を含めた高校生達が立ち並んでいる。
大司教とその弟子たちによる勇者召喚の儀が
取り行われたのであった。
「ここはどこだ?」
生徒たちは動揺する。
それもそのはず、先ほどまで教室に居たのだから。
朝の教室で先生を待っている間に、
クラスメイト全員が召喚されてしまったのだ。
「オレ達を元の場所へ返せ!」
「やだー、家族に会いたい!」
大司教から一通り説明を受け、生徒たちは更に動揺する。
それもそのはず、これから剣術と魔法を習得してもらい
魔族と戦ってもらうと聞かされたのだから。
平和ボケしている生徒達に生死を掛けた戦いなんて無茶な話だ。
みんな不安そうでいい顔してる。
そろそろオレの出番かな。
「ちょっと待ったぁ!」
その場の全員がオレに視線が集中する。
「大司教さんよ。オレと取引しないか?
その依頼、オレが1人で全て引き受けてやる。
その代わりとして、みんなを元の世界へ
戻してもらえないだろうか。」
どうだ!決まった。
「加藤!お前のこと嫌いだったけど尊敬するわ。」
「私も」「オレも」「私もよ」
嫌いは余計だろう。
だがこれで、こっちの世界と元の世界の両方で
オレはヒーローってことになる。クー。
大司教が口をはさむ。
「良かろう。そなたの願い受け入れよう。」
「ありがとう加藤。君の事は永遠に忘れない。」
オイオイ、死ぬ前提じゃないか。
「大司教様!」
弟子の一人が大司教に耳打ちする。
そして、オレの顔を何度もチラ見するではないか。
ちょっと恥ずかしんだが。
改めて大司教がオレに問う。
「そなた、もしやマーベラス・マサル殿か?」
その名前、恥ずいからクラスメイトの前で叫ばないで!
オレは、一度この世界に来たことがある。
実は、今回で2度目なのだ。
だから余裕ぶっこいて居られたということだ。
今後の展開も含め、ある程度予測が立っていたから。
「思い出したか!その節は世話なった。」
「なるほど、マサル殿の体内に大量の魔素が残っていたため、
また召喚してしまったということですな。」
へぇ~、そうだったんだ。
「大変申し訳ないが、マサル殿は使い物にならん。
おそらく他の者も同類と思われる。
であるからして、全員お引き取り願おう。」
・・・
クラスメイト全員が無事に元の世界へ帰還できたのであった。
そして、オレの席を中心にクラス全員が集結する。
「オイ!マーベラス君よ。どいうことか説明しろ。」
「お前が居るとオレらまた飛ばされるのか?この疫病神。」
「あなたのせいで私たち危険な目に会ったのよ。」
オレ、明日からニート生活始めます。
ーーー 完 ーーー




