23 遭難
日本の白馬岳付近。
「こりゃ完全迷子だわ。」
友人の軽い一言。状況が深刻なのに。
だって2人で森林をさまよっているのだから。
「ドラえも~ん。」
「ドラえもんじゃねぇ。」
「ちょっと空飛んで車の位置確認してくんない?」
「ふざけんな!飛べるわけないだろう。」
友人は本気で言っているから困る。
実は、オレは元異世界から戻って来た者だ。
異世界での能力がそのまま使えるのを知っての発言である。
「じゃあ、どうする?」
「どうするも全部お前のせいだろう。」
事の発端は心霊スポットを見たいとこいつが言い出し、
イヤイヤ連れてこられた挙句に、
こっちが近道だと、道なき道を歩かされ今に至る。
オレらはハイキングに来た訳ではない。
なので2人とも所持品は携帯と財布だけ。
当然、携帯の電波は『圏外』を示してる。
ヤバい状況なのだ。
「おぉ!すげぇ。」
喉が乾いたと言うから手のひらから水を出してあげたら
「おえぇ、ドブの匂いがする。」
「匂いだけだ。死にはしない。」
「無理!」
都会の奴は清潔好きで困る。
オレも飲みたくはないがな。
「疲れた。休憩したい。家出して。」
「その辺、座れよ!」
「え~、虫いるからやだぁ。」
「お前、女子かよ。」
異世界で使っていたテントを出してあげることに。
「おぉ!すげぇ。」
オレはどこまでお人好しなのだろうか。
「ごめん。草の上でいいわ。」
友人はテントの中を覗いて外を選んだ。
テントは汚く、蜘蛛の巣が張ってあるわで
正直オレも使いたくない。
少し休憩したら辺りが暗くなってきた。
いよいよ本格的にヤバくなってきたぞ。
すると友人は薪となる木の枝をかき集めだす。
「火つけようぜ。」
そこに初級魔法のファイアボールを放ったが、
オレのレベルが高すぎるせいか威力が強すぎて
薪が粉砕し、燃えたまま広範囲へと散らばった。
なんて美しい光景だろうか。
まるで打ち上げ花火を正面で見てるかのようだった。
「イヤフォー。最高!」
そして、周辺の木々に燃え移ったのである。
「やばい。」
水魔法で消そうとするも燃え広がるスピードが速く、
もやは対処不能。
大規模な山火事となった。
「ドラえも~ん。」
ーーー 完 ーーー




