21 異世界旅行日記 #4
「ご主人様、食事をお持ちしました。」
連れの女が夕飯を運んで来てくれた。
「ヒューヒュー」
ここは大衆酒場。周囲は連れの女に釘付けだ。
確かに目で追いたくなるボディの持ち主だが、理由は別にある。
野郎どもに色目使いで誘惑してやがる。
こいつ魔族だぜ。
花飾りで頭の角を隠してはいるが、一体何考えてるんだか。
♪パーン
オレは、彼女の頬に思いっきりビンタを食らわす。
「おい!料理人に失礼だろう。」
「ごめんなさい。」
事もあろうか食べ物に毒を入れやがった。
不味くて食えたもんじゃない。
オレには解毒スキルがある。残念ながら毒では殺せない。
しかし、温厚なオレでも人のご行為を踏みにじるのは許せない。
気付くと周囲の会話がピタリと止まりオレに視線が集中していた。
え!そんな注目することか?
「兄ちゃんよ。か弱い女性に手をあげるたぁ見逃せねぇ。」
か弱い?魔王の片腕ですよ。
あなた達の手に負えないと思いますが。
オレを中心に体格のいい野郎4人に囲まれることに。
「助けてください。私、無理やり奴隷にさせられたんです。」
この女、オレをはめる気だ。
10名くらいだろうか。この場の半数が一斉に席を立つ。
オイオイオイ、片腕をグルグル回して喧嘩する気マンマンだぜ。
なるほど、色目はここまでの布石ってことね。
オレはテーブルの上に立ち、周囲に聞こえるよう大きな声で発する。
「オレは争いごとが好きではない。
この女、お持ち帰りしたいなら、ご自由にどうぞどうぞ。」
ここで逃がしたところで彼女を捕まえるのは容易だ。
おっと、女の顔が険しくなったぞ。
この展開は想定外だったかな?
彼女には魔法を封じる策を施してある。
さぁ、どうするよ?
「安全のために、お前からこの女を引き離す。いいな?」
オレはさっさと持っていけとジェスチャーで返す。
結果、気性の荒い6名の冒険者どもに彼女は連行されて行った。
バイバイ!楽しんでらっしゃい。
・・・ 1時間後
「お前、なんて事してくれたんだ!」
「あら!あなたが悪いのよ。助けに来ないから。」
彼女はあの後、一窒に押し込まれたんだとさ。
そこで鋭くとがった爪を出し、全員皆殺しにしたとのこと。
まさか殺すとは想定外。
そこで彼女が魔族とバレてしまった。
そのせいで、オレまでお尋ね者リストに載ってしまうことに。
これでオレは、魔族と人族の両方でお尋ね者ってことになる。
この連れ (女魔族)は隙あらばオレ様を殺そうとする。
道中、予想だにしないことをしでかし、オレを飽きさせない。
旅の友として選んだのは正解だった。
「楽しいなぁ!」
「私もあなたがどんな死に方をするか楽しみよ。」
ーーーつづくーーー




