高等学校生異世界集団拉致事件発生!
東京都異対五課会議室 3月23日(土)10時00分・・・
「島袋君、中途採用で早速土曜に出勤してもらって悪いね。」
「いえ、これも仕事ですから仕方ないです。」
中途採用された4日目の土曜日に早速休日出勤となり内心は辟易しているが仕事だから仕方がない。それに緊急招集だったため、異世界へ転生か転移した者があらわれたのだろう。
昨日3月22日金曜日、千葉県の高校生30名、担当教師1名、バス運転手1名が卒業旅行からの帰り途中、バスで山間の高速道路を走行中、土砂崩れに巻き込まれた。
ただの事故だと思われていたが一課の課長こと天常断尊様が異世界の門が開いたことを察知、これを千葉高等学校生異世界集団拉致事件と銘打ち対処するよう要請が出た。
現在、異世界への門を開くため二課の界門班が調査中とのこと・・・
「とまぁ、いきなり32人の高校生を救えと来たもんだ。骨が折れそうだねぇ」
「骨が折れるとは?」
「32人を集団で異世界へ転移させたということは、あちらはそうとう煮詰まってる可能性があるということさ。我々の仕事は拉致された高校生を救うだけではなく、アフターフォローとしてその異世界を救うことも行っているからねぇ、助けに入って即戦争もありえる。」
「なるほど」
ただ高校生を救うだけでは、また別の拉致が発生する可能性がある。それにこちらの世界に干渉できる力があるということは悪用されたらこの比じゃない問題が発生することも・・・、異世界に転移・転生できるということはそういうことなのだ。
東京都異対大会議室 3月23日(土)14時00分・・・
異世界の情報を掴んだとのことで各課の人材が大会議室に集められた。
異対二課の界門班の調査により異世界の門を開くことが出来、その異世界の情報が手に入った。
「千葉高等学校生異世界集団拉致事件の転移先は呼称:庚としました。現在、門を開くことに成功し、六課3名、二課1名が潜行し調査を行いました。庚では空気中に魔力が含まれており、それを利用した魔術を使用する世界となっておりました。人間と魔族間で戦争中であり人間側が勇者召喚の儀式により千葉県の高騰学校生を拉致したと思われます。」
「でたよ魔族!魔法!勇者!」
上司はいつものことだなとため息をついた。
庚では職業として勇者や錬金術師、サモナー等、絵に描いたような異世界とう感じだ。
「問題は、戦争は末期に入っている。今回の人数が表している通り人間側が劣勢であり早めに対処しないと高校生とその付き添い大人の生命が危機に陥るのは時間の問題かと思われます。」
東京都異対五課会議室 3月23日(土)15時00分・・・
「二課からもらった情報をもとに相手側に交渉をする、無論人間側を救うことを想定した交渉材料を用意することだ」
それが上司からもらった仕事だ。
「しかし、異世界の情勢に首を突っ込んでもいいんですかね?」
「魔族がどんな連中なのか人間側に問題があるのかまだわからないが、魔族がこちらに干渉できる能力を手に入れたらそれこそ大問題だ。あとはこっちの力を見せつけて干渉させなくする必要もある。」
交渉の材料が揃ったためこれから異世界:庚に入ることになる。