役職決め
次の日、昨日と同じように学校に行く。
行く途中で、岡住と米澤を見かけた。少し僕は早足になって彼らを追いかけた。
「よっす」
いつも通りに挨拶をする。
「あ、一葉おはよう」
「勉強した?」
「してねぇw」
「おい、マジか!大丈夫なん?」
「え?余裕だぜ」
「どこからそんな自信がわいてくんだよ・・・すげぇな」
「そうか、岡住?」
「そりゃそうだろ」
と、僕たちは雑談をしながら学校に向かうのであった。
教室に着いたが、ほとんど人はいない。いるのは、少しSな読書家岩成ひみこと、少し行動が謎な杭瀬大孝の二人だけだった。どちらとも話しかけずらかったので僕は自分の席に着き、準備をして読書を始めた。時計の長針が3を回るころから来る人が増えた。さしずめ僕は賑やかなのは好きだが、うるさいのは嫌いなので少しいやだった。
うちの学校では20分から読書の時間が始まる。何の変化もない文字の羅列を眺めるだけなので眠くなる。僕はあくびをかみしめながら10分間本と格闘するのであった。
読書の時間が終わり、朝のSTも終わり、一時間目の前の放課になる。担任の話では、次の時間にかかりや委員会を決めるらしい。僕は何にするかはもう決めていたのでただぼーっとするのであった。
チャイムとともに担任が入ってきた。もちろん全員座っていた。そして担任の号令とともに挨拶をして、一時間目が始まった。
「この時間は委員会や係を決める時間です。まず学役(学級役員の略、学級委員と学級書記と呼ばれる人たちを指す)から決めたほうがいいな。立候補する人。」
そこで二つの手が上がった。佐々岡陽彦と梓沙だった。僕は妥当だろうと思った。
「よしじゃあ、一文ぐらいでいいから意気込みを発表してくれ。どっちから言う?」
両方とも譲り合ってなかなかいかない。最終的にはじゃんけんで決めることになった。
「「最初はグー、じゃんけんポイ」」
佐々岡はパーを、梓沙はチョキを出していた。佐々岡は席を立ち前に出た。
「えー、僕が学級委員になったら全員を引っ張っていこうと思います。」
パチパチパチ・・・
少し照れたような顔を見せながら帰っていく佐々岡。変わって梓沙が前に出た。
「私が学級委員になったら、学役としてみんなで楽しめるように頑張ります。」
パチパチパチ・・・
「よし二人とも有難う。今から紙を配るから、そこに男女それぞれ2人ずつ名前と理由を書いてくれ。」
僕は困った。一人目はもちろん決まっているが、どうしても二人目が決められない。僕は、迷いに迷った結果、一年の時、学級委員をやっていた前野聖仁と、去年別のクラスだったが学級書記をやっていた橋波琴美に票を入れることにした。
すぐに開票作業が行われた。やはり、立候補した二人は断トツで票数が多かった。そして、書記も僕が書いた人たちがやることになった。二人目は少しばらけるようだ。僕に三票入っていた時は少し驚いた。
「というわけで、学級委員は陽彦と梓沙、学級書記は聖仁と琴美に決定しました、拍手!」
パチパチパチ・・・
「じゃあ、あとは四人に任せるわ、そこの紙に書いてある役職からな」
そうして、係と委員会決めが始まった。僕は英語係しかやる気はなかったので、英語係に手を上げた。僕ともう一人だけ手を上げていた。万結だった。ほかはいなかったので、すぐに決まった。ほかの係にはあまり興味がなかったので、聞き流していた。
委員会決めに移った。正直僕は部活が終わった後わざわざ学校に残りたくなかったので、前期にやることにした(うちの学校は前期後期の二学期制)。僕が選んだのは生活委員会。ほかに比べたら断トツで楽だ。生活委員会は男女各二人の四人だ。一緒にやることになったのは、米澤、岩成、鈴村菜月だった。そして、ほかのことには興味がないので、さっきと同じようにまた聞き流すのであった。
ようやく、長い授業も全部終わった。そういえば、明日から部活も再開するし、早く起きなければならない。
「さっさと宿題終わらせよ。」
そう呟いて家に帰ったのであった。