絆
そんなこんなで二時間目も終わり、机でゆっくりとしていると前に座っている女子に声をかけられた。
「ねぇ、一葉くんってどんな和菓子が好きなの?」
なんだこいつ。てか誰だっけ?自己紹介の直後席替えをしたため名前がわからないのだ。なぜ席替えをしたのかわからないが。
「おーい、生きてる?」
「え?あ、うん」
情けない返事をしてしまった。まぁ、別にそんなことは終わりごろには忘れているだろう。
「で?」
「え?ああ、和菓子全般が好き」
「ふーん」
なんだったんだ今のは。ていうか、最初のあいさつで「和菓子=僕」っていう方程式が完成してそうだな。たかだか中学生の間の戯言だし気にするまでもない。そしてふと思い出した。
コンコン
「えーっと、小鷹紅羽さん?」
「ん?どしたー」
「ず、ずいぶん軽いんだね」
「そう?まあ、名前覚えていてもらえたし何かしら印象があったんだよね?」
「珍しい名前だから覚えただけだよ」
「君もだけどねw」
「確かにねw」
そして、また教室の前の扉が開いた。もうすぐ三時間目が始まるらしい。確か三時間目は、、、GWTだったっけな?何の略だっけ?GWTだったっけな?そんなしょうもないことを考えていると始業のベルが鳴った。
「今からGWTをやります。」
「なんすか、GWTって?ゴールデンウィークたくさんですか?」
「違います。グループワークトレーニングの略です。確かに今年のゴールデンウィーク長いけどな。」
みんながドッと笑った。