退屈な笑える時間
彼らから少し離れてクラスを見渡してみる。パッと見の印象は見知った顔が多かったし、案外楽しそうなクラスだなって感じだった。
「席座ってー、チャイムなるよ」
誰かが言ったようだ。確かに時間は、次の始業時間一分前だった。雲の子を散らすように一斉に動くクラスメート。僕もすぐに席に着いた。しかしまだちらほら歩いている奴がいる。まだちらほら歩いている人たちに声をかけているのだろう。またあの声が響いた。周りを見渡すと声の主がすぐにわかった。
(あ、同じ部活の女子じゃん・・・まぁ面子的に彼女しかいないか。)
声をかけていた女子は、生徒会やら学級委員やらやっている、超まじめで、しかも勉強も運動もできる一言で言うならば文武両道な、松林梓沙だった。
再び前方のドアが開いた。担任が戻ってきたらしい。そして二時限目が始まった。
恒例と言っちゃ恒例だが、正直あまり好きな時間ではない、自己紹介の時間になってしまった。
そもそもこんなことをすることに意味はあるのだろうか、そんな哲学的なことを考えていると、自分の番になってしまった。
しまった。何も考えていなかった。いや、考えてはいたのだが変なことを考えているうちに忘れてしまった。取り敢えず、ノリと勢いで行こう。確か話す内容は、名前と好きなお菓子だったかな?さっさとやるか。
ガタッ
僕は立ち上がって、自己紹介を始めた。
「僕の名前は桐一葉です。好きなお菓子は、えーっと、和菓子です。よろしくお願いします」
パチパチパチパチ・・・
その音が今の僕にはとても痛かった。
(取り敢えずほかの人のも聞いておくか。)
そして残りの人たちの自己紹介を全部聞いた。聞いてて思ったのだが、どうやらみんな浮きたくないようで、ポテチやらポッキーやら普通のお菓子ばかりを言っていた。
(しまった。これでは浮いてしまうではないか、、、、!?)
と思ったのだがそんなことはなかった。初日だしそんなことを言うやつもいないか。
そっと胸をなでおろした。