Vtuber
にわかVtuberオタクが書きました。
拙いものではありますが読んで頂けると嬉しいです。
正直僕という人間はただの一般人だ。
それは間違いない。
だがあの日から僕の人生は大きく変わった。
それを話す為に多少僕の人生を振り返らねばならないので少し付き合ってほしい。
まず僕のクラスには正直、『陽キャラ』という人種が多い。
面倒だからこれより『陽キャ』と略させてもらう。
知らない人がいるかも知れないから説明する『陽キャ』とはイケイケな連中のことである。
どこにいても元気にはしゃいで人生を謳歌している者達である。
『パリピ』などと呼ばれることもある。
そんな僕とは生きる場所が違う人間達が学校のクラスという小さな環境にですら蔓延っているのである。
もはやクラスの半分は陽キャと言っていいくらいには存在している。
僕自身、陽キャなどと呼べる人間ではないもののクラスで孤立したりとぼっち生活を満喫したいわけではないのでなんとかノリを合わせて会話したりしている。
正直辛い。
僕のことを話すのであれば俗に言う『陰キャラ』である。
こちらも『陰キャ』と呼ばせてもらう。
意味は『陽キャ』の真逆で文字通り人として暗いと認識してもらえればいい。
基本的に根暗だし必要がなければ喋ることもない。
しかもオタクなのである。
アニメや漫画をとても好んで嗜んでいる。
その結果インターネットでよく言われる『陰キャオタク』と呼ばれているものに属してしまう。
僕は最近ハマっているものがあってそれが『VTuber』である!
世間でいつの間にか流行ってしまった『myTuber』に便乗して生まれてしまったコンテンツで外見はコンピューターグラフィックスやイラストのキャラクターでありそれを用いて動画投稿を行うものである。
某ぺディア様いつも助かる。
クラスでは少ない陰キャ仲間と隠れて『VTuber』について話したり共有したりしている。
これがとても楽しい。
ちなみに僕の一押しは「水無月いろは」ちゃん!
まだ新人なんだけど黒髪ショートヘアーのキャラクターで元気な女の子って感じなんだよね!
透き通るような声の持ち主で主な活動はゲーム実況や雑談放送、たまに歌枠なんてものもやってて中でも人気なのがちっちゃいモンスターを育ててバトルさせるゲームなんだけど、言ってしまえばポ◯モンなんだけど。
ゲームがそこまで上手いって訳じゃないけど楽しそうにプレイしてるし話し方とか喋りがまた面白いんだよね。
飽きないっていうかもうずっと見てられるんだよね。
トゥイッターも勿論フォローしてるし生配信だけでなくたまに投稿される動画だって全部見てるよ!
最初の配信を見た時に一目惚れみたいな感覚になったんだよね……。
あっ、勿論ガチ恋なんてしてないよ!
そんなのファンとして間違ってるしオタクだからといって自分にワンチャンあるとか愚かな勘違いはしてないよ!
おっとオタク特有の早口一人語りをしてしまったね……。
これぞ隙あらば自分語りというやつか……。
お見苦しいものを見せて申し訳ない。
それより今日はいろはちゃんの生放送があるので是非とも見たい。
学校が終わり自宅に帰るとすぐさま自室に戻りパソコンを起動する。
トゥイッターを開きフォローしてる人の呟きを確認する。
推しのいろはちゃんのページを見ると十八時から生放送を行うとのこと。
それまではネットサーフィンをしたりと時間を潰そう。
いろはちゃんの放送を待ちながらクラスの陰キャ仲間との音声通話ツール『でぃすこーど』で会話をする。
会話と言っても好きな漫画やアニメ、ゲームとか如何にもオタクっていう話ばかりだけど。
最近はそれぞれのVTuberの推しについて語ることが多い。
ちなみにクラスの陰キャ仲間は僕以外に三人いて皆VTuberは好きなんだけどそれぞれ推しが見事に分かれている。
陰キャ仲間とその推しについてはまた今度話すとしよう。
そんなことを考えているとそろそろ配信の時間になる。
配信が始まる前のこの緊張感は何度味わっても慣れない。
いや別に僕が配信をする訳じゃないんだけどね。
まいつべを開き配信の待機所で推しを待つ。
時間が丁度になると「ちょっと待ってね〜」と聞き慣れた声がする。
すると見慣れたキャラクターの顔が表示されて配信が始まった。
「こんばんは〜! 水無月いろはです! 今日もやっていくよ~」
その声が聴こえると同時にコメントがどんどん流れていく。
「始めたばかりなのにこんなに人が来てくれてとても嬉しいです! ありがとうございます!」
いろはちゃんは新人VTuberなんだけど凄い人気がある。
チャンネル登録者もそうだしトゥイッターのフォロワーもとても多い。
でも僕の方がいち早くファンになったし……って下らないマウントを取ろうとしたくなる。
「今日はね~。雑談配信ということであんまり長くは出来ないけどみんなの質問に答えたり飴ちゃんをみたりするよ~」
いけないいけない、生放送中だった……。
余計な事を考えてる場合じゃなかった。
いろはちゃんを見てる時が一番癒されるんだよなぁ〜……。
「それではいろはの質問コーナー! 私に聞いてみたいこと、質問してね! 明らかにあれな質問には答えられないからそこは分かってね?」
質問コーナーになりリスナーが次々と質問をコメントしていく。
「うーん……たっくさんコメントきてますね〜。どうしようかな〜」
例に倣って僕も質問を投げてみるけどあまり期待はしてない。
なんて思っているのも束の間、驚くべき事が起こる。
「あっ、ユートさんっ。いつも来て下さってありがとうございます! ユートさんの質問に答えるね~! えっと……最近ハマっているものは何ですか? ですね」
いろはちゃんが僕のコメントを読んでくれた!?
しかも僕のことを知ってる!?
こんなことってある!?
説明しよう。
オタクあるあるその一、推しにコメントを読んでもらえるととても嬉しい。
その二、推しに認知されるとめっちゃ嬉しい。
その三、推しに名前を呼んでもらえると発狂する。
いや、しかも僕がいつも来てくれてるって知ってくれてることがもう嬉しいし名前も呼んでくれてしかも質問にまで答えてくれる……なんて幸福感……生きてて良かった!!
あ、ちなみにユートは僕のハンドルネームね。
本名が優人だからユート。
単純でしょ?
一人、パソコンの前で悶えている僕をよそにいろはちゃんが質問に答えてくれる。
「最近アレにハマってるんですよ〜! 人が鬼を退治するやつ!! キャラが格好良くて凄い好きなんですよ!!」
鬼を退治するやつってもうアレしかないじゃん!
原作、アニメ共に最高でした。
映画絶対観に行きます。
「アニメがとても良かったんですよね〜。作画が良いのは勿論なんですけど、声優さんも豪華だし演技も良いし全部良かったです! もう放送終わってしまったのがとても寂しいです……」
いろはちゃんが鬼○の刃を好きなのはトゥイッターを見てたから知っていたけどここまで語ってくれるとは……。
多分だけど今、めっちゃ目がキラキラしてるんじゃないかって思う。
いや見えないんだけどね。
それからは何回か質問に答えて飴ちゃんを見ている。
飴ちゃんとはトゥイッター上で匿名のメッセージを送ることができるやつだ。
僕も何度か送ったことがある。
「えーっと~。罵って下さいだってなにこれ~!」
オタク君さぁ……。
気持ちは分からんでもないがなんてものを送るんだ!
「こういうのはですね~。言うと喜んじゃうのであえて言いません~!」
笑いながら言ういろはちゃんマジ天使。
「他にも踏んで下さいとかそういうのばっかなんだけどー!」
流石、オタク君そういうやつらばっかなのかよ!
「あ、スーパーチャットありがとうございます~!」
今日もスパチャ多いなぁー。
『スーパーチャット』とは通称『投げ銭』とも言われている。
チャット欄で自分のメッセージを目立たせるための権利を購入する機能でこれをすることにより推しに感謝されるだけでなくコメントも残るしまさにwinwinというやつだ。
僕も送りたいが今日は控えておこう。
あんまり調子に乗ると破産しかねないからなぁ……。
配信は最後にスパチャを読んで二時間程度で終了。
終わった後、とても良い気分だったことは言うまでもない。
オタク冥利に尽きるとはこのことかなどと僕は考えていた。
オタク仲間達は自分の推しの配信があるからと早々に通話を切りやがった。
今日の感動は明日にでも自慢してやろう。
明日も学校があるので準備をして休むことにした。
実は興奮していたからかあまり寝付けなかったことは内緒である。
そしていよいよ僕にとって運命の日と呼べる日がやってくる。