ゴミ屋敷
真夜中、ゴミを拾いに出かける。
それが、俺の日課だ。
ある日は、段ボール。
ある日は、壊れたテレビ。
またある日は、何の物なのか判らない部品。
暫くは気付かれなかったが、到頭気付かれてしまった。
糞婆が家にまで乗り込んで来て、もうやるなと怒鳴られた。
今度やったら、警察を呼ぶらしい。
それは困るので、引っ越す事にした。
数日かけて荷造りし、真夜中、捨てる物を入れた段ボールを手にある場所に向かう。
道なりに進むと、ゴミに囲まれた家が見えて来た。
あの糞婆の家だ。
毎晩このゴミ屋敷からゴミを盗んで来てゴミ集積所に捨てるのが、俺の日課だった。
俺は、持って来た不用品をゴミ屋敷に捨てた。
金魚鉢を何処に置くかは大分悩んだが、結局適当に置いて帰って来た。
翌日は良く晴れていた。
引っ越しを終えてニュースを見ると、あのゴミ屋敷が全焼していた。
幸いにも、他の家に被害は無かった。
彼処は田舎だから周りの家は離れていて、風も無かったから火の粉が届く事も無かったのだ。
翌日のニュースで、あの婆が死亡したと報じられた。
ワイドショーでは、ゴミが邪魔で逃げ遅れたのではないかと言っていた。
もしかしたら、大切な何かを持って逃げようと捜していて逃げ遅れたのかもしれないとも言っていた。
火事の原因については、調査中だそうだ。