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3-8. 減法術

さて、【減法術Ⅰ】(サブトラクション)を習得したわけだが。

まずはステータスで確認してみよう。



===【演算魔法】========

【加法術Ⅰ】(アディション)   【減法術Ⅰ】(サブトラクション)

【状態操作Ⅰ】ステータス・オペレーション

===========



よし、【演算魔法】の中に【減法術Ⅰ】(サブトラクション)が加わっているな。



===【減法術Ⅰ】(サブトラクション)========

魔力を消費して数値の減算を高速且つ正確にこなせる。

計算能力はスキルレベルによる。

===========



【減法術Ⅰ】(サブトラクション)の説明はどこかで見たようなものだった。


これを使えば、日常生活でも引き算がササっとできるようになるのだろうか。

意外と【加法術Ⅰ】(アディション)は日常生活でも使う機会があったし、便利だったからな。


まぁ、説明はこんな所だろう。



===Status========

数原計介 17歳 男 Lv.3

職ジョブ:数学者 状態:筋肉痛・中

HP  40/40

MP  37/40

ATK 4

DEF 14

INT 19

MND 18

===Skill========

【自動通訳】【MP回復強化I】

【演算魔法】

=============



さて、ステータスはこんな感じだ。

一応こっちもチェックしておこう。


状態欄の筋肉痛が「中」に下がってるな。

このペースなら明日からはまた狩りが出来るだろう。


それとMPが3減っている。


3を消費しているのか。

内訳としては、ステータスプレートの呼び出しに1、それと残りの2は【減法術Ⅰ】(サブトラクション)の消費だろう。


【演算魔法】の消費する魔力量は次のような感じに決まっているようだ。

計算問題とか、金額の計算での足し算や引き算にはMPを2消費し、頭の中に答えが浮かぶ。

ステータスプレートの数字を足し算するときは、足した分と同じだけのMPを使う。


ということは、ステータスプレートの数字を【減法術Ⅰ】(サブトラクション)を使って引き算するときは、引いた分と同じだけのMPを使うのだろう。


…たぶんこの推測は間違ってはないだろう。【加法術Ⅰ】(アディション)【減法術Ⅰ】(サブトラクション)は似ている所が多いからな。

しかしステータスプレートの数字を減らす機会ってあるだろうか?





さて、【減法術Ⅰ】(サブトラクション)に関してはこんな感じだな。


「…ふぅ」


ちょっと深呼吸をして頭を切り替える。

引き算の計算練習に戻りますか。


(1)の答えである1を紙に書き、次の(2)へ。

(2)は「8-2」だな。式を紙に書き写し、魔法名を読み上げる。


【減法術Ⅰ】(サブトラクション)


そして少しの倦怠感と頭に浮かぶ「6」の文字。

うん、僕の暗算結果と同じだ。これくらいなら僕だって間違いなく出来る。


答えの「6」を紙に書き、続いて(3)へと進んでいった。





【減法術Ⅰ】(サブトラクション)……………ハァー、終わった」


B問題の(10)、「17-9」の答えを【減法術Ⅰ】(サブトラクション)で求め、「8」をノートに書いて計算練習終了だ。今日のお勉強はこれにて終了でいいかな。

時計を見ると時刻はお昼1時。案外時間が掛ったな。


ちなみに今日は前回の反省を踏まえ、途中で休憩を挟んだので魔力枯渇にはならなかった。

【加法術Ⅰ】(アディション)の時は休憩なしで解き続けたから、魔力不足に陥ってブッ倒れたんだったな。


今日はA問題が終わった辺りで一度[参考書]を閉じ、MPの数字が全快するまで長めの休憩を入れた。

休憩中は久々の魔物学者タイムを楽しんでいた。【MP回復強化Ⅰ】があるとはいえ、全快までは結構時間が掛かったので結構楽しめたな。


あぁ、それと今僕が抱えている悩みについても調べてたんだったな。

その悩みとは、慢性的な魔力不足だ。


使える魔法が増えれば、その分だけ沢山魔法を使うようになるだろう。

だが、今の僕は計算問題を解く時も狩りをする時も常に魔力枯渇に陥り気味だ。

狩りの時はポーションを使って強制的にMPを回復させているんだが、それじゃあ支出も中々バカにならない。


で、魔力枯渇を解決するにはどうすれば良い?

――最大MP量を上げればいい。

魔法発動に使う魔力量はそう変わらないらしいからな。


で、最大MP量を上げるにはどうすればいい?

――Lvを上げれば良い!


沢山狩りをやれば、その分だけ経験を積んでLvも上がり、ステータスも上がっていくだろ!





…そう思ったんだが、調べたところ残念ながらそうはいかないらしい。


この法則が成り立つのは(ジョブ)が戦士か魔術師の分類の人だけのようだ。

(ジョブ)が識者の分類に当てはまる僕はこれが通用せず、つまりLvが上がってもMPはそう上がらないようだ。


「…ハァーァ」


大きなため息を一つ。

…マジかよ。最大MPが上がらないのかよ。ずっとこんな感じなのかい。

不便極まりないな。


但し、悪い情報ばかりではなかった。

僕にとって朗報となるものもあったのだ。


なんと、(ジョブ)が非戦闘職となる産業人や識者の分類の人々はステータスが多少残念になりがちではあるが、その代わりにスキルが充実し、またLvやスキルレベルの成長速度も戦士や魔術師に比べて速いようだ。


この文を読んで、「どおりで」とも思ったり、また少し希望を持てたりもしたな。

「スキルめっちゃ手に入るな」って思った時もあった。しかし、スキルが充実しやすいという前提で考えれば、スキルがめっちゃ手に入っても何もおかしい所は無い。


そんな訳で、MPの上限は殆ど上がらないことが分かった。

となれば、僕はスキル方面を強くするしかないな。





…ハァ、たまにはこうやって数学の勉強をするのも悪くはないと思ったんだが、やっぱり嫌いなものは嫌いだ。いざやってみると非常に疲れる。精神的に。

まぁ今日は数学の勉強頑張ったし、しばらくは勉強しなくていいな。


さて、じゃあ宿に帰ってのんびりしよう。

風呂も沸かして夕方からのんびり入っちゃうか。

そんな事を考えつつ、[参考書]と計算練習に使った紙、それとペンをリュックにしまい、席を立つ。


マースさんに一言声を掛けて宿へと帰った。


さて、明日からは狩り三昧だ!

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本作は、以下リンク(後編)に続きます。
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『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで eˣᴾᴼᴺᴱᴺᵀᴵᴬᴸ

本作の『登場人物紹介』を作りました。
ご興味がありましたら、是非こちらにもお越しください。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで』巻末付録

 
 
 
本作品における数学知識や数式、解釈等には間違いのないよう十分配慮しておりますが、
誤りや気になる点等が有りましたらご指摘頂けると幸いです。
感想欄、誤字報告よりお気軽にご連絡下さい。
 
皆様のご感想もお待ちしております!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どうか、この物語が
 
小説を愛する皆様の心に、
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そして————数学嫌いの克服を目指す皆様の心に
 
届きますように。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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