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3-4. 初終猟

初のプレーリーチキンの狩猟から大体1時間、って所だろうか。

そろそろ王都に戻る事にして、街道へと歩を進める。


あれから、ディグラットとプレーリーチキンをとにかく狩りまくってたな。

どうやら、血抜きした時の血の匂いで魔物がやって来るようだ。魔物を倒し、血抜きし、そこでそのままのんびりして居ると続々とラットやらチキンやらが寄って来る。

ラット3匹に狙われた時はちょっと死を覚悟しかけたが、結局はグルグル作戦で粘り勝ちだったな。


プレーリーチキンのストーキング作戦は失敗に終わったな。

チキンの後を追って、ある距離まで近づくと急に振り向いてこちらを襲って来る。あの嘴の突っつきが割と痛いんだよね…。というか、なんで見てもないのに敵意分かるんだよ。なんだあの鳥ども、敵意探知機でも持ってんのかよ。

しかし、なんとか倒す方法も発見できた。

敢えて真正面から近づけばすれ違いざまにボレーシュートばりのキックを顔面にお見舞いできたな。

コツは近づくまでの間に出来る限り何も考えない事。ぼーっとしながらチキンに向かって歩くと敵意がバレにくかったぞ!


てな感じで、今僕のバッグの中にはそれぞれ6匹ずつくらい入っている。


うん、まぁまぁな収獲だ。


という訳で成果もある程度出たし、なんたってMPがもう危うい。そんな感じなので帰る事になったのだ。


僕の命綱であるステータス加算がMP不足のせいで出来ないんじゃあ、どうしようもないもんな。


そして今、買っておいた分のMPポーションは全て使い切った。

【MP回復強化Ⅰ】のスキルがあるとはいえ、やっぱり【加法術I】(アディション)を使い続けると魔力がなかなか持たないな…。


さっさと街道へと戻り、安全に王都へ戻ろう。





「ふー、やっと着いたー」


さて、東門へと帰ってきた。

軽く腕を上に挙げ、全身で伸びをしながらそう呟く。


金稼ぎの為に狩りをしなければならないなんて面倒だな、なんて昨日までは思ってなくも無かったが割と楽しかったな。


いや、ステータス加算の力ってハンパないね。

たかが10増えるだけで、魔物に通るダメージが全然違う。

一回ATKに【加法術I】(アディション)を掛け忘れてディグラットと戦ったが、アレは酷かった。

時間掛かり過ぎて近くに居たラットが2匹追加され、あの死を覚悟する戦となってしまったヤツだ。


時計を見ると、街の外に出ていた時間は4時間弱といった所だ。

意外と短かったが、その割には収獲はそこそこあった。

とはいえ、まず換金してみないと収穫量の良し悪しは分からないけどな。


時刻はまだ3時頃だ。東門の様子は特に出た頃と変わりないが、獲物を持って帰って来る冒険者の出入りは少ない。僕くらいだ。

出入りする人の大半は、港町からやって来た産業人の方々だな。馬車に乗り、護衛の冒険者を連れて王都へと入っていく。


僕もその流れに乗って、そのまま東門を潜って冒険者ギルドへと向かう。





…待ち時間とか、行列とか無しに門を潜れるのは楽で良いんだが、本当に荷物検査とか検問とかしないんだな。

いつ王都でテロを起こされてもおかしくないんじゃないか?

…まぁ、こんなタダの貧乏数学者がどうこう出来る訳じゃないんだが。


そーんな事を考えているうちにギルドに到着。


東門から直ぐなので、考えてる事もそう多くはない。というか、どうでも良い内容だったが。


よし、人生初の狩りの成果、獲物を買い取ってもらおう。

今日の結果はディグラット7匹、プレーリーチキン6羽だ。果たして幾らになるかなー。

すくなくともポーションと宿代を取り返す位にはなって欲しいが…。


そう思ってギルドに入ると、その瞬間周りの視線がこちらに集まる。


ザザッ


そして、ギルド内の全員が半歩引いた。

4人で雑談を交わしていた冒険者グループから弓術戦士や魔法使いであろう女冒険者、果ては斧を背負ったエラく(いか)つい男冒険者まで、本当に建物内の皆だ。

カウンターに座るギルドの職員さんまでもが微妙な表情を浮かべている。


「……ぇ……?」


……えーと…な、何でしょうか?

…僕が何かやらかしましたかね?


しかし、変な事をやらかした覚えは無い。

冒険者が狩りをするのも普通だし、早めに帰って来る事くらいあるだろ。


…えー、注目されたり、有名になったりするの嫌なんだけど。絶対、後々面倒なこと起こるじゃん。

どうか皆様の記憶から早々に僕の存在が抹消される事を祈ろう。





さて、未だ視線は感じるが買取をしてもらおう。

獲物買取のカウンターは右2つだ。

ちなみに一番左が登録等、中央2つが依頼関係になっている。


獲物買取の行列に並ぶ。

行列といっても、時間もまだ早めなので列はそう長くない。4人くらいだ。


顔を列からちょっと横に出し、買取の様子を伺ってみた。

青い水晶にステータスプレートをかざし、その後獲物を机に置いていく。

カーキウルフみたいに大型で机に置けない物は机の板を跳ね上げて引き入れて行くスタイルだ。

板を跳ね上げて通路を作った辺りに若干のデジャヴを覚えた。アレだな、コンビニとかのレジ台でもよくあるヤツだな。


獲物を買取に出している様子には少し驚いた。

買取に出される獲物は結構多くが刃物でギタギタにされてるな。

アレじゃあ血抜きも必要ないだろうってレベルだ。


何でそこまでするのだろうか?アレじゃあ、プレーリーチキンの羽が全く使えないじゃないか。


…まぁいい。他人は他人だ。僕は僕のやりたい事をするだけだ。


そして待つこと数分、僕の番がやって来た。


「はいじゃあ次の人どうぞ〜」


そしてカウンターに座っていたのは、まさかの朝と同じくタンクトップのゴリゴリめちゃマッチョなお兄さんだった。

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本作は、以下リンク(後編)に続きます。
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『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで eˣᴾᴼᴺᴱᴺᵀᴵᴬᴸ

本作の『登場人物紹介』を作りました。
ご興味がありましたら、是非こちらにもお越しください。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで』巻末付録

 
 
 
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感想欄、誤字報告よりお気軽にご連絡下さい。
 
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そして————数学嫌いの克服を目指す皆様の心に
 
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