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3-3. 鳥狩

初めての狩りを成功させた後、僕は調子に乗って狩りを続けていた。

既にリュックの中にはディグラットが6匹入っている。

今のところ、全部グルグル戦法で無傷の全勝だ。


最初の一匹を倒したところから徐々に遭遇率が高まってる気がするんだよな。

血抜きをした後に残る血の臭いで集まってきているのだろうか?


まあ良い、僕は調子が良かったからな。

()()()()()()


今はどんな状況なのかというと………



全身がだるくて動けません。

草原で大の字になってぶっ倒れている。


理由は勿論分かっている。

【加法術Ⅰ】(アディション)を使い過ぎて魔力枯渇に陥った。


現在のステータスはこんな感じだ。

戦闘中に開いてても特に邪魔にならないし、【加法術Ⅰ】(アディション)をいつでも使えるようにステータスプレートは開きっぱなしにしていたんだが、MP欄を確認し忘れていた。


ちゃんとMPを確認してから魔法を使わないと、これ事故るぞ。

現に今は周りに魔物が居ないから何も起こっていないが、襲われていてもおかしくないのだ。


ちなみに、今のステータスはこんな感じだ。



===Status========

数原計介 17歳 男 Lv.3

(ジョブ):数学者 状態:魔力枯渇

HP  40/40

MP  2/40

ATK 29

DEF 24

INT 19

MND 18

===Skill========

【自動通訳】【MP回復強化Ⅰ】

【演算魔法】

===Equipment==========

冒険者のナイフ(ATK +15)

===========



ATKはオバちゃんのナイフのお陰もあって、30に届きそうな所だ。

HPは無傷だけあって未だにマックス。

まだまだやれそうだな。


さて…、束の間の休憩も終わりにして、そろそろ動きたいのだが、魔力枯渇状態なので動くのがだるい。めちゃくちゃ動くのが面倒だ。


しかし、僕はこれを解決する方法を持っている。

テッテレー、「MPポーション」だ!

見た目はコルクの刺さった透明の瓶の中に入った、淡い赤の液体だ。魔力を回復させる効果があり、飲むとMPが回復するらしい。

ちなみに体力を回復させる効果のあるHPポーションは淡い緑だ。


という事でコルクを抜きMPポーションを服用する。


…なんだか化学的な甘さだな。サラサラにしたしたシロップ薬みたいな感じだ。

凄い味に、ちょっと飲んでて気持ち悪くなってきた。


しかし効果はあるようだ。倦怠感が身体の中からスーッと抜けていく。


「おぉ」


飲み干して10秒程だろうか。

今までの疲れが嘘のように無くなっていた。寝起きのスッキリ感に全身が包まれている。



===Status========

数原計介 17歳 男 Lv.3

(ジョブ):数学者 状態:普通

HP  40/40

MP  40/40

ATK 29

DEF 24

INT 19

MND 18

===Skill========

【自動通訳】【MP回復強化Ⅰ】

【演算魔法】

===Equipment==========

冒険者のナイフ(ATK +15)

===========



MPも全快したな。


「よし」


じゃあ休憩終わり。また狩りを始めますか。


そう思って立ち上がる。

ふと後ろを振り向くと。


目の前に鶏が居た。

いや、プレーリーチキンが居た。


「コッコッコッ」


……!?

いつの間にこんな近くまで!?


チキンと目が合う。

一瞬、僕とチキンの時間が止まった。


そして、フリーズから復帰した僕は。


「ぅおおおぉぉぉぉ」


咄嗟にチキンの顔面を蹴り上げていた。


よろめくプレーリーチキン。

僕も急いでナイフを抜き、身構える。


しかし、その必要は無かったようだ。

チキンは脳震盪でよろめき、数歩後ずさった後倒れた。


「…これって、僕の勝利で良いのか?」


まぁいいや。取り敢えずそういうことにしておこう。

ちなみに図書館情報によると、プレーリーチキンは自分に対し殺意を持った生物を敵とみなすようだ。そして敵には鋭い嘴で突きまくる攻撃を繰り出すようだ。


今の場合は、振り向くまで僕はチキンの接近に気付きもしなかった。だから味方でも敵でもないニュートラルだったのだろうか。


そういえば、本にはプレーリーチキンの血抜き方法も書いてあったな。頭を下向きにする所までは同じだが、首でなく舌を切ればいいようだ。嘴にナイフを突っ込んで適当に内側を掻き回せば、嘴からドボドボと血が流れてくるようだ。こうすれば羽毛に血も付かないし、傷の無い鶏肉が取り出せる。


ちなみに、これは罠や気絶させた時の方法だ。とにかく速効性を求める冒険者達は最も需要のある鶏肉を得る事だけを考えるので、羽毛が血で汚れても構わない人が割と多い。


…さて、なんだかんだでプレーリーチキンも倒してしまった。

しかし、アレだな。今の経験のおかげで、敵意を剥き出しにしなければチキン側も襲ってこないと分かった。

プレーリーチキンの対処法は、見つけたらそれとなく後ろから追っかけて顔面キックだ!


よし、じゃあ狩りを再開しよう。

取り敢えず精霊の算盤亭に泊まる分の金は稼がないとマジで野宿になってしまうからな。


まだHPもMPもたっぷりある。ポーションもまだある。

HPやステータス加算のMPが続く限り、狩りますか!

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本作は、以下リンク(後編)に続きます。
以下リンクからどうぞ。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで eˣᴾᴼᴺᴱᴺᵀᴵᴬᴸ

本作の『登場人物紹介』を作りました。
ご興味がありましたら、是非こちらにもお越しください。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで』巻末付録

 
 
 
本作品における数学知識や数式、解釈等には間違いのないよう十分配慮しておりますが、
誤りや気になる点等が有りましたらご指摘頂けると幸いです。
感想欄、誤字報告よりお気軽にご連絡下さい。
 
皆様のご感想もお待ちしております!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どうか、この物語が
 
小説を愛する皆様の心に、
心の安らぎを求める皆様の心に、
現実とかけ離れた世界を楽しみたい皆様の心に、
そして————数学嫌いの克服を目指す皆様の心に
 
届きますように。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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