14-17. 大漁
さあ。
読み切ったという事は、お待ちかねの『練習問題』だ!
魔力が引っこ抜かれそうな『例の感覚』を人差し指で感じつつ、ページを捲って練習問題へ。
さて……、この魔力の引きの強さはアレだ。
『連立方程式』然り、『因数分解・展開』然り、今回も『魔法2個ゲット』出来るかもしんないぞ!
…………どんな魔法が手に入るのかなー。
新たな【演算魔法】を想像し、期待が膨れ上がる。
もう練習問題が手につかないくらい、ドキドキだ。
……けっ、けどまぁ、とりあえず練習問題をやらないとな。
よし、【演算魔法】の件は勉強を終わらせてからだ。サッサと勉強を終わらせちゃおう!
【演算魔法】の事は一度忘れてっと!
そう僕自身に言い聞かせつつ、頬をパンと叩いて気持ちを切り替える。
心臓のドキドキが遅くになるのを感じながら、机の奥に置いといた紙とペンを手繰り寄せる。
左手で参考書が閉じないように押さえ、練習問題が載ったページを一度眺める。
……ふーん、今回もA問題10問、B問題10問の全20問構成だな。
A問題には、各問題にx-yグラフが印刷されている。どうやら『数式』からグラフを描いたり、グラフから数式を求めるってヤツだ。
B問題は、前半5問が『共有点の個数』を求める問題。後半5問は更に『座標』まで求める問題だな。
……さぁ、ポイントは確か『連立方程式』と『因数分解』だ。
それじゃあ、やって行きますか!
そんじゃあまず、A問題の(1)から。
「えーっと……、Aの(1)は…………――――
右手でペンを持ち、左手の人差し指で(1)の問題に触れる。
(1)は『下のグラフにy=3x²の放物線を描きなさ――――
ピタッ!
「おぅっ」
……左手の人差し指が、印刷された(1)の問題にくっつく。
「…………来たァッ!」
と同時に、一度忘れてたハズの【演算魔法】が頭の中に復活。
心臓が再びドキドキ言い始める。
…………ダメだった。『勉強してからのお楽しみ』作戦は失敗です。
お楽しみが目の前に有ると、勉強に集中できないことが分かりました。
……コレはどうやら、先に【演算魔法】の件を済ませた方が良いな。
その方が勉強もジックリ出来そうだし。
という事で。
ペンを置き、右手で参考書のページを押さえ。
左手の人差し指を、吸い寄せられるがまま(1)の問題にくっ付ける。
……改めて、今回はどんな魔法が手に入るのかな。
心臓ドキドキだ。
ってか、ドキドキを通り越してバクバクだ。
「フゥー……」
そんな気持ちを落ち着けるため、深呼吸。
……最近は【因数分解Ⅰ】とか【消去Ⅰ】とか【代入Ⅰ】とか、結構使い勝手の良い魔法が現れつつあるからな。
願わくば、この調子で今回もチート級の魔法が手に入らんことを!
「フゥー…………」
そんなことを考えつつ、もう一度深呼吸。
……左手人差し指に意識を向ければ、未だに感じる『あの感覚』。
赤ちゃんに指先をツネられてるような感じだ。
「……よしっ」
……さぁ、気持ちも落ち着いたし、準備オッケーだ。
行くぞッ!
「魔力、注入ッ!!」
最近お決まりになりつつあるセリフと共に、左手人差し指に意識を向け。
参考書の魔力を吸い取る力に任せ、ありったけの魔力を全身から流し込んだ。
その直後。
「うぅっ……」
頭がクラっとなり、視界が暗くなる。
と同時、全身から力が抜ける。
「くッ…………」
この感じは……魔力枯渇かッ…………!
けど、どうしてこんな突然ッ……!?
久しぶりの感覚を全身で感じつつ、背もたれに上半身を預ける。
そして。
ピッ
朦朧とした意識の中で聞き慣れた電子音を耳にしたのを最後に、意識を手放した。
ビクッ
「…………ッ!?」
全身がビクッと震えた衝撃で、目が覚める。
「……んんっ…………」
寝ぼけたまま瞼を開くと、目に入るのは天井。
……あぁ、そうだったそうだった。魔力枯渇だ。
魔力枯渇に陥って、椅子の背もたれにダランと寄っかかったまま寝ちゃったんだった。
……あれ?
そういえば、なんで魔力枯渇になったんだっけ――――
……あぁッ! そうだ、思い出した!
【演算魔法】だ!
寄っかかった状態から上半身を起こし、椅子に座り直し。
机の方に視線を向けると……――――
「おぉっ!」
僕の目の前に浮かんでいたのは。
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アクティブスキル【二次曲線Ⅰ】を習得しました
アクティブスキル【判別Ⅰ】を習得しました
アクティブスキル【共有Ⅰ】を習得しました
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新たな魔法を3個も載せた、メッセージウィンドウだった。
「うわうわうわッ……!」
メッセージウィンドウを見て、思わずそう叫んでしまった。
…………おいおいおい、こりゃ凄いぞ!
新しい魔法が2個どころか、3個も手に入ってるじゃんか! 大漁だ!
【二次曲線Ⅰ】に【判別Ⅰ】に【共有Ⅰ】か……。
確かにどれも[参考書]で見た単語だけど……、まさかこんなに沢山魔法が入るなんて。
魔法3個分……、そりゃ魔力を流し過ぎて魔力枯渇になる訳だよ。
では。
新魔法をゲットしたって事は、恒例の……。
「能力確認タイムだ!」
もうココまで来ちゃったら、練習問題なんかソッチノケだソッチノケ!
【演算魔法】の方を先に終わらせちゃおう!
「【状態確認】ッ!」
ピッ
早速ステータスプレートを開き、【演算魔法】の文字をタップ。
【演算魔法】一覧のプレートを呼び出す。
ピッ
===【演算魔法】========
【加法術Ⅲ】 【減法術Ⅱ】
【乗法術Ⅳ】 【除法術Ⅱ】
【合同Ⅰ】 【代入Ⅰ】
【消去Ⅰ】 【一次直線Ⅱ】
【二次曲線Ⅰ】 【定義域Ⅰ】
【確率演算Ⅰ】 【判別Ⅰ】
【因数分解Ⅰ】 【展開Ⅰ】
【共有Ⅰ】 【解析】
【求解】 【状態操作Ⅳ】
===========
……もう結構増えてきたから、新しく入った魔法を探すのにも一苦労だ。
【二次曲線Ⅰ】は真ん中ら辺に、【判別Ⅰ】はその斜め下に、【共有Ⅰ】は……下から2個目か。
バラバラに追加するんじゃなく、せめて纏めといてくれれば探すのもラクなんだけどなー……。
……まぁ、仕様にケチつけても仕方ないし。
そんな事は置いといてっと。
それでは、1個目の【二次曲線Ⅰ】、能力確認だ!
どんな魔法なのかな……。
そう思いつつ、【二次曲線Ⅰ】に指を触れた。
ピッ
===【二次曲線Ⅰ】========
魔力を消費して、二次関数およびそのグラフに関する演算を高速かつ正確にこなせる。
演算能力はスキルレベルによる。
※【状態操作Ⅳ】との併用による効果
任意の対象を、任意の放物線状に飛ばす事が出来る。
===========
成程な。
アレだ。【一次直線Ⅱ】が光や水、砂を真っ直ぐに飛ばせたヤツの『放物線』バージョンだ。
……ま、まぁ……魔法の名前からして『一次直線』からの『二次曲線』だし、予想通りだったな。
ごめんなさい、リアクションが薄くて。
……いや、リアクションは薄かったけど、期待してるよ! 勿論!
【一次直線Ⅱ】は『レーザー魔法』だったから……【二次曲線Ⅰ】は『曲がるレーザー魔法』って感じかな?
まぁ、使ってみないとどんな魔法か分からないし。明日試してみよう。
……よし。気を取り直して次だ!
新魔法2個目、【判別Ⅰ】。コイツは【二次曲線Ⅰ】とは違って、名前から考えてもどんな魔法なのか思いつかないからな。
さぁ、来いッ! チート級魔法!
そう念じつつ、魔法一覧が並ぶプレートの中から【判別Ⅰ】の文字に触れた。
ピッ
===【判別Ⅰ】========
魔力を消費することで、関数の判別式Ðを運用して解の個数を高速かつ正確に求められる。
演算能力はスキルレベルによる。
※【状態操作Ⅳ】との併用による効果
術者の周囲に存在する任意の対象について、その個数を瞬時に求める事が出来る。
探知範囲はスキルレベルによる。
===========
『僕の周りにある物の個数を調べられる』、か……。
って事は、つまり……『探知魔法』!?
アレか!? もしかして、対象を敵に設定すれば『周囲に敵3体ッ!』みたいな感じの事が出来るのか!?
おいおいおい凄い魔法じゃんか! レーザーならぬ、レーダーだ!
是非ともコレは明日の特訓で試さないとな!
さて。
気分も上がってきたところで、新魔法3個目の能力チェック、行ってみよーッ!
最後の魔法は【共有Ⅰ】だ。
名前からして、きっと『共有点』と関係ある魔法なんだろうな。
だとしたら……どんな能力なんだろう? 思いつかない。
けどまぁ、どんな能力であっても僕は大歓迎だ!
そんな事を考えつつ、【共有Ⅰ】の文字に触れた。
ピッ
「………………おおおォォッ!!」




