14-16. 二次関数Ⅱ
Point④
『直線と放物線は"2回まで"交差できる』
さて。
今度は『同時に2つのグラフが描かれていた時』について考えるぞ。
……では、突然ですが問題です。
x-yグラフにある一次関数の直線を描きました。
その上から、それとは異なる一次関数の直線を描きました。
という事で、今x-yグラフには2本の直線が描かれています。
この2本のグラフが交差する場所、『交点』は何個あるでしょうか?
自分なりの答えを頭の中に浮かべてみよう。
……さぁ、分かったかな?
答えは『0個か1個』だ。
多くの人は『1個』だけと答えるかもしれないけど、『0個の場合が有る』っていう事を忘れちゃダメだ。
2本の直線をグラフに描くとき、2本の直線の傾きが違えば交点は『1個』になる。
傾きが同じならば2本の直線は平行だ。交差しないから交点の数は『0個』だ。
つまり、『2直線の傾きがどうであるか』によって交点の個数が変わり、答えは『0個か1個』となるぞ。
…………さて。
今の問題を間違えた人の中には『ヘリクツだ!』と思った人も居るかもしれない。
そんな方には大変申し訳なく思ってます。
思ってるんだけど、敢えて謝りません。
その代わり、問題をもう一問出します。
今の『ヘリクツ』を有りにして、次こそは正解して下さいッ!
って事で問題です。
x-yグラフにある一次関数の直線を描きました。
その上から、ある二次関数の放物線を描きました。
そして今、x-yグラフには1本の直線と1本の放物線が描かれています。
この2本のグラフが交差する場所、『交点』は何個あるでしょうか?
自分なりの答えを頭の中に浮かべてみよう。
……さぁ、答えだ。
正解は『0個か1個か2個』だ。
今回こそは正解できたかな?
『2本の直線』の時は、傾きがどうであるかによって交点の個数が変わった。……けど、今回の交点の個数は『直線と放物線がどんな位置関係にあるのか』によって変わる。
まず、交点が0個の時。
コレは『放物線と直線が交わらない場合』だ。
下がって上る『下に凸』の放物線より下を走る直線だったり、上って下がる『上に凸』の放物線より上を直線が走っていたら交差できないからな。
次に、交点が2個の時。
コレは『直線が放物線をブッスリ貫く場合』だ。
左右に伸びる放物線のうち、左側のカーブと交差した後に右側のカーブともう一回交差する場合だ。
最後に、交点が1個の時。
コレは『直線が放物線スレスレで掠った場合』だ。この時には、交点が1個になるぞ。
ちなみに、『掠る場合』ってのは『交点2個』と『交点0個』のちょうど境界部分になっているぞ。
……という事で。
この問題の正解、1本の直線と1本の放物線の交点の数は『0個か1個か2個』となるぞ。
正解できたかな?
ちなみに、この『交点』には別名がある。
2つの関数が共に有する点だから『共有点』とも言うぞ。
覚えておこう。
Point⑤
『交点の座標は"連立方程式"で求めよ』
Point④では、2つの関数があれば『交点』が現れるって事が分かった。
となると、次は『その交点がx-yグラフのどこに現れるのか』って事が気にならないかな?
という事で、このポイントでは『交点の座標』を求めるぞ!
っと、その前に。まずは『座標』についてだ。
x-yグラフ上に『直線や曲線』を描きたい時には、y=ax+bだのy=x²だのと言った『関数』を使えば良いんだよな。
じゃあ、x-yグラフ上に『点』を打ちたい時には、何を使えば良い?
……その答えは『座標』だ。
グラフ上の1個の点は()と,を使って『(x,y)』って言う風に表す。横軸の座標が,の前、縦軸の座標が,の後だ。
例えば、x=1,y=3なら(1,3)。x=-4,y=9なら(-4,9)。原点なら(0,0)。
小数点が有っても、x=0.5,y=1.3なら(0.5,1.3)という風に.と,を書き分ければ大丈夫だ。
『座標』についてはこんな感じかな。
そんじゃあ、本題の『2関数の"交点の座標"』の求め方に移ろう。
まずは『一次関数と一次関数』の組み合わせから。
例1)y=x+3とy=-2x+12の交点の座標を求める。
さて、どうやって交点の座標を求めれば良いかな……。
毎回グラフを描けばきっと分かるんだろうけど、毎回グラフを描くのは結構大変だ。
時間も掛かるし、グラフを描くスペースも結構必要になるし……。
だがしかしッ! もっと簡単な方法が有るのだ!
『交点』とは、1本目の式に当てはまる点であり、しかも2本目の式にも当てはまる点。
つまり2本の式に同時に当てはめられるx,yのペアを求めれば良いのだ。
『x,yのペア』、この響きを皆は覚えているだろうか?
……そう! 既に勉強した『連立方程式』を使えば、交点の座標がカンタンに求められちゃうぞ!
って事で、例題の2式を連立させて解いてみよう。
┏y=x+3
┗y=-2x+12
連立させた形がコレだ。
今回は『加減法』よりも『代入法』を使った方がラクなので、yを『代入法』で消去して解く。
x+3 = -2x+12
3x = 9
x = 3
すると『x=3』という答えが出た。コレで交点の座標が(3,?)って所まで分かったぞ!
後は、x=3を使って……。
y = x+3
= 3+3
= 6
という事で、『y=6』。つまり、交点の座標は(3,6)と求められたぞ!
グラフを描いて見れば分かるけど、2本の直線も(3,6)の点で交差するハズだ。
それじゃあ次は『一次関数と二次関数』の組み合わせで行こう。
例2)y=x+2とy=x²の交点の座標を求める。
この問題でも、基本的にやる事は同じ。2本の式を連立させるのだ。
┏y=x+2
┗y=x²
次の操作も同じ。yを『代入法』で消去すると……。
x² = x+2
x²-x-2 = 0
こうなる。
後はこの式を解いて、『x=?』って形にすれば交点のx座標が分かるんだけど……。
どうしようかな……?
そこで次に使うのが、この前勉強した『因数分解』! 左辺を2つの()に分解するヤツだ。
『足して-1、掛けて-2になる数字の組』と言えば……-2と+1。
って事で…………。
x²-x-2 = 0
(x-2)(x+1) = 0
こんな風になっちゃった!
……さて、ここからは皆の想像が重要になる。
『(x-2)(x+1)=0』っていう状況を作り出すには、xはどうなっていれば良いか?
……その答えは、『(x-2)と(x+1)のうち、片方を0にするようなxになれば良い』。
(x-2)と(x+1)の積だから、片方が0になれば掛け算の結果も0だからな。
ということで、その条件を満たすxは『2と-1』。
つまり、次のようになる。
(x-2)(x+1) = 0
x = 2,-1
最後に、x=2の時のy、x=-1の時のyを求めれば完了だ。
実際に計算をすれば、x=2の時はy=4、x=-1の時はy=1。
つまり、例題の答え・交点の座標は『(2,4)と(-1,1)』ってなるぞ!
解き方は以上。
2本の式から『連立方程式』を組み、『因数分解』でx=0になる組合せを探す、こんな流れだ。
……それじゃあついでに、『共有点を1個持つ』時と『共有点を持たない』時の例題もやってみよう。
例3)y=-x²とy=2x+1の交点の座標を求める。
まず、連立方程式を組む。
┏y=-x²
┗y=2x+1
次に、yを消去。
-x² = 2x+1
x²+2x+1 = 0
(x+1)² = 0
これを満たすxは、x=-1だけ。
つまり、共有点は(-1,?)の1個だけになる。
x=-1を数式に代入すれば、y=-1が得られる。
……という事で、共有点は(-1,-1)の1点だけだ!
例4)y=x²とy=2x-5の交点の座標を求める。
これも同様に解いて行こう。
┏y=x²
┗y=2x-5
x² = 2x-5
x²-2x+5 = 0
……でも、残念ながら『x²-2x+5』の計算結果を0にするxは存在しない。
xは無い……つまり、共有点も無いって事だ!
という事で、『2関数の交点の座標』を求める時には、今までに勉強した連立方程式や因数分解の知識が必要になる。
……けど、逆に言うと、連立方程式や因数分解を応用すれば『交点の座標』が求められるのだ!
今まで勉強した事は、決して無駄になっていない。
知識をフルに使って問題を解こう!
Point⑥
『共有点の個数は"判別式Ð"でチェック』
一次関数と二次関数の共有点は、0個から2個まで現れることが分かった。
その『個数』は、連立方程式を組んで因数分解し、xの値を求めれば分かる。
xの値が2個出れば『共有点2個』、1個だけなら『共有点1個』、xが無ければ『共有点無し』だ。
……だけど、単に『個数』だけが欲しい時には、もっと簡単な近道が有る。
その近道の名は……『判別式』だ! ソレを使えば、簡単に共有点の個数を求めることが出来るぞ!
方法は簡単。
まず、『連立方程式』でyを消去し、xの二次式『ax²+bx+c=0』という形にする。
次に、a,b,cを次の式に当てはめてÐの値を求める。
Ð = b²-4ac
そして、もしÐがプラスなら『共有点は2個』。マイナスなら『共有点は無し』。0なら『共有点は1個』になる。
……それだけ。
どう? 簡単じゃない?
それじゃあ、さっきの例題でÐを試してみよう。
例2)y=x+3とy=x²の交点の座標を求める。
『共有点は2個』だった問題だ。コレにÐを使えば、『0<Ð』ってなるハズ。
……という事で、やっていこう。
2関数を連立して解けば、『x²-x-2=0』。
コレと『ax²+bx+c=0』を見比べれば、a=1,b=-1,c=-2だ。
このa,b,cを、判別式Ðに組み込めば……
Ð = (-1)²-4・1・(-2)
= 1+8
= 9
ちゃんとÐはプラスになったぞ!
例3)y=-x²とy=2x+1の交点の座標を求める。
この問題の共有点は1個。つまり、Ðは丁度0になるハズだ。
って事で、Ðを確認。
2関数を連立すれば『x²+2x+1=0』。a=1,b=2,c=1になるな。そんじゃあ、この判別式は……。
Ð = 2²-4・1・1
= 4-4
= 0
オッケー。丁度0になったな!
例4)y=x²とy=2x-5の交点の座標を求める。
この問題の共有点は無し。Ðはマイナスになるのを確かめよう。
2関数を連立すると『x²-2x+5=0』、a=1,b=-2,c=5だ。この判別式は……。
Ð = (-2)²-4・1・5
= 4-20
= -16
よしよし。ちゃんとÐはマイナスになった!
……ってな感じで、『Ð』を使えば共有点の個数を『判別』してくれるぞ!
判別式Ð、覚えておこう。
まぁ、どうして判別式Ðを使うと『共有点の個数』が分かるのかは……また今度で。
二次関数についてはこんな感じだな。
あとは、最後にコラムを読めばお終いだ!
Column
『xの値は"解の公式"で求められる』
共有点の個数を求めるには、まず『連立方程式』、続いて『因数分解』だ。
……だけど、中々因数分解じゃ思いつかない『x』だってあるハズだ。
例えば、『6x²+x-35=0』とか、一見因数分解できなさそう。
……なのだが、実は『(2x+5)(3x-7)=0』って因数分解できるぞ。
でも、こんな因数分解とか見つけるの面倒だよね。
……そんな方のために、xを求めるために『解の公式』というのが用意されているのだ!
コレを使えば、計算は面倒だけど必ずxを求めることが出来るぞ!
使い方は、さっきの『a,b,c』を次の式に代入するだけ!
-b ± √b²-4ac
x=──────────
2a
√が入っちゃうけど、コレでxが求められるぞ!
『±』っていう記号を使っており、1本の式で2個の『x』を表しているぞ。
この式も是非覚えておこう。
複雑な公式だから、最初の方は『ニエーブンノマイナスビープラスマイナスルートビーニジョーマイナスヨンエーシー』って感じで呪文みたく口ずさみながら覚えていけば、きっと身についているかもね。
「うぅぅ…………、読み切ったぁぁ……」
いやぁー……二次関数、長かったなぁー。
途中で参考書を読むの挫折しそうになったけど、なんとか読み切ったぞ。
……さあ。
読み切ったという事は……、お待ちかねの『練習問題』だ!
今回も例に漏れず、僕の人差し指には『あの感覚』がビンビン来てるのだ!
しかも、この引きの強さ……もしかしたら再び『魔法2個パターン』かもしんないぞ!




