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2-10. 冒険者

その後、食べ忘れていた朝食だけ済ませて宿に帰ってきた。


部屋の鍵を開け、リュックを椅子に置いたらベッドダイブ。


「あー、疲れたーっ!」


時間としてはまだ朝の10時頃なのだが、僕としてはもう今日やり切った感がある。

まさかあんなスキルを取ってしまうなんて。

【加法術Ⅰ】(アディション)とか、本当に数学者のためのスキルだ。というか、最早僕だけのためにあるスキルだ。


ってか、なんでこんなスキルが取れたんだ?

まぁ、予想はついている。多分あれだろう。普通足し算するのにわざわざ魔法なんて使わないもんな。

「2km走ってきたら答えが分かります」的な感じのスキルだ。普通の人々だったら、迷わず普通に足し算するだろう。

だからこそ計算すらロクにできない僕はこんなスキルが手に入ったんだ。そうしておこう。


それと、今日のもう一つの発見。まさか魔力を使い過ぎるとあんな目に遭うとはな…

まぁ、倒れたのが安全な所で良かった。

これがもし街の外とかだったら、僕も知らぬ間に死んでたかもしれない。

まぁ街の外に出る機会があるかどうかは知らないけど。


あぁー、にしても朝食後だからか眠くなってきた。

陽が昇ってきたので段々暖かくなってきたし、気持ちが良いな。


うん、よし、今日僕頑張ったし、寝てしまおう。

他はまた明日だ。

おやすみー……






目が覚めた。


部屋はオレンジ色に染まっている。

時計を見ると午後6時頃だ。

お昼寝で8時間睡眠とは、我ながら贅沢だな。

日本だったら中々出来ない。


「フーッ」


ベッドの上で軽く伸びる。


さて、昼寝したお陰か大分スッキリした。身体の倦怠感もかなり取れたな。

そうだ、倦怠感と言えば魔力枯渇状態は回復しただろうか。

こういう時は確認だ確認。


「オープン・ステータス」

ピッ



===Status========

数原計介 17歳 男 Lv.3

(ジョブ):数学者 状態:普通

HP  40/40

MP  39/40

ATK 4

DEF 14

INT 19

MND 23

===Skill========

【自動通訳】【MP回復強化Ⅰ】

【演算魔法】

=============



よし、MPは全快してるな。良かった良かった。

【MP回復強化Ⅰ】も効いているのだろう。


さて、疲れも取れたし、暇になってしまった。


何をしようか…?

今から図書館は…無いな。

行った所で1時間も居られないし、倒れたその日にまた行くってのも気が引ける。マースさんにも心配を掛けさせてしまうだろう。


夕食に行っても良いかなとは思ったんだけど、意外と寝る前に食べた朝食が残っているのか空腹感が無い。

夜遅くまで店やってるし、無理して今食べる事はない。


あ…そうだ。なんとかして金稼ぎしないと…。

マジでヤバい。このままだとここを借りれるのもあと2日だけだ。


金稼ぎにしてもなぁ…

この世界で金を稼ぐなら、仕事に就いて働くか冒険者になって獲物をとってくるかの二択だ。後は奴隷になるという道もあるらしいが、僕は死んでも選択しない。





この世界での冒険者は、街の人が求める獲物や薬草、鉱石などを狩猟・採取したり、魔物の討伐、産業人の移動の護衛などをする仕事だ。

そして街の人と冒険者の仲介をするのが冒険者ギルドだ。冒険者ギルドは街の人から求める物を報酬付きの「依頼」という形で引き受け、依頼を冒険者たちが受ける。そして冒険者ギルドで持ち帰った依頼のモノと引き換えに報酬を受け取る。

その報酬で冒険者は基本的に生計を立てている。

他の報酬としては、「ダンジョン」と呼ばれる魔物の巣窟からレアな物を得ることかな。

厳密には魔力が極端に溜まり、魔物が異常発生する場所をダンジョンと呼ぶだけで、「ダンジョン」というモノは存在しない。

そういう所にはレアな鉱石、薬草などが現れやすく、冒険者にとってはボーナス収入となる。


で、誰が冒険者になるのか?

その答えは、「誰でもオッケー」である。

(ジョブ)を問わず、誰でもギルドに登録さえすれば冒険者になれる。

ただ、勿論依頼を受けている間に怪我したり、死んだりすることもあるが全て自己責任だ。そのため、冒険者の大半は(ジョブ)が戦士や魔術師の分類である「戦闘職」が占める。


まぁ、一獲千金を目指す産業人や、ヴェダ・ティマクス王子のように修行に出される識者の冒険者も居るようだが。


ただ、誰でもなれるとはいえ魔物を相手にできなければ意味が無い。ということで、まともに魔物を相手にとれるだけの基準となるステータスは一応存在する。

近接戦闘をする人ならATK・DEF、魔法使いならINT・MNDがそれぞれ20は無いと厳しいようだ。これを下回るとダメージを与えられなったり、魔物の攻撃を耐えられなかったりするようだ。

ステータス20を境に死亡率も大きく変わるらしい。





ちなみに、今の冒険者についての情報も図書館で得たものだ。図書館って本当にどんな情報でも揃ってるんだね。


僕が冒険者になるんなら、何かしら武器を持って近接攻撃の形になるだろう。系統魔法とか全く使えないし。

となると、ATK・DEFがそれぞれ20か…。難しい。


いずれにせよ、仕事に就けなければ冒険者になって生計を立てるしかないだろう。

……というか、もう仕事探すの面倒だから冒険者になろうかな。もうそんな考えに傾きつつある。



――あぁ、もういいや。

仕事探すの面倒だし、この先の事を考えるのも面倒になってきた。

こういう時は勢いだ!


冒険者になろう。

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本作は、以下リンク(後編)に続きます。
以下リンクからどうぞ。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで eˣᴾᴼᴺᴱᴺᵀᴵᴬᴸ

本作の『登場人物紹介』を作りました。
ご興味がありましたら、是非こちらにもお越しください。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで』巻末付録

 
 
 
本作品における数学知識や数式、解釈等には間違いのないよう十分配慮しておりますが、
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小説を愛する皆様の心に、
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そして————数学嫌いの克服を目指す皆様の心に
 
届きますように。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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