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2-9. 演算魔法

なんだかいきなり魔法を手に入れてしまった。

その名も【演算魔法】。


名前からすれば正に数学者のためのようなスキルだが、まさか僕が魔法を習得できるとは思わなかった。

未だに突然の出来事で頭が追い付かないが、とりあえず整理していこう。


確かステータスプレートにスキル欄があったな。とりあえず確認してみるか。


「オープン・ステータス」

ピッ



===Status========

数原計介 17歳 男 Lv.3

(ジョブ):数学者 状態:普通

HP  40/40

MP  37/40

ATK 4

DEF 14

INT 19

MND 23

===Skill========

【自動通訳】【MP回復強化Ⅰ】

【演算魔法】

=============



お、スキルに【演算魔法】が追加されているな。

しかしもう一つが入っていない。

どこかな?もしかして間違いだったのかな…?


そう思いつつステータスプレートをいじっていると、【演算魔法】に触れた時。


ピッ


小さな電子音と共に、新たなステータスプレートが隣に現れた。



===【演算魔法】========

魔力を消費して高速且つ正確な数値計算を可能にする魔法。


【加法術Ⅰ】

=============



押して詳細が開くのか。

なんだかステータスプレートの操作方法ってタブレット端末みたいだな。

じゃあ、【加法術Ⅰ】を押せばその内容が見られるのだろうか。

どんな魔法なのだろう。久しぶりにワクワクするな。


ピッ



===【加法術Ⅰ】(アディション)========

魔力を消費して数値の加算を高速且つ正確にこなせる。

計算能力はスキルレベルによる。

===========



…なんだこの魔法。計算ができるだけ?それだけ?

それなら魔法じゃなくても出来るじゃん…。イメージと少し違う。

でもまぁ、暗算すらままならない僕にとっては有難いスキルだろう。


そういえば、さっき頭の中には「5」と浮かんだが、これは魔法がちゃんと発動した証拠なのだろう。

A問題の(1)には「3+2」と書いてあった。


とりあえず、試してみるか。



(2)は「5+4」。

こんな問題には魔法を使うまでも無いが、物は試しだ。

問題に指先を当て、小さく呟く。


【加法術Ⅰ】(アディション)


それと同時に身体中に回る少しの倦怠感、それと頭の中に浮かぶ「9」のイメージ。


「おぉ」


うん、合ってる。

とりあえず、普段の宿題と同じように紙とペンで問題と答えを書いていく。


(3)は「1+6」。


【加法術Ⅰ】(アディション)


そして呟くと同時に魔力消費を感じ、頭に浮かぶ「7」のイメージ。


「おぉぉ」


これは良い。

やばい、なんか面白くなってきた。





そして、気付くとB問題の(9)まで進んでいた。

魔法は百発百中だ。ミスも無いし答えが浮かぶのも一瞬。

だが、ちょっと疲れてきたな。少し目がクラクラする。


でもまぁ、あれだろ。毎日本を読んでるから目が疲れているんだなきっと。最近も休みなく図書館に来ていたし。


(9)は「7+5」。B問題はA問題と異なり、繰り上がりを含むものだ。


「…【加法術Ⅰ】(アディション)


そして即座に頭に浮かぶ「12」のイメージ。

答えを紙に書き込む。


「…ハァ、よし、最後だ」


そして(10)に進む。問題は「9+8」。


「…【加法術Ⅰ】(アディション)……うっ」


頭に「17」が浮かぶと共に、突然僕の意識は闇へと落ちていった。





————ん、——すか?」

———介さん、大丈夫ですか?」


誰かの声が聞こえる——





「はっ」


目が覚めた。

ここは…あぁ、図書館か。ここで寝てたのか、僕。

しかし直前の記憶は…最後の問題を解いて……。

あれ、なんだっけ?覚えてない。

何があった…?


「良かった、目が覚めましたね。どこか具合は悪くありませんか?」


そして僕の隣には司書のマースさんが立っていた。

さっき、僕に声を掛けてくれていたのはマースさんだったのか。


「ありがとうございます。悪い所は特にありませんが……強いて言えば、額と鼻が痛いですかね」

「そうでしょうね。計介さん、いきなり机に頭をぶつけて突っ伏してしまいましたから。突然図書館にゴツンという音が響いて驚きましたよ」


そうだったのか。それはご迷惑をお掛けしてしまった。


「それと、リュックの中の入場許可証を見て、貴方の名前を確認させて頂きました。勝手に見てしまい、申し訳ございません」


そう言ってマースさんが頭を下げる。

確かに、机上には許可証が乗っている。僕が出した覚えは無いので、マースさんが出したのだろう。


「いえ、気になさらないでください。こちらも感謝してますので」

「そう言っていただけると助かります。あ、あと機密書庫の閲覧許可も確認しましたので、ご覧になりたい場合はお伝えください」

「はい、分かりました」


そう言って、マースさんは司書席へと戻って行った。


はぁ…身体中に疲れが溜まっている。

長距離走をやり切った後の感覚だ。


それと、突然意識を失ったようだが、何故だろうか。

少し心配だ。何か病気でも抱えてるんじゃ無いだろうか…?

こういう時は、とりあえずステータスプレートで確認だ。


「オープン・ステータス」

ピッ



===Status========

数原計介 17歳 男 Lv.3

(ジョブ):数学者 状態:魔力枯渇

HP  39/40

MP  1/40

ATK 4

DEF 14

INT 19

MND 23

===Skill========

【自動通訳】【MP回復強化Ⅰ】

【演算魔法】

=============



魔力備蓄量を表すMPがほぼゼロだ。魔力を使い果たしている。そして状態欄にもそう出ているな。


魔力枯渇と失神には関係があるのだろう。

調べてみたら棚番号469の棚に、人体と魔力との関係を纏めた本があった。それによると、どうやら魔力枯渇時には失神したり、そこまで行かなくとも酔ったり過呼吸になったりと人によって様々なようだ。


とりあえず、疲れた。

さっさと宿に戻って今日は養生しよう。


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本作は、以下リンク(後編)に続きます。
以下リンクからどうぞ。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで eˣᴾᴼᴺᴱᴺᵀᴵᴬᴸ

本作の『登場人物紹介』を作りました。
ご興味がありましたら、是非こちらにもお越しください。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで』巻末付録

 
 
 
本作品における数学知識や数式、解釈等には間違いのないよう十分配慮しておりますが、
誤りや気になる点等が有りましたらご指摘頂けると幸いです。
感想欄、誤字報告よりお気軽にご連絡下さい。
 
皆様のご感想もお待ちしております!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どうか、この物語が
 
小説を愛する皆様の心に、
心の安らぎを求める皆様の心に、
現実とかけ離れた世界を楽しみたい皆様の心に、
そして————数学嫌いの克服を目指す皆様の心に
 
届きますように。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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