10-12. 文字式Ⅱ
文字式のポイントは以上だな。
それじゃあ、『文字式』についてのまとめだ。
・数字と一緒にアルファベットやギリシャ文字を使った式を、文字式という。文字には、1つにつき1つの数が入る。
・文字式や、文字入り()の直前の『×』は省略する。
・×を省略する時には、『数字・ギリシャ文字・アルファベット』の順で並べる。
・『÷』は基本使わず、分数で表す。
・同じ文字を2回以上掛ける時は、『累乗』を使う。
・『1 ×』『× 1』は省略する。
これらのポイントを押さえていけば、掛け算や割り算が幾つも並ぶ複雑な式だって簡単に表せるようになるぞ!
例えば、次のような式。
『e × 2 ÷ (b+7) × 1 ÷ c × (a-5) × b ÷ 3』
こんな式でも上のポイントを使えば……
2be(a-5)
―――――――――
3c(b+7)
このようになる。分数の形でスッキリできるのだ!
そんな感じで、これからは『文字式』のルールを使ってカッコよく数学を解いていこう!
「フゥー……難しい…………」
説明のページって、結構読んでると難しいんだよね。
不思議と眠気はやって来ないんだけど、理解できるかどうかって言われるとね……。
まぁ、とりあえず以上で『文字式』の説明は終わり。
見開きイッパイに説明が書かれたページを捲り、次に進む。
さて、次は練習問題かなー……
そう思いつつ次のページに目をやる。
「うぉっ」
無意識に声が零れる。
次のページにも見開き半分ほどには文字の羅列が。
……まだ説明、残ってたんかい。
ちなみに、それを過ぎれば練習問題、A問題とB問題あわせて20問が残りの見開き半分で待っている。
よし、そんじゃあもう少し頑張りますか。
Column
『なぜ文字を使う?』
ここは説明というより、豆知識コーナー的な感じだな。
なんで数式に『文字を使う理由』が載っている。
さて、この単元では『文字』を使った数式を取り扱ったわけだが。
これを勉強する人の中には、『なんで数学なのに英語を使わなきゃいけないんだよ!』とか、『数学は数字だけ使ってりゃいいだろ!』とか言うクレーマー中学生も居るだろう。
そんな子のために、『数学において文字を使う理由』を説明しておこう。
理由は大きく分けて3つだ。
まず1つ目、『分からない数字を求めるため』。
コレはPoint①に出た、『120 × a = 480』の使い方だ。
分からない数字をaにして、aに入る数を求める、そういう方法だな。
ちなみにこの使い方では、文字を『未知数』と呼ぶ。
次に2つ目、『2つの数の関係を結びつけるため』。
さっきのボールペンの問題を例に挙げていこう。
『120円のボールペンを4本買ったら480円』だったんだよな。
それじゃあ、『5本』買ったら?
その答えは『600円』だ。
6本買えば、720円。
7本買えば、840円。
8本買えば、960円。
それじゃあここで、『x本買えば、y円』ってなるとすれば、『y = 120x』っていう式が成り立つのだ!
xかyのどちらか片方が分かれば、もう片方も上の式を使って求める事が出来る。
こんな感じで、『y』と『x』の関係を数式として表すことができるのだ。
楽チンだね!
ちなみに、この考え方で使う文字は『変数』、それらを使って表した数式を『関数』という。
この問題でいえば、『x』『y』が変数、『y = 120x』が関数だ。
この知識は後で学ぶ『関数』の単元でも使うので、覚えておくと良いかもね。
最後に3つ目、『定数を表すため』。
地球上では、いつでもどこでも同じ、世界共通の『定数』という物が存在する。
代表的な例が『円周率』だ。3.14……っていう数字は世界共通。小数点以下の第何位で切り捨てるかは別として、違う数字を使う人は居ないだろう。
で、そういう『定数』ってのには文字が与えられている。円周率ならπ、高3でやる『ネイピア数』ならe、って感じだ。
では、なぜ『定数には文字が与えられているのか?』について触れておこう。
『定数』ってのは整数では表せず、分数でも表せず、終わりの無い小数である事がホトンドだ。
なので、計算をする上ではどこかの位で『切り捨て』をしなければならない。
日本では、円周率を『3.14』として計算する人が多いだろう。だが、時代によっては『3』で計算したり、細かい人や正確な値を求めたい人なら『3.14159』を使うかもしれない。ごく少数だろうけど、『3.14159265358979』を使うって言う人も居るかもしれない。
そこで、そんな人々に『直径2cmの円の円周を求めて下さい』って問題を出したとしよう。すると答えは『6.28cm』『6cm』『6.28318cm』『6.28318530717958cm』と様々な答えが返ってきてしまう。
どれも円周の公式、『2πr』に円周率と半径1cmを当てはめた解答で、間違いではない。
答えの精度に差があるだけだ。
……こんな感じで、間違いじゃないんだけど幾つも正しい解答があるんじゃ不便だよね。
そこで『円周率そのものを文字にしてしまえば良いんだ!』という考え方だ。
これなら『3.14』を使う人でも『3』を使う人でも、答えが『2π』で統一できるぞ!
それに『3.14』より『π』の方が楽に書けるしな。
そういう感じで、定数には文字が付けられているのだ。
「へぇー……」
文字式、奥が深いな。
単なる文字でも『未知数』『変数』『定数』と役割が違うんだな。
よし、説明は一通り終わったな。
それじゃあ、お待ちかねの練習問題だ!
パッと見た所、A問題もB問題も『文字式のルール』に則って『正しい文字式』に書き換える問題だ。
今回は割と簡単そうだ。
さて、そんじゃあ練習問題に行ってみよー!
……何か新魔法、ゲットできるといいなー。




