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107/548

7-26. 成功

※11/1

タイトルが『2-26. 』になっていたので『7-26. 』に修正

さて、中々ショッキングな光景が見れてしまったが、皆なんとか気を取り直して探索を再開した。


ちなみに、今盾本の鼻にはガーゼが詰まっている。

可合が日本から持ってきた重要物(キーアイテム)の[救急箱]からガーゼを取り出し、止血してあげていたのだ。


可合の優しさは異世界に来て、迷宮(ダンジョン)に潜っても変わらない。いつでもどこでも優しさに満ち溢れてるな。



まぁ、それは置いといて。

迷路のように入り組んだ迷宮(ダンジョン)の3層目を歩いていく。


勿論、探索・マッピングの途中にも魔物は続々と現れる。

そんな時には実戦練習だ。

シン・可合・盾本はそれぞれ新技習得に向けて、僕はLv上げのために実戦経験を積む。

ちなみに僕はアシスト(ステータス加算)で参加だ。

【乗法術Ⅱ】(マルチプリケーション)を筆頭に【加法術Ⅲ】(アディション)でバフしたり、【除法術Ⅰ】(ディビジョン)を魔物に掛けてデバフしたりとアシストをしっかりこなす。



だが、新技の習得はそう簡単には行かない。


さっきの盾本の『顔面直撃事件』から始まり、可合の『ライト・レーザー』は途中から途切れ途切れになる。

シンの『突き』は腕に力が入り過ぎて、刺さりはすれど貫通させられない。


まぁ、僕のLvもそう簡単には上がらない。



だが、ついにその時が来た。






キーキーキーッ!

「キャッ!」

「うぉっ!」

「うわっ、ケーブバットの奇襲だ! 先生、ミユちゃん!」

「え、あ、はい!」

「おぅ、【乗法術Ⅱ】(マルチプリケーション)・INT3! 蹴散らせ、可合!」

「昨日練習した通りだよ。頑張ってー!」

「分かった! ありがとう数原くん、コースちゃん! よし、魔力を絞って魔力を絞って……」


可合が掌をバット達に向けて開き、魔法を唱える。


「ライト・レーザーッ!」



ピカーーッ!

「うぉっ」


一瞬、光が眩しくて無意識に目を逸らしてしまったが、直ぐに可合の方を見る。


可合の掌の辺りから細く白い光の(レーザー)が放出され、バット達を貫く。

手を左右に振れば、光の(レーザー)も左右に動き、次々とバットを薙いで行く。


光の(レーザー)は今までみたいに衰える事が無く、バットを尽く撃墜していく。



「おぉ、すごいすごいミユちゃん!」

「うわわわわぁぁぁ……出来ちゃったよー!」



そして、バットの群勢を全て倒して光の(レーザー)が消えた時、軽い電子音と共に可合の目の前に横長のメッセージウィンドウが現れた。


おっ、これはもしかして……


「え、これは……『アクティブスキル【光線Ⅰ】(ライト・レーザー)を習得しました』……だって!」

「やったね、ミユちゃん! 習得おめでとー!」

「ありがとう、コースちゃん! コースちゃんのお陰だよ!」


全力で新スキルの習得を喜ぶ2人。

おめでとう、可合。


「おめでとう、美優」

「やったな美優! オメェなら出来るって信じてたぜ!」

「可合さん、おめでとう! 俺も絶対習得してやろう!」


皆も可合を祝福する。


「い、いや……み、皆のお陰だよ! コースちゃん、あ、あと数原くんもありがとう!」

「どういたしまして!」

「おぅ」


可合が滅茶苦茶照れてる。

なんか気持ち顔が赤くなってるし。

こんな姿の可合、初めて見たよ。



まぁ、そんな感じで可合の【光線Ⅰ】(ライト・レーザー)の習得は成功した。






さて、少し興奮も落ち着いてきた所で探索を再開した。

のだが、一度こういう事が起こると立て続けに二度目・三度目もやって来るモンだよね。



次に()()()が来たのは盾本だ。


「よし、タテモトさん。難しい事は考えなくて良い。タテモトさんの場合、考え過ぎると返って上手くいかなくなるからな」

【乗法術Ⅱ】(マルチプリケーション)・DEF3。落ち着いて、リラックスだ。盾本」

「分かった。やってみるよ、ダンさん。計介くんもありがとう」


そして盾本は振り返り、洞窟の先を見る。



盾本の目の前には岩球になったロック・ピルバグが1匹。


「(足腰を使って……腕は力を抜いて……盾は相手に向けて……)」


いやいや、言ったそばから考え過ぎてますよ。

盾本、もっとリラックスしてー!



まぁ、そんな僕の心の声は通じるはずもなく、ブツブツ呟いたまま盾本がロック・ピルバグに向かって歩く。


10歩くらい近づいていった所で、ロック・ピルバグもそれに気付いたようだ。

いきなり回転を始め、盾本に向かって急加速。


「あぁ、そうだ。あとさっきの…………来たっ!」


ブツブツを止め、盾を真っ直ぐ構えて腰を据える。

ここまでは良い。


さて、ここからだ。


迫る岩球。

構える盾本。


瞬く間に両者の間合いは詰まり————



「シールド…………


接触する、まさにその瞬間。


「……バーッシュ!」



カーーンッ!!!



鍋の蓋と岩球が直撃した衝撃で、鍋の蓋が大きな音を上げる。



その音と共に、後方へと吹っ飛ぶ岩球。

吹っ飛びながら、その姿を岩球から団子虫へと変えている。


対する盾本は、吹っ飛ばされる事なくそのままの姿勢だった。

衝撃は曲げた膝で吸収し、一歩たりとも脚を動かさない。

衝突後も構えたままになっている盾は、綺麗に真っ直ぐ岩球の方を向いている。



「……完璧だ」


僕の隣で、ダンもそう述べた。



「「「「「「おぉ……」」」」」」


僕含め、他のメンバーもその技の強さ、美しさに感嘆していた。






ピッ

「おぉ、これは……よっしゃあ! 【硬叩Ⅰ】(ハード・バッシュ)習得だぜ!」

「やったな、タテモトさん!」

「おう、ダンさんのお陰だよ、本当。サンキュー!」

「いや、気にしないでくれ。俺もタテモトさんが習得出来て嬉————

「あぁ、どうせなら『タテモトさん』じゃなくて、『マモル』って呼んでくれよ。ダンさんは俺の師匠だからさ、そんな他人行儀にしないでくれよ!」

「し……師匠、俺がか!? でも、俺の方が絶対に若————

「年齢なんて良いんだよ! 上手い方が師匠。って事で、ダンさん、これからもよろしくな!」

「お、おう……タ、じゃなくてマモル、こちらこそ宜しく!」



無事、盾本も新技を習得した。おめでとう。

習得後の話を聞いていると、盾本とダンの仲もだいぶ近づいたようだな。

得られたものは【硬叩Ⅰ】(ハード・バッシュ)だけじゃなく、他にも色々と収穫があったようだな。


良かった良かった。






そして、再び探索を再開したのだが。

間を空ける事なく、探索再開から直ぐに()()()は来た。




「よし、Lvアップだ!」


可合・盾本と来て、今度はシンが『突き』をマスターするかなと思いきや。

まさかの僕のLvアップでした。


済まんな、シン。

お先です。



僕の目の前には、横長のメッセージウィンドウが現れている。



===========

Lvがアップしました

===========



……Lvアップはとても嬉しいんだけど、その割にはなんだかショボいというか、味気ないというか……


こう、ファンファーレが鳴ったりとかメッセージも『おめでとうございます』とか、お祝いしてはくれないんだね。



……ま、まぁ、Lvアップしたことに変わりはない。

はてさて、LvアップでどのくらいMPが上がったかなー。


【状態確認】(オープン・ステータス)!」

ピッ



===Status========

数原計介 17歳 男 Lv.5

(ジョブ):数学者 状態:普通

HP  46/51

MP  21/45

ATK 4

DEF 14

INT 19

MND 18

===Skill========

【自動通訳】【MP回復強化I】

【演算魔法】

===========



最大MPはーっと……

お、45か。

3増えた。【合同Ⅰ】(コングルーエンス)使用可能まで残り5。

あぁー、早く使えるようになりたいな、【合同Ⅰ】(コングルーエンス)



まぁ、ゆっくりじっくりLvを上げていこう。

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更新情報のツイートや匿名での質問投稿・ご感想など、宜しければこちらもどうぞ。
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本作は、以下リンク(後編)に続きます。
以下リンクからどうぞ。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで eˣᴾᴼᴺᴱᴺᵀᴵᴬᴸ

本作の『登場人物紹介』を作りました。
ご興味がありましたら、是非こちらにもお越しください。
 
『数学嫌いの高校生が数学者になって魔王を倒すまで』巻末付録

 
 
 
本作品における数学知識や数式、解釈等には間違いのないよう十分配慮しておりますが、
誤りや気になる点等が有りましたらご指摘頂けると幸いです。
感想欄、誤字報告よりお気軽にご連絡下さい。
 
皆様のご感想もお待ちしております!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どうか、この物語が
 
小説を愛する皆様の心に、
心の安らぎを求める皆様の心に、
現実とかけ離れた世界を楽しみたい皆様の心に、
そして————数学嫌いの克服を目指す皆様の心に
 
届きますように。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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