7-23. 図形Ⅱ
Point③
『円』
円とは、『中心点からの距離が等しい点を結んだ図形』だ。
簡単に言えば『丸』だ。円といえば丸なんだが、図形の特徴としては『円の線上では、どこでも中心点から距離が同じ』というのがある。
で、その円の線上から中心点を結んだ線を『半径』だ。
……じゃあ、『半径』があるんなら全もあるはずだよね。
って事で、半径を倍に、直線状にしたのが『直径』だ。
数学的にも日常的にも、円のサイズを測ったり使ったりする時には普通、直径が使われる。
それと、円を一周した長さを『円周』と呼ぶ。
……ところで、円周ってどうやって測るのか?
定規じゃ直線しか測れないし、円周を測るのって難しいよね。
そんな時に役立つのが、かの有名な呪文『2πr』だ。
その意味はrが半径、πが円周率だ。
それを踏まえると、直径は『2×r × π』、つまり円周の長さを知りたいときには(直径)×(円周率)を計算すれば良いってことになる。
半径だの直径だの円周だの、三角形や四角形とは異なる用語が沢山出てきた。
うーん……ちょっと良く分かんなくなってきた。ただ参考書の文字を追っているだけの状態だ。
頭に入って来ないや。
……あー、もういいや。
そういう時は通過だ。
さっさと次に進んでしまえぃ。
Point④
『合同』
2つの図形があり、それらの形と大きさが同じ時、それらは『合同である』という。
難しい数学用語が飛び出してきたが、そう慌てることはない。
言い換えれば『コレとコレは全く同じ形だ!』『コレとコレは合同だ!』って感じだな。
こう考えれば簡単じゃないかな?
また、『合同』には記号がつくられており、『≡』だ。
参考書にその使い方が載っている。
3つの頂点がそれぞれA、B、Cと名付けられた三角形を『 △ABC 』、同じように『 △DEF 』とし、この二つが大きさも形も同じ時、こういう風に書いて表すことができる。
△ABC≡△DEF
読み方は『さんかくけいエービーシー・ごうどう・さんかくけいディーイーエフ』だ。
『≡』を使うことで、2つの図形は形も大きさも同じですよ、という事を示している。
また、『上下逆さま』や『ひっくり返した形』であっても問題ない。図形を回転させたり、表裏をひっくり返して同じ形になれば合同だ。
ちなみに、『△ABC=△DEF』って書くとバツだ。
これだと『△ABCと△DEFの面積がイコールですよ』という意味になる。
つまり、『形や大きさが揃ってるかは知らないけど、面積なら△ABCと△DEFで揃っていますよ』って事になってしまうのだ。
勿論、二つの図形が『合同である』時には『面積も同じ』ではあるんだけどね。
そこには数学の世界の話があるようだ。
詳しくは高1数学の『必要十分条件』の話で、って書いてある。
……『合同』を読み始めた辺りから久し振りにあの感覚が参考書に添えた僕の右手に蘇る。
指先から魔力を吸い取られるような、あの感覚。
これが来るという事は……アレだ。
新しいスキルを習得するタイミングだ!
……どんな【演算魔法】が習得出来るかなー?
完全に皮算用してるが、【除法術Ⅰ】以来の新魔法だ。
ワクワクが止まらない。
……ま、まぁ、一旦落ち着こう。
この件は一通り参考書を読みきってからだな。
お楽しみは最後にしよう。
Point⑤
『多角形の内角の和』
まず、そもそもPointのタイトルが難しいので説明していこう。
多角形とは、『三角形や、四角形、五角形、……』の事だ。何角形でも良い。
内角とは、『三角形の内側の角の角度』の事だ。
内角の和は、『内角を全て足した角度』という意味になる。
で、このPointで大事なことは、『三角形や、四角形、五角形、……の内角の和には、それぞれ決まった値がある』という事だ。
まず、三角形の内角の和から行こう。
これは割と有名だ。多くの人はご存知だと思うが、『三角形の内角の和は180°』である。
いまいちピンと来ない人は、実際に試してみよう。
三角形の紙を用意し、うまく3つの角同士がくっつくように折り曲げる。
3つの角の部分を切り取って、並べても良い。
すると、3つを足し合わせた角は、中央の点を中心にして丁度半周するんじゃないかな。
内角3つを足すと、丁度半周する。
つまり、三角形の内角の和は180°だ。
これはどんな三角形でも成り立つので、気になったら是非試してみてね。
さて、『三角形の内角の和は180°』と分かった。
次は『四角形の内角の和』を読んで行こう。
突然だが、じゃあここで質問だ。『ある四角形を2つの三角形に切り分けることはできますか?』
多分、どんな四角形でも2つに切り分けられるだろう。
対角線に沿って分ければ、2つの三角形になるはずだ。
この質問、何故いきなり来たの? って思う人も居るだろう。
だけど、これこそがポイント。四角形は、2つの三角形が組み合わさって出来たものなのだ。
『三角形』2つで『四角形』。
じゃあ、『三角形の内角』2つで『四角形の内角』。
つまり、四角形の内角の和は『180°×2』で、360°になる。
『四角形の内角の和は360°』。
これも、どんな四角形でも成り立つので覚えておこう。
五角形以降の多角形でも同じようにして内角の和を求める事が出来る。五角形は三角形3つに分けられ、内角の和は180°×3で540°だ。六角形なら180°×4で720°。
つまり、○角形の内角の和の公式は次のようになる。
『(○-2)×180°』。
これを使って計算すれば、直ぐに内角の和が求められる。
……なんだかゴチャゴチャしてたけど、最終的にスッキリしたな。
あんな長ったらしい文章をたった1行の式で纏められるなんて。
公式って便利だ。面倒が無くて宜しいね。
Point⑥
『図形の面積・体積』
さて、小学校算数・図形分野の締め、面積・体積だ。
ここからは基本的に『面積を求める公式を暗記』するのが一般的だ。
結構聞き覚えのあるような、有名な公式も多いし。
という訳で、とりあえず参考書の説明を見ていこう。
面積を求める際に基本となるのが、『底辺』と『高さ』だ。
この二つは垂直になっており、三角形や平行四辺形、台形のように斜めの線がある時には『底辺』と『高さ』の存在が重要である。
という訳で、まず四角形から読んでいこう。
四角形の面積の公式は、種類によって変わる。
まず、正方形・長方形・平行四辺形だ。
これらは『(底辺)×(高さ)』だ。
『縦×横』、と覚えた人も居ると思うが、こっちに統一した方が後々簡単だ。
ちなみに、平行四辺形が正方形・長方形と同じ公式で求められることに疑問を感じる人も居るだろうが、そういう時には『平行四辺形をなんとか切り貼り』してみよう。
どんな平行四辺形でも1回切り貼りするだけでアラ不思議、長方形や正方形になってしまうのだ。
そう考えれば、共通の公式であることに不思議は無いんじゃないかな。
次に台形。
この面積の公式は一際有名なアレだ。
『((上底)+(下底))×(高さ)÷2』
複雑過ぎて逆に覚えちゃう系の公式じゃないかな。
このパンチの強さで、僕は今でもこの公式は忘れずに覚えてるよ。
これの式は、『台形を二つ並べて平行四辺形にした』って考えれば分かる。
同じ形の台形を2つ、片方はそのまま、もう片方は180°グルっと回して並べよう。
するとアラ不思議、新たな平行四辺形が出来るのだ。
その平行四辺形の底辺は、台形の上の辺と下の辺を足したもの。
つまり、次のように言い換えられる。
『(底辺)=(上底)+(下底)』。
これを平行四辺形の公式にあてはめてみると、次のような感じだ。
『((上底)+(下底))×(高さ)』
最後に、台形2つで平行四辺形だったから、平行四辺形の半分が台形。
『÷2』して、台形の面積の公式が出来上がりだ。
四角形の面積公式、最後はひし形だ。
ひし形だけは少し特殊で、『対角線が直角に交わる』という性質を使う。
公式は次のような感じだ。
『(横の対角線長さ)×(縦の対角線長さ)÷2』だ。
あんまり覚えてる人は少ないんじゃないかな。
考え方としては、ひし形の縦、横の対角線長さを持つ長方形の半分の面積、という方法だ。
まぁ、そもそもひし形の面積を求める機会がそう多くないので、求め方さえ覚えていればオッケーだ。って参考書に書いてある。
さて、三角形に進もう。
三角形の面積の公式はこれだ。
『(底辺)×(高さ)÷2』。
呪文のように覚えた人も少なくないんじゃないかな。僕もそうだけど。
この公式は二等辺や直角、正や他のどんな三角形でも共通だ。
考え方は、『同じ底辺と高さをもつ四角形の半分の面積』だ。
さっき参考書にも書いてあった通り、四角形は三角形2個で出来ている。
同じ三角形を2個くっ付ければ四角形になる。
つまり、同じ三角形2個の面積が四角形の面積。
という事は、四角形の面積の半分が三角形の面積だ!
そうやって考えれば、公式は次のようになる。
『(底辺)×(高さ) ÷2』。
大事な点は、(高さ)が『底辺から直角に測った長さ』である事だ。『辺に沿って測った長さ』ではないことに注意、らしいぞ。
ちなみに、底辺の真上に頂点が無く、底辺より右上や左上に頂点が飛んで行ってしまったような細長い三角形の面積を求める事もあるだろう。
そんな時は、底辺を延長し、その線上で頂点を追いかけよう。
頂点の真下に辿り着いた所で『三角形の高さ』を測れば良い。
続いて、円の面積だ。
円の面積の公式は、公式の中でも伝説級の存在だ。
皆も知っているであろう、『πr²』だ。
円の面積は、(半径)×(半径)の正方形のタイルを使うとまぁまぁ分かりやすくなる。
(半径)×(半径)の正方形のタイルを縦横に2枚ずつ並べた上に、同じ半径の円を載せる図をイメージして欲しい。
この時、円からはタイルが少しずつはみ出て見えるよね。
つまり、(半径)×(半径)のタイルを4倍した物よりは小さいのだ。
そっから先は本当に説明が面倒になってしまうので参考書でも省略されているが、(半径)×(半径)のタイルを3.14……倍した面積が円になるんだって。
最後に、『体積』の公式だ。
参考書では、『立方体』『直方体』『球』について書かれている。
サイコロみたいに正方形だけで出来たブロックは『立方体』、長方形や正方形で出来たブロックは『直方体』というが、その体積の公式は『(横)×(奥行)×(高さ)』だ。
立方体なら『(辺の長さ)³』だな。
うわなんか増えた、って思うかもしれないが、そこまで難しく考えなくて良い。
今までの面積は『底辺と高さ』で計算していたが、ブロックになると『底面と高さ』で計算するのだ。つまり、一回ブロックの底面の面積を求めて、それを底辺代わりにしてブロックの高さと掛ければ良い。
つまり、『(横)×(奥行)』っていうのは図形で言う『(底辺)×(高さ)』と同じ。
それに、『ブロックの高さ』を掛ければアラ不思議、パパっと体積が求められる。
そして、『球』の体積。
ぶっちゃけ、これも公式をただ覚えるのが良いようだ。
どういう理論でこの公式が作られたかを知りたいなら、高2でやる『積分』っていう分野をやってからの方が良いです。って参考書に注意書きがされている。
ってことで、公式はコチラ。
『(4/3)πr³』だ。
これも色々な語呂合わせと共に有名になっている公式だ。
『特に理論とか結構です。求められさえすれば十分です。』って人はそのまま丸暗記してしまうのが一番かな。
…………フゥ、長かった。これで『図形』についての説明は終わりだ。
次は練習問題だ。A問題が10問、B問題が10問といつも通りの組み合わせだ。
一度深呼吸し、参考書から目を上げて周りを見回す。
よしよし、皆まだ特訓中だ。
新技の習得を目指す可合・盾本・シンも、教える側のコース・ダン・神谷も、絶賛スクワット中の強羅も、皆熱心に取り組んでる。
……ちょっとコースの目がトロンとしてきてる。
おねんねモードか、そろそろ。
……まぁ良い。そんな事より練習問題だ。
今回は『合同』のところで例の感覚があった。
新しい【演算魔法】が習得できるかもしれない、もうワクワクが止まらないのだ。
だけど、こんな時こそ集中集中。落ち着け僕。そんな浮かれた気分じゃ、解ける問題も解けない。
もう一度大きく深呼吸……。
よし、気分が落ち着いた。
それじゃあ、練習問題解いていきますか。




