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あの夕焼けを覚えているだろうか。  作者: 此木(くのぎ)
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初投稿です。


ポツリポツリと文字を打つ。

パソコンに向かって何時間経つだろう。

最初は意識して打っていたキーボードも次第に意識とは別の場所にある。

今日は一日雨で、部屋の中も暗い。

影響されてか、書いているストーリーも天候に左右されてしまう。

今は何時になるのだろうか。朝から何も食べていない。

お腹が空いた、が冷蔵庫には何も入っていない。

外は雨だし表にも出たくない。

困ったものだ。

ベッドに寝転がると、天井に一匹の蜘蛛がいた。

わたしは虫が苦手だが、蜘蛛は割と好きな部類だ。

見た目は全く得意ではないが、ほかの害虫を食べてくれる。

ゆっくり瞼を閉じ、さっきまで書いていた小説について考えた。


気がついたら知らない街についていた。

坂の多い街。

お店は少なく、もう日が沈みそうだ。

空はオレンジ色に染まっている。

見覚えのない街だが、不思議と落ち着く。

そういえば、雨はやんでいた。

ゆっくり見たことのない道を歩いていると、

一匹の三毛猫が現れ、私の前で座り込んだ。

愛想のない顔でこちらをずっと見ている。

しばらくすると猫は歩き出し、私がついてきているか確認するように振り返る。

猫は、あるところで走って逃げてしまった。

すると目の前にいつも行くファミレスを見つけた。

猫のことは気になるが、朝から何も食べていない。

ここで食事を済ませてしまおう。

このファミレスではいつも、ドリアを頼む。

値段が安い上に味も良い。トッピングには温泉卵だ。

ここのお店はいつも行くお店より空いている。

席に着き、渡されたメニューを開く。

メニューを開いたところで頼むものは決まっている。

ボタンを押し、店員を待つ。

すると、店員は両手に料理を持って現れた。

しかも、私が頼もうとしていたもの。

驚くのはまだ早く、いつもの温泉卵までトッピングされている。

「あの、まだ頼んで……」

店員さんは何も言わずに料理だけをおいて厨房に戻っていった。

手間は省けたのだが、怖すぎる。

初めてきたお店で頼んでもないのに自分が頼もうとしていたものが届くなんて。

食事を素早く済ませ、レジに向かった。

すると一つのことに気がついた。

このお店には誰もいないということだ。

入った時にはいた少ない客も、

さっき料理を持ってきたウェイトレスも

誰一人いなくなっていた。

初めての体験に驚きを隠せないが、とりあえず自分が食べた分の料金をレジに置いて

お店を出た。

変な体験をしたと思いながら街を歩いていると、こじんまりとした書店を見つけた。

表には木箱の中に本が100円で売り出されている。

知らない本が何冊か入っている。

店内に入ってみると、漫画や雑誌、文庫本など様々な本が

こじんまりとした店内にぎゅうぎゅうに並べられている。

店内の一角を駄菓子屋としていて、小さい子たちも喜びそうだ。

しかし、不思議なことに知らない本ばかりだ。

私自身、書店にはかなり通っているはずだが、あまりにも知らない本が多すぎる。

ぎゅうぎゅうに並べられている中で一際、目にとまる一冊をレジに持っていき、購入した。

タイトルはもちろん作者も知らない。

店内を出て、表にあった木箱をもう一度覗いた。

そこに一冊だけ、見覚えのある本を見つけた。

それは、今私が書いている本だった。

少しずつですが、書いていきます。

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