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凍り付いた都



「さて、ここが月か、都っぽいのがあるね」


 


まぁ、完全に凍り付いるけどね。


停滞、時間が止まっていると感じる程に停滞してる。


しかしまぁ、他の生命を許そうとしない


クソみたいな場所だ、少しカッとなると全部壊しちゃいそうだよ。


でも、それは正直、僕のキャラじゃ無いけどね。


でもま、月って言うのは、いざ着いてみるとどうも不味そうだ。


満月の月はデカい団子みたいとかたまに思ったけど


現実なんてこんなもんか、ま、くだらない夢を砕かれた程度で


気分が滅入るほど軟弱では無いつもりだけどね。


 


「しかし、停滞してもあの人形は出てくるんだ」


 


いくつも飛んで来る妖精…面倒だ、すぐに片付ける。


 


「ふん…あ」


 


柔らかい、どうも柔らかい、腹を貫かなくて正解だった。


普通に叩き落としただけだったから大事には至らなかったかな。


もしこれ貫いてたら、グロテスクな事になってただろうね。


まぁ、僕は別にその程度、何とも思わないんだけど。


どうせ妖精だろう? 本物ならどうせすぐに復活するだろう。


殺そうと思えば殺せるかもだけど、別に殺す必要は無いだろうね。


 


「でもまぁ、少し妙ではあるかな」


 


妖精にしては無駄に強い気がする、と言っても、どうせ瞬殺だし


あまり差が分かるわけでも無いけど、若干頑丈な気がするね。


動きも妙だ、動きに同じ動きが多い。


妖精なんて烏合の衆で、徒党を組もうとただの戯れだろう。


それなのに、総じて同じ動き、単純な動き、読みやすい動きは何だろうか。


妖精なんて何も考えないで動く単純馬鹿の集まりだと思ったけど。


……そうだな、この動きから考えられることは…指揮官でも居るのかな。


だが、確か妖精って言うのは生命の塊だと聞いた気がする。


それが月にいるのはちょっと不自然かもね。


あの兎の話では、生命を根絶やしにしようとしていたみたいだしね。


そんな月の連中が妖精なんて配置するとは思えない。


 


「凍り付いた都、意味の分からない兎の行動。


 訳の分からない馬鹿な連中の暴走。


 謎の妖精…ここまで出せば、どうなってるかは大体察せる


 襲撃者が来て制圧された…そんな所だろう? そこの白いの」


「…………なん…おっと、まだ早いか……」


「やぁ、初めまして白い人? 僕は医者に言われて


 渋々やって来た地上の妖怪だ、いや、半獣かな」


「……」


「そっちは何者だい? こんな凍り付いた都に1人居るのは不自然だ」


「……」


「だんまりを決め込むのかな? 僕は一応名乗ったんだ、そっちも名乗りなよ」


「……サグメだ」


「あっそ、じゃ、サグメさん…早速で悪いんだけど、消えて貰う。


 色々と状況は理解した、月が襲撃されている。


 その襲撃から逃れるために幻想郷の生命を根絶やしにして


 そっちの都合の良いように変えようって事だろう?」


「……」


「僕としては、幻想郷への襲撃さえ消えてくれればそれで良いわけでね。


 月とかには興味が無い、そこの住民を救う理由も僕にはない。


 自分達の住処が襲われれば、平然と他の領土を奪おうとする


 そんなクソみたいな行動をするカス共の集いを救う義理も無いのさ。


 僕はそう言う排他的な行動を平然とする奴らが大っ嫌いでね!


 自分に都合の良い事しかしない、歩み寄ろうともしないくせに


 都合が悪くなったらすぐに頼る、そんなゴミカス共は嫌いなんだよ!


 雑魚のくせに無駄にプライドが高い連中も嫌いだ。


 例えばだ、もし君達が素直に助けてくれと、言ってくるなら


 僕はそれに応えよう、だが、何もしないで何かを人質にして


 その上で動けと上から目線で物を言ったら殺すだろうね。


 処刑方法は星を喰らうだ、容易に出来るさ」


「…くだらない事を」


「出来ないと思うのかい? はは、だったら試してやっても言い。


 食うことも出来るし割ることも出来る」


「……」


「何なら証明してやろう、僕の実力を、構えなよ。


 3秒だ、3秒でケリを付けてあげるよ」


「くだらない事を、良いだろう、なら受けて見ると良い」玉符「神々の光り輝く弾冠」


 


周囲に弾幕をばらまくか、一応弾幕勝負の中で戦うんだな。


それとも、これが戦いの基本ルールなのかな。


まぁ、どっちにしてもだ、そんなに薄くてトロい弾幕じゃ


僕を撃ち抜くことはおろか、僅かに足止めをする事さえも出来やしない。


明確な殺意の無い弾幕じゃ、僕は止められないし殺せない。


殺意があったとしても、僕は殺せないがね。


 


「一応、こっちもスペルカードを使ってやろう、おまけだ」前座「邪狼遊戯」


 


周囲の弾幕全てをかき消す程の速度で移動し


正確にサグメの首元に牙を突き立てる振りをした。


 


「……馬鹿な」


「僕が本気なら、もうお前は死んでる、何の対処も出来ず、何の反応も出来ず


 一切の感覚も無くその首を食いちぎられて何も分からず即死しているよ。


 中途半端に殺すと可哀想だからね。


 やるなら一撃だ、血も出さずに心臓を抜き取ることも出来るよ?


 まぁ、実を言うと、お前程度の実力じゃ僕の実力は測れないけどね。


 最初のスペルカード宣言でも言ったが、これはただの前座でしかない。


 僕は本気を一切出してない、ウォーニングアップにもなってない」


「……」


 


サグメの表情が明らかに青ざめた、最初の余裕な態度から察せるが


こいつは僕のことをそこまで強いと考えては居なかったんだろう。


だけど残念、実際は天と地以上の差があった。


どう足掻いても超えられない大きな壁がある。


 


「これで少しは分かったかな? 僕の言葉が嘘じゃ無いと。


 僕は嘘はあまり好まないんだ、本気で出来る事しか言わない。


 当然、今までの言葉には一切の嘘偽りが無い。


 お前が本気で助けて欲しいと頭を下げるのなら


 僕はこの面倒くさい月を、面倒だけど助けてやっても良い。


 こう見えて押しに弱いんだよ、しつこく頼まれたらやるよ。


 正し、高圧的な態度には異常な程に敏感でね。


 高圧的に命令をする奴は殺したくなるんだ。


 例外はあるにはあるけど、少なくともお前はその例外じゃない。


 さぁ、どうする?」


「……八意様もまた凄いのを送り込んできたわね…


 これほどの実力者…あいつを諦めさせるどころか


 そのまま仕留めてしまいそうな勢い…」


「さて、どうする?」


「…………」


 


サグメはしばらくの間悩んだ、言うべきか言わないべきか。


いや、言うべきなのは分かってるだろうけど


恐らくプライドが邪魔をしてその一言が出て来ない。


 


「……お、お願いします…月の都の命運をあなたに託します」


「それで良い、僕は無抵抗を蹂躙する趣味は無いし


 お願いを断るほどに野蛮でも無いからね。


 そう言うのは僕のキャラじゃ無い」


「……あなたは何者なの? ここまでの実力がある妖怪を…私は知らない。


 過去の月面戦争で、あなたの姿は無かったし


 もしあなたが居れば、あの戦い、月に勝算などなかったはず」


「月面戦争? 知らないな、僕は吸血鬼のペットでしか無い


 最も、僕はその称号、あまり好きでは無いけどね」


「…吸血鬼の…あの時の吸血鬼…確かレミリア…だったか。


 そのペット? そんな馬鹿な、綿月姉妹に敗れた吸血鬼の…


 だが、あの2人は勝利した…なら、そのタイミングにもあなたは居なかったと」


「そうだね、僕がこっちに来たのは最近だからね、1年経ってないと思うよ


 ま、月日なんて興味も無かったから、一切覚えてないけどね」


「……新しく生まれた妖怪…と言う事か?」


「いや、生まれてしまった半獣だ、運悪く生まれてしまった半獣さ。


 生まれる筈も無いのに、最高の不運で生まれてしまった、ついてない人間。


 ま、君に言っても分かりゃしないだろうから、別に言わないけどね。


 本当なら、一生知らないままの方が良いのかもね。


 それでも知らなきゃならない事だ、その内知るだろう


 それを望むのならね」


「……」


「じゃあね、片翼の月人さん、あぁ、そうだそうだ


 月ってもふもふの兎って居るの? 見た感じ居ないけど」


「……何故それを? でも、そうだな…居ない」


「ありゃりゃ、そりゃ残念、もふもふしたかったんだけどね」


「……地上に降りた玉兎達を自由にもふもふすれば良い」


「その言葉、地上に降りた兎たちに伝えといてよ。


 あぁ、じゃああれだ、月を救う対価としてって事で頼むよ」


「……考えておこう、その代わり、月を頼む」


「やるよ、やるやる、お願いされた以上はしっかりやるよ。


 フィルの名に賭けてね、じゃ、もう会わないだろうけど


 また会うことがあったら対等に話そうじゃ無いか」


「……あぁ」


「ま、多分その時、僕は君の事は覚えてないだろうけどね。


 その時は改めて自己紹介をお願いするよ、忘れっぽいんだ」


「……分かった」


「じゃ、君はそこで座って朗報を待っていると良い、のんびりとね」


「あぁ、ありがとう」


「それは全部終わった後だ、お礼とか興味無いんだけどね」


 


でも、今までされたことが無かったから、そう言う言葉は…素直に嬉しいけどね。


じゃぁ、とりあえずこの小さな星を救ってあげようか。


救世主は僕のキャラじゃ無いが、ま、お願い事は応えないと悪いしね。

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