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激闘のバトルロワイヤル


うぅ…こんなに強そうな人達ちと同時に戦わないといけないなんて。


1対1でも結構大変なのに…


 


「では始めましょう…」


「えぇ、ですがスタートのサインは誰がしますか?


 出来れば私達以外でした方が良いと思いますけど?」


「そうだな、そのの吸血鬼で良いんじゃ無いか?」


「私? まぁ、そうね、良いわよ」


 


お、お嬢様の合図で戦闘が始まるんだ…


何だか緊張するなぁ…ちゃ、ちゃんと聞かないと。


 


「始め!」


 


お嬢様の合図と同時に私を除いた全員が同時に動き出した。


全員の最初の狙いは…私だ!


 


「うわぁ!」


 


私は全員の攻撃が当るギリギリで高くジャンプし、攻撃を回避した。


他の4人は中心でお互いの攻撃を防ぎ合ってる状態になっている。


 


「やはり、全員あの子を狙いますか」


「当然じゃ、あの娘を倒せばそれで全てが終わるのじゃからな」


「それだと、4対1と大差ないように感じるが?」


「4対1なら、私達がこの場で力比べをしているはずが無いでしょう?」


「く!」


 


その力比べに勝ったのは華扇さんだった。


あの3人に力で勝てるって、華扇さん凄いなぁ。


まるで鬼だよ…勇義さんみたいだ。


何となく雰囲気も似てるような気もするし…どうなんだろう。


 


「私からは逃げられませんよ! フィル!」


「い!」


 


華扇さんは大きな声を出すが、向いている方向は違っていた。


なんで神社の方を向いているんだろう、私は上空なのに。


 


「あなたにその石は重すぎる!」


 


全然違うところに…でも、普通そんな事なんてあり得るのかな?


 


「くく」


 


マミゾウさんが不敵な笑みを浮かべていた。


そうか、あの人は多分たぬき…華扇さんが追ったのは私では無く。


マミゾウさんが別の物を私に見せてるんだ!


 


「何? 戦いたいなら戦ってあげるけど? ずっとフィルの決闘ばかり見てて


 私としても、少しくらいは戦いたいなって思ってたの」


「は?」


 


華扇さんが攻撃したのは私では無くフランお嬢様だった。


 


「馬鹿め! 掛かったな!」


「まさかあなた!」


「本物は儂が貰う!」


 


私に最初に接近したのはマミゾウさんだった。


やっぱりバトルロワイヤルなんだ、そして、戦ってるのは私以外の4人。


そして私は4人の共通ターゲットって事だね。


 


「それ、これでお終いにしてやろう」


 


懐から道具か何かを私に投げ様としてきた。


触れたら駄目なのかな? でも、だったら。


 


「この間合いは私の間合い! 近付きすぎですよ!」


「ぬ! ぐふ!」


 


私は道具を投げる前にマミゾウさんを蹴り、更に空中で方向を変える。


 


「こ、こりゃ侮っておった、反応が速いな、流石獣じゃ」


「チャンスですね、その子は私がもらい受けましょう!」


 


今度は聖さんが方向転換し、私が飛んでいる前に立ちふさがるように移動してきた。


あの人は…ただの人間というわけじゃ無い、何処かパチュリー様に似た雰囲気がある。


恐らく魔法使い…でも、きっとパチュリー様とは違うタイプだ。


最初の合図での行動速度から考えて、この人の魔法は。


 


「さぁ、そのボールを渡しなさい!」


「身体強化だ!」


 


私は聖さんの拳を空中で身体を捻って回避した。


 


「な!」


「お嬢様の命令がある以上、私は負けられません!」


 


そのまま聖さんの背に足を伸ばし、地面に叩き付ける様に蹴った。


簡単に言えばかかと落としなのかな、ちょっと違う気がするけど。


 


「くぅ!」


 


聖さんはそのまま地面に吹き飛んでいったけど


吹き飛ばされながらも体勢を立て直し、地面に着地した。


あの速度で落下して体勢を立て直せるなんて…


 


「狙い目だ」人符「勧善懲悪は古の良き典なり」


 


レーザー! 何だか凄い太いレーザーが飛んで来た!?


でも、これならまだ逃げられる!


 


「させないわ」


「嘘!」


 


そんな! このタイミングで背後に華扇さんが!


どっちを対処しよう…逃げれば…いや、華扇さんは逃がしてくれない!


多分だけど、私を足止めして、あのレーザーを食らわせるつもりだ!


 


「ほぅ、私に協力してくれるのか?」


「どうでしょうかね」


「うぅ!」


 


華扇さんは私に向って攻撃を仕掛けてきた。


私は空を飛べないから、どうしても吹き飛ばされてしまう。


踏ん張ることが出来ないって言うのは本当にいやだ。


空中戦はどうしても苦手だし…でも、当るもんか!


 


「りゃ!」


 


私は空中を全力で蹴り、レーザーの上を飛んで避けた。


棒高跳びの選手見たいに、背中を向けてレーザーを越える。


 


「そんな事が!」


「空は飛べないと!」


「空は飛べませんが、空を跳ぶ事は出来ます!」


「く!」


 


神子さんが放ったレーザーが当ったのは華扇さんだった。


本来なら私に直撃するような攻撃だったところを


私が避けたことでその奥にいた華扇さんに当った。


そのまま私は空中で体勢を立て直し、地面に着地した。


 


「……ふむ、なる程、5つもボールを集めた実力を侮っておったな」


「まさかここまで捌かれるとは思わなかったぞ」


「ただの妖怪と油断してましたが…とんでもない、その実力


 大妖怪などにも通用する所か越えてしまいそうな物ですね」


「空を飛べないというハンデを背負ってでの大健闘…恐れ入ります」


「……」


 


何だか雰囲気が変わった、褒められるのは確かに嬉しいんだけど。


この何処かピリピリした雰囲気のせいでどうも喜べない。


次はどうなるんだろう? どう動く? 何が始まる?


そんな事を考えると、どうしても…喜ぶことが出来ない。


 


「もはや加減は必要無いな、それ程の実力


 流石に加減をして勝てる相手では無い」


「えぇ、全力で行かせて貰います」


「……なら、私も…私も全力で行きます!」


 


相手は全力で戦うつもりだ、だったら、私も本気を出さないと。


攻撃を躊躇ったら勝てない! そんな生易しいレベルの人達じゃ無い!


全員強い…それは、気配だけでも分かるんだ。


もしかしたら、お嬢様達よりも強いかも知れない相手なんだ。


躊躇ったら勝てない、迷いを捨てるんだ、殺してしまうかもって迷いを。


この人達はそう簡単には死なない、死ぬわけが無い。


だから、本気で戦っても大丈夫。


 


「……ふぅ」


「おや? 何だか雰囲気が…」


「良いですか? 今から私も本気で戦います…死なないでくださいね?」


「く!」


 


最初は厄介なマミゾウさんから潰す。


周りを化けさせられたら厄介だ。


 


「何!」


「防いでも無駄ですよ、背中はがら空きです」


「馬鹿な!」


 


これでどれだけダメージを稼げたかな?


 


「さっきと動きが違う!」


「躊躇いが無くなったのか、容赦が無くなったな」


「どうせあなた達はそう簡単には死なないはずですから、容赦なく!」


 


野生を目覚めさせた感じなのかな…あの時から迷いを捨てられるようになった。


でも、出来ればあまりこの状態にはなりたくない。


何だか…私が私じゃ無くなるような気がするから。


 


「痛た…老人を少しは労らんかい」


「見た目は若々しいので大丈夫ですよ」


「若々しいか、嬉しい言葉なのじゃな、この場面以外ならのぅ」


「ここまでになると、共闘しないと不利でしょうか」


「共闘というのはフェアじゃ無いからしたくないな」


 


…出来ればすぐに終わらせないと。


 


「すぐに終わらせますよ」


「来た!」


「おぉ!? また儂か!?」


「そりゃそうでしょう…最初に攻撃したと言う事は


 最初にあなたを倒すと決めたと言う事なんですから」


「っと、まさか全員倒すつもりなのですか?」


 


聖さん…妨害をしてくるとは思わなかった。


 


「えぇ、バトルロワイヤルなんでしょう?」


「勝敗はあなたの場合、誰か1人でも倒せば勝ちですよ」


「そうですか、なら、マミゾウさんを倒しましょう」


「ぐ!」


 


私は聖さんの腹を蹴り、すぐにマミゾウさんにかかと落としを仕掛けた。


 


「流石にお前に勝たれたら困るんだ」


「足止めはさせて貰うわ」


 


今度は神子さんと華扇さんが私の攻撃を防いだ。


 


「時間稼ぎにしかなりませんよ!」


「な!」


 


そのままバク転し、下から2人の笏と腕を蹴り上げ、もう1回転をして


マミゾウさんに攻撃を仕掛ける。


 


「ぬぉ!」


「まだ降参にはならないんですね」


「くぅ…こりゃ参った、実力は確かにあるとは思っておったが。


 正直、ここまでの実力を秘めているとは思わなかったのぅ」


「仕留める!」


 


後1撃位で勝負は着く、私はすぐにマミゾウさんに向けて突撃を仕掛けた。


 


「じゃが」


 


…でも待って、冷静になればこの匂いは…違う!


 


「お?」


「この匂いはレミリアお嬢様」


「い、いきなりなんで私の方に来たかと思ったけど、なる程そう言う」


「まさか見破られるとは」


「…………」


 


私に…私に…私に私に…私に!


 


「……‥許さない…許さない…」


「こ、これは参った…まさか逆鱗に触れたかも…」


「許さない!」


「待ってフィル! なんか雰囲気変わってない?」


「絶対に!」


「待った!」


 


うぇ…お、お嬢様が…


 


「えっと、れ、レミリアお嬢様? ど、どうしました?」


「ちょっと荒れすぎよ? これはただのお遊び、本気になったら駄目なの」


「え? でも、私はあと少しでレミリアお嬢様を…」


「大丈夫よ、そんなに怒ったら駄目、遊びは楽しんでこそよ。


 そこを忘れたら駄目でしょ?」


「……はい、申し訳ありません、レミリアお嬢様…ありがとうございます」


「良いのよ、うん」


 


な、何だか荒れていた心がスッキリした気分になった。


あ、危ないよ…やっぱりこの状態は恐い。


止めよう、自分が自分じゃ無くなる前に。


 


「……ふぅ」


「ふ、雰囲気が戻った」


「…レミリアさんがフィルさんにとって、どれだけ大事か2重の意味で分かりましたね」


「儂として事が、失敗したのぅ…こりゃ儂の負けか、反則負けじゃ」


 


マミゾウさんから石が出て来て、私の方に移動してきた。


 


「不味い!」


「わ、儂、また失敗してしもうたかも…」


「な、なんですか? うわぁ!」


 


は、博麗神社に大きな亀裂が…え!? これ何!?


す、吸い込まれる!


 


「わぁ!」


「嘘! 吸い込まれた!? そんな馬鹿な!」


「自分から行くのが自然では無いのか!? 何故吸い込まれた!」


「とにかく、事態は相当不味いみたいだな!」


「ちょっと! 内の神社で何して…な、何よこれ!」


「霊夢!?」


「何よこれ!」


「外の世界に出る亀裂かしら」


「な! 外の世界!? 誰! 誰が行ったの!」


「ふぃ、フィルが…」


「フィル!? よ、よりにもよってあの子が…急いで追うわよ!」


「駄目じゃ、この亀裂はすぐに閉じる。


 儂らが今から行っても結界の中に閉じ込められるのがオチじゃ」


「く! こうなれば紫を探すしか無さそうね!


 あいつ、こんな時に何処行ってるんだか!」


 


 


 


……気持ち悪い光り、いやな明かりが周囲を埋める。


自然では無く、人工的に、排他的に、自分勝手な光りが…


ここは……ここは忘れたい場所だった。

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