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最強の悪霊


「霊夢、少しは気遣ってくれれば良いのによ、私、一応ダメージあるんだが」


「フィル、結構時間経ってるわよ、早く次に行かなくて良いわけ?」


「あ、魔理沙さん、お嬢様」


「やぁ、魔理沙、久し振りだね」


「あ? って、あ、あなたは…魅魔様!?」


 


あれ? 魔理沙さんって魅魔さんのこと知ってるのかな?


 


「なんであなたがここに!?」


 


何だか敬語の魔理沙さんって初めてかも知れない。


 


「へぇ、魔理沙、あなたって敬語が使えたのね、意外ね」


「レミリア、お前は私を何だと」


「ま、元気そうで何よりだよ」


「あ、ありがとうございます」


 


魔理沙さんが敬語を使う程の相手…一体、この人って何者なの?


 


「あぁ、私と魔理沙の関係が気になるって感じだね


 そうだねぇ、強いて言えば師匠かな」


「ま、魔理沙さんの師匠!?」


「あ、あぁ、私は前、魅魔様に魔法の稽古を付けてもらってたんだ」


 


はぁ、魔理沙さんの師匠…じゃあ、やっぱりすごく強い人なんだ。


魔理沙さんもすごい強いし、その師匠ってなると、当然もっと強い。


威圧感がすごいのも納得だよ…


 


「で、そっちの小さいのは?」


「小さいは余計よ」


「おっと、気にしてたのかい、そりゃ失敬、反省するよ」


「反省の色が全く見えないわよ、この悪霊」


「ほぅ、私を一目見て悪霊と気付くとはね」


「雰囲気がまさにそれよ、自覚しなさい、無駄乳」


「あはは! ほぅ、羨ましいのかい? お子様だねぇ」


「何ですって! このレミリア様に対してその口の利き方は!」


「止めなさいレミリア、あんたが勝てる相手じゃ無いわ」


「私が勝てないですって? は、そんな訳無いでしょう!


 私は誇り高き吸血鬼、たかだか悪霊如きに敗れるはず無いわ!」


「威勢が良いのは結構だけどね、力の差も見抜けない子供如きが私に勝てると思うのかい?」


「は! 力の差も見抜けない悪霊如きが私を倒せるわけが無いでしょう?」


「ま、待ってくださいお嬢様!」


「魅魔様! 落ち着いてください!」


 


こ、この2人が戦いになったら大変な事になるよ!


 


「…ま、弟子に免じて今回は退いてあげるよ、吸血鬼ちゃん」


「逃げようっての? 逃がすわけが」


「落ち着いてくださいよお嬢様! そんなにムキにならないでください!」


「どきなさいフィル! ペットが私の道を阻むんじゃ無いわよ!」


「いや、本当に落ち着いてください! お、押さないで!」


「どきなさいって言ってるでしょうが!」


「ふふ、こんな下等な妖怪に力負けするとは、吸血鬼ってのも大したことないねぇ」


「何! もう一度言ってみなさい、この無駄乳!」


「フィルが下等な妖怪ねぇ…」


「お前も変な事言ってないで止めるの手伝えよ!」


「大丈夫でしょ」


「何の根拠があるんだよ!」


「フィル! どきなさい! 今すぐあいつを血祭りに上げてやるわ!」


「だから押さないでくださいよお嬢様! 落ち着いてください!」


 


お、お嬢様、すごく機嫌が…うぅ、力すごい。


やっぱりお嬢様って吸血鬼なんだなと感じるよ。


こんなに小さいのに、こんなに力が凄いなんて!


 


「お姉様」


「フラン? 何よ、どうしたの?」


「お姉様って、意外と短気なのね」


「そ、そ、そんな訳無いでしょ!?」


「え? でも」


「ふ、こ、これは…えっと…あれよ、フィルと力比べを」


「ここでしなくても」


「したくなったのよ!」


 


……無理矢理だ、凄く無理矢理だ、でも、あ、合せよう。


ここで私が変な事を言って、お嬢様の姉としてのプライドが傷付いたら大変だし。


 


「そ、そうです! いやぁ、私もお嬢様と1度、力比べをして見たくて」


「へぇ、じゃあ、フィル」


「はい?」


「私ともしようよ、力比べ」


「え゛!?」


「私、力には自信あるんだよ?」


「あ、え、えっと、あの…いや、さ、流石に…」


「何で? お姉様とは力比べをするのに、私とはしてくれないわけ?


 それとも、お姉様と力比べをしていたってのは嘘なのかな?」


「う、うぅ…わ、分かりました! やりましょう!」


「いやフィル、無理しなくても、と言うか」


「大丈夫です! 力には自信があります!」


「……いや、フランの奴、最初から力比べが嘘って分かってるだろあれ」


「魔理沙、小声で言っても聞こえないわよ」


「だって、あの2人の組合、面白そうじゃねぇか」


「あなたも大概鬼畜よね」


「気付いていても教えない、あんたも同類だと私は思うね、ま、私もだけどね」


 


ふ、フランお嬢様と力比べ…ど、どんな感じなんだろう。


何となくだけど、お嬢様は手加減とか上手そうだけど


フランお嬢様、手加減が苦手なように感じるし…


 


「行くよ、フィル」


「は、はい! いつでもウェルカムです!」


「ふふ」


「のわぁ!」


 


いやまって!? 拳! 拳なんですけど!?


え? 力比べって普通拳じゃなく、手を組み合って押し合うとかそう言う!


 


「ふ、フランお嬢様、何で拳なんですか!?」


「力比べと言ったら! 拳と拳のぶつかり合いってイメージある!」


「それは喧嘩で、ちょわぁ!」


 


危ない! 顔! 顔擦った!


 


「待って! 力比べじゃありませんってこれ! ただの殴り合い!」


「やっぱり力比べってこう言うのじゃん!」


「違います! それは男同士とかの決闘であって


 女の子同士ならこう、平手打ちとかそう言う」


「知らないよそんなの!」


「はわぁ!」


 


よ、横腹に拳が擦った! 服がちょっと破れた!


こんなの思いっきり食らったら、痛いどころじゃないんじゃ!


 


「フィル! 避けないでよ!」


「無理です!」


「これじゃあ、力比べになんないじゃん!」


「最初から力比べじゃありませんって!」


 


と、とにかく逃げよう! こんなの思いっきり当ったら痛いって!


 


「待て~! フィ~ル~!」


「待ちませんって、あだ!」


 


え!? 何!? 見えない何かに当った!?


壁? でも、壁なんて何処にも…ん? んん!?


あれ? この目の前の空間、何だか硬いぞ?


 


「あ、神社が倒壊したら不味いから結界を張ったわ」


「はへ!?」


「は、決戦のリングみたいだな」


「魔理沙、大分楽しそうだねぇ、ま、私も見てて楽しいんだけど


 で、どっちに賭けるんだい?」


「そうですね、フィルは逃げてばっかりだし勝ち目がないだろうからフランですね」


「私もフランを応援しようかしら、妹だし」


「じゃあ、私もそっちだ、あの獣、逃げてばかりだからねぇ」


「そう? 普通ならフィルが圧勝しそうだけど、ま、私はあえて引き分けを選ぶわ」


「私の危機を賭け事の対象にしないでください!」


「それ!」


「うわぁ!」


 


あ、危なかった、な、何とかフランお嬢様の攻撃を受け止めることが出来た。


でも、やっぱり力強いなぁ…ど、どうしよう。


 


「へぇ、ビクともしないんだ」


「え? 手加減してるとかじゃないんですか?」


「するわけ無いじゃん、やっぱりフィルは強いね」


「あ、ありがとうございます」


「でも、これならどうかな?」


「あぶぁ!」


 


あ、あの炎の剣って…レーヴァテイン!?


 


「ま、待ってくださいフランお嬢様! 武器は反則でしょ!?」


「やっぱり力比べって、自分の全力を出すべきだと思うの」


「だからって武器は危な! うわぁ! 熱! あつつうぅう!」


 


か、髪の毛がちょっと焦げた…容赦なさ過ぎる!


 


「あれ、反則じゃないの?」


「まぁ、全力を出すって意味なら別に良いんじゃねぇの?」


「フィルは全力を出してないのに、容赦ないわね」


「あの子、もう全力じゃないの?」


「あんな甘い妖怪が大事なご主人様に対して全力を出すとでも?」


「フィルの主人は私よ?」


「あの子に取ったら、フランも大事なご主人でしょ?」


「…否定はしないわ」


「だけど、助かるには戦うしか無い、けどまぁ、他にも1つ手がある


 フランを倒すよりも難しいし面倒な手だけど」


 


このままだとフランお嬢様の攻撃が当っちゃう…


当ったら絶対に凄く痛いから、こ、ここは逃げないと…


フランお嬢様を攻撃しないで戦いを終わらせる方法は1つ。


決着を着けないことだ、例えば、私が日の下に出れば


フランお嬢様は私を追いかけることが出来ない。


そうすれば引き分け…でも、霊夢さんの結界があるから難しい。


だったら、やることは1つしか無い!


 


「そこ!」


「私は!」


「およ!?」


 


フランお嬢様のレーヴァテインの腹を、私は強く蹴った。


レーヴァテインは飛ばされ、結界の壁に突き刺さる。


私は素のレーヴァテインに飛びかかり、腹をもう一度蹴る。


その蹴りの勢いでレーヴァテインは霊夢さんの結界を斬り裂き


結界に大きなヒビが入り込んだ。


 


「もうひとつの手は、私の結界を破壊して、日の下に飛び出すこと」


「な! 霊夢の結界が!」


「そして、ヒビを蹴破れば!」


「は、はぁ…ただの妖怪が霊夢の結界をぶっ壊したよ


 これだけの能力を隠してたのかい…


 でも、これならあの金髪吸血鬼を倒した方が早かっただろうに」


「言ったでしょ? あんな甘ちゃん妖怪が大事なご主人様を攻撃出来るわけがないって」


「よ、よし! 日の下に出ましたよ!」


「くぅ! フィル! 戻ってきてよ! 私、日の下に出たらしんどいんだから!」


「いやです!」


「フラン、そこまでよ、この勝負、引き分けね」


「何でよ、フィルの勝ちじゃん」


「ハッキリとした決着が着いてないんだから引き分けで良いでしょ?」


「…完全敗北した気分だよ、やっぱりフィルは強いね」


「あ、ありがとうございます…ん?」


「こ、この妖怪めー!」


 


あれ? 誰かが私の背中に乗った?


 


「あむ!」


「いた…ん? ん~?」


「あ!、痛い! 角は止めて!」


 


え!? 誰この人…犬? 犬なのかな? 犬だよね?


いや、でも、どう考えても人間…あ、でも、角があるし。


耳もちょっと特殊だし…コマ犬っぽい耳だし。


 


「え? あ、ごめんなさい」


 


ちょっとだけ冷静に戻って、私は掴んでいた角を離した。


 


「…霊夢、あの犬は何?」


「知らないわ、あんなのいたっけ」


「こ、高麗野です! コマ犬の高麗野です!」


「……コマ犬なんていたっけ?」


「ひっそりと神社を見守ってました!」


「え? はぁ、そうなの…全く気付かなかったわ」


「私もだぜ、で、そのコマ犬が何でまたフィルに噛み付いてる?」


「だ、だって、こいつ明らかにヤバいですもん!」


「え?」


 


わ、私、何か悪い事したかな!? じ、神社で暴れたから!?


 


「フィルが? そんな風には見えないがな」


「1度来たときも出ようとしましたけど、足が竦んで動けなかたったんです-!」


「ヘタレだな、そもそもフィルの何処に危険な要素があるんだよ


 そんな危険な奴なら、お前今頃死んでるだろ」


「まぁ、思いっきり角を捕まれてたしね


 フィルに確実な敵意やら悪意があるなら間違いなく死んでるわよこれ」


「そもそも、こいつに悪意とかあるのか? 危険な要素もないだろ」


「この妖怪が博麗の巫女が展開した結界を砕いたけどね」


「うぅ…でも、何だか敵意は無いようですし…見逃してあげます!」


「負けそうになってた奴のセリフじゃないわね」


「何かこいつ、番犬じゃなく、駄犬だな」


「なぁ!?」


 


…あ、この人、周りからからかわれるタイプの人だ。


何だかすぐに分かった…何だろう、仲間意識が芽生えた気がする。

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