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謎のボール


レミリアお嬢様とフランお嬢様は、あれから凄く仲良くなった。


一緒に館を歩いている姿を何度もみるようになったし


たまに一緒に外出もするようになった。


 


「フランお嬢様、レミリアお嬢様、良かったですね」


 


直接伝えることは無いけど、仲良くなってくれて本当に良かった。


うん、やっぱり素直になれば良かっただけなんだ


それが難しい理由は、私には分からないけど。


…私にも姉妹がいれば、そういう感情が分かるのかな?


 


「よし、お嬢様達が外出中にお部屋の掃除を…あれ?」


 


私がお嬢様のお部屋に向おうとすると


いつの間にか手元に紫色のボールを持っていた。


ん、んー? 何これ、よく分からないなぁ


私、こんな気持ちの悪い石、拾ったっけ。


 


「んー?」


 


何だか変な感じだなぁ、見た目も気持ち悪いし


どう考えても害悪…出来れば触りたくないなぁ、気持ちが悪いし。


 


「まぁいいや、お嬢様のお部屋を掃除しよう!」


 


 


…あのよく分からない石が私の周りに出て来てから少し経った。


気持ち悪いから捨てようとしても捨てられないし


気が付いたら手元にある、何だろう、本当に気持ち悪い。


 


「ど、どうなってるの?」


 


こう言うときはどうしよう…咲夜さんに相談しても分からないみたいだし。


うーん…あ、そうだ! 紫さんに話を聞いてみたら何か分かるかも!?


…でも、あの日以降、紫さんは姿を見せてくれないんだよなぁ。


 


「うーん、紫さんが行きそうな所は」


 


紫さんが行きそうな所と言えば博麗神社かな。


とにかくこの石の謎を解き明かさないと不安で夜も眠れない。


昨日なんて6時間しか寝てない…普段は10時間も寝るのに。


 


「すみません、レミリアお嬢様」


「どうしたの? フィル」


「フィル、何だか元気ないね」


 


お嬢様のお部屋に行くと、フランお嬢様がレミリアお嬢様が座っている


椅子の前に座っていた。


 


「あ、すみません、姉妹水入らずの時間を邪魔してしまい!」


「構わないわ」


「私はフィルとお姉様と3人でのんびりとお話しをしたいと思うけど」


「悪くないけど、流石にフィルに血の味は分からないわ」


「私はA型が好きなんだけど」


「私はB型よ、しっとりとした味わいがお気に入りよ」


「私はA型のほのかに甘い所が好きだなぁ」


「…血液に味ってあるんですね」


「勿論よ、後フィル、あなたの血の味は極上よ」


「そうなの? 私も呑んでみたい!」


「えぇ、是非呑んだ方が良いと思うわ、あの血の味は素晴らしいと思うわ


 私の口にピッタリよ」


「…え、えっと、それではお仕事に行ってきます、ふ、フランお嬢様のお部屋の掃除が」


「待って! 私の部屋の掃除はもう咲夜に頼んだわ」


「じゃ、じゃあ、廊下の」


「それももう咲夜がやってるわ」


「…窓ふ」


「咲夜が」


「おりょう」


「もう用意されてるわ」


「……し、失礼します!」


「逃げるの? 逃がさないわよ!」


「私にも呑ませて!」


「勘弁して下さい! 死にます! 私死にます!」


「大丈夫! 三分の一しか呑まないから!」


「死にます! 十分致死量ですそれ!」


「あ、私も三分の一貰うわ」


「合計三分の二じゃ無いですか! 死にます!」


「待てー! フィル!」


「逃げますよぉぉお!」


 


駄目だ駄目だ駄目だ! 捕まったら死んじゃう! 死んじゃうって!


流石に三分の二は危険すぎる! いくら妖怪でも死ぬ!


私、半分人間だから余計死ぬ! 死にたくない!


 


「ぐぬぬぅう! 逃げ足が速いわね!」


「まさか吸血鬼である私達でも追いつくのが難しいなんて


 よし、フラン! 挟み撃ちよ! あなたはこのままフィルを追いかけて!」


「分かった!」


 


何か本気なんですけど!? 本気で私を殺す感じなんですかね!?


 


「待てー!フィルー! ちょっとだけ! ちょっとだけだから!


 ほんの三分の一程度だから!」


「ちょっとじゃ無いです! 当たり前の様に死にます!」


「大丈夫だって! 妖怪は頑丈だし! 特にフィルは!」


「死にます!」


「試してみれば良いじゃない」


「お嬢様!?」


 


正面からお嬢様が! は、挟まれた!


 


「逃がさないよ!」


「大人しく捕まりなさい!」


「うわぁあ!」


「あ! 逃げられた!」


「くぅ! まさか挟み撃ちでも避けるなんて! 仕方ない、咲夜!」


「はい」


「ほわぁ!」


 


いきなり背後に現われた咲夜さんに捕まってしまった。


 


「さ、咲夜さん! お願いします! 離して下さい!」


「主の命に従うのが従者の役目よ?」


「分かってますけど!」


「それに、お嬢様達のお役に立って死ねるなら、本望でしょ?」


「死ぬと分かっててやってるんですか!?」


「えぇ、あ、でも安心しなさい、0.001%くらいで大丈夫だと思ってるわ」


「それほぼ確定じゃ無いですか!」


「自分の運を信じなさい」


「いや! 運とかそういう次元じゃ!」


「いただきまーす!」


「あだぁああ!」


 


 


 


……し、死ぬかと…思った。


 


「あ、うぅ…」


「良く生きてたわね」


「本当…何故無事なんでしょう」


 


お嬢様とフランお嬢様2人に合計三分の二吸われた。


あぁ、か、体が鉄の様に重い…目の前が霞む…


鏡を見せて貰ったけど、しおれているというのが1番的を射た表現だと思う。


顔とか真っ青…まるで死んでいるかのように真っ青だった。


うぅ、力が入らないし…立つ事も出来ないなんて…ううぅ。


 


「いやぁ、美味しかった! フィルの血は極上だね!」


「そうでしょう? 高貴な私達に相応しい極上の血液よ」


「もっと呑みたい!」


「えぇ、私も呑みたいわ」


 


レミリアお嬢様とフランお嬢様が同時に私の方を見た。


 


「あ、あの…さ、流石にこれ以上は勘弁してくだふぁい……もう無理です…


 死にます…流石に…死にます…もう体の何処にも力が入りません…」


「じゃあ、襲い放題?」


「いや、あ…の」


「それじゃあ、無理矢理頂こうかしら」


 


レミリアお嬢様とフランお嬢様の口元から見えた八重歯が…


何だかゆっくりとこっちに近付いてくる大きな刃物に見えた。


 


「ゆるひてくらふぁい」


「呂律が回ってないわね、これは相当…まぁ、まだ出血してるし当然だけど」


「仕方ないわね、じゃあ、こっちで我慢して上げるわ」


 


うぅ…もう駄目…死ぬ、死んじゃう…もう、意識がぁ…


 


「あら、気絶しちゃったわね」


「死んだわけじゃ無いよね!? フィル大丈夫だよね!?」


「大丈夫よ…多分……やり過ぎたかしら」


「人間ならまず間違いなく死んでますね、妖怪でも十中八九死ぬでしょう」


「大丈夫なの!? フィル大丈夫なの!?」


「私の予想では大丈夫だと思います、止血をすればですが」


「じゃあ、早く止血しなさい!」


「了解です」


「あ」


「完了しました」


「流石咲夜ね…そう言えばフィル、何で私の部屋に来たのかしら」


「…恐らくですが、謎の球の正体を探るために休暇を貰おうとしたのでしょう」


「そう言えば、前に言ってたわね…ま、良いでしょう


 明日、フィルが目を覚ましたら休暇の許可を出しましょうか」


「フィル、何処か行くの?」


「そうみたいね、何処に行くかは知らないけど、明日聞いてみようかしら」


「そうだね!」

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