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地底の明るい家族

はぅ…温泉、気持ちよかったのは間違いないんだけど。


何だか知らないけど、凄く心にダメージを食らった気がする。


い、いや、関係ないもんね! こ、この程度、すぐに回復するし!


 


「精神的ダメージは回復するのに時間が掛かりますよ?」


「い、いえ! 大丈夫です! ちょっと休めば回復します!」


 


ただちょっとお胸が大きいだけ! し、身長もだけど。


でも、やっぱり私はこのままの方が良いし、このままの方が楽。


私が私以上になる事は出来ないし、他人を妬んでも成長が促進される訳じゃない。


私は私のままで成長していくべきだ、自然な成長こそ一番大事。


このままで私は良いし、私はこのままが一番私らしい。


 


「自己解決、やっぱり逞しい人ですね」


「ポジティブに考えていきますよ!」


 


うん、前向き大事、後ろ向きすぎるのは良くない!


 


「まぁ、その内大きくなるだろうさ、それじゃあ、食事を」


「ねぇねぇ! 今日一緒に寝ようよ!」


 


う、うぅ…、う、羨ましくない、羨ましくない!


 


「悪意が無い無自覚って本当恐ろしいですね」


「私もそう思います」


「お空、お胸大きいからね」


 


…ふぅ、大丈夫、大丈夫、深呼吸して落ち着いてと。


 


「えっと、一緒に寝るって、邪魔になると思うんですけど」


「え? そんな事無いよ?」


「そ、そうですか? と言うか、その…何でそんなに私に懐いてるんですか?」


「え? …わかんない」


 


わかんないんだ、じ、自分の事なのに…でもまぁ、確かに自分の事って


案外分からない事多いし、仕方ないか。


 


「お空もあなたの心の清らかさが分かるのでしょうね」


「え? いやいや、そんな事は」


「自信持ちなよ、動物に懐かれる人に悪い奴は居ないって言うから」


「そうなんですか? でも、私も半分動物ですよ? 同じ動物だからとか」


「関係ないと思うよ、自信持って、そもそもね


 お姉ちゃんが心が清らかだって行ってるんだから


 あなたの心は清らかで、とても良い子なんだよ、自信持って」


「は、はい…わ、分かりました、頑張ります!」


 


心が清らかかぁ、でも、多分それは自分の過去が分からないまっさらだから。


記憶が無いと言う事は、何の色もないと言うこと。


どんな色にも染まってなくて、どんな色にもこれから染まる。


 


「大丈夫ですよ、生きていけば、考え方が変わるのは当然です。


 むしろ、何も変わらないのはおかしい、人間でも妖怪でもね。


 ですが、あなたの今の心を持ち続けることは出来るでしょう?


 大事な心を忘れず、心に抱き続け、その大事な心を誰かにも預け


 もしもの時は助けて貰う、こうしていけば、心は変わりませんよ」


「さ、さとりさん」


「ふふ、安心してください、私はさとり妖怪、あなたのその心


 私が勝手に預かっています、もしも変わったと思ったら


 私に言ってください、あなたが抱いていた心をお裾分けします」


 


…やっぱりいい人なんだな、さとりさんは。


色んな人の心を見てきたから見付けた考えなんだろうなぁ。


心を読めると言う事は、色々な人の考えを自然と得る事が出来ると言う事。


その沢山の考えの中で生きてきたから、さとりさんはこんな考えを抱いた。


色々な心を集め、色々な心を重ね、作り上げた心かぁ。


 


「…ふふ、本当にあなたと居ると、私は救われます」


「え?」


「ありがとうございます」


「え? あ、はい」


 


…あ、心読んだのかな? あはは、何だか恥ずかしいや。


 


「さとり様が幸せそうな顔を! これがおねぇさんの力!」


「純粋で賢い心なんだろうね、フィルの心


 私も読んでみたかったなぁ、少し目を閉じたことを後悔するよ」


「さとり様が笑顔だと私も嬉しい!」


「ありがとう、皆」


 


やっぱり仲が良いなぁ、こう言うのを見てると、凄く羨ましい。


……私も、こんな風になれる家族が欲しいなぁ。


 


「フィルさんと私達も十分仲良しでしょう?」


「え? でも、私は…」


「もぅ、おねぇさんったら、遠慮することは無いよ


 おねぇさんはもうあたいの中じゃ、大事な家族だよ!」


「…ありがとうございます!」


 


……何だか嬉しいなぁ、仲良くしてくれる人が居るのは。


でも、考えてみれば、幻想郷で出会った殆どの人が


すぐに私と仲良くしてくれた、こんな私と。


普通の人とは違う、耳があって、尻尾も生えて。


あり得ないから迫害されて、孤立し、貶されて……?


 


「フィルさん、この幻想郷ではあり得ないが当たり前です。


 それに、あなたはもう孤立することは無いでしょう、断言できます」


「え? あ、えっと、そ、その…」


「あなたにはあなたを守ってくれる、大事な人が居ます。


 幻想郷は全てを受入れると、何処かの妖怪も言ってました。


 ですので、あなたも受入れてもらっています。


 安心してください、あなたが迫害されることはありませんから」


「……はい、そうですね!」


「さぁ、食事にしましょうか、温かい食事、皆で食べるご飯は美味しいですよ」


「はい、そうですね!」


「じゃあ、お隣、手伝って頂戴」


「はい、お任せください!」


「あ、私もお手伝いするよ、お姉ちゃん」


「あら、こいしも? ふふ、嬉しいわ」


「じゃあ、私も」


「フィルさんもですか? そうですね、一緒に作りましょう」


「私も私も!」


「えぇ、では、皆で作りましょうか」


「はい!」


 


…こんなに沢山の人と協力してご飯を作るのは初めてだ。


前に咲夜さんに手伝って貰って作ったことはあるけど。


この人数は初めて…何だか、楽しみ!

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