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地底

「あだ!」


う、うぅ…今度は何処? 凄く暗いんだけど。


「うぅ、ここは?」

「ここは地底、色々な妖怪達がすんでるわ」

「紫さん! もう、少しくらい休ませてくださいよ!」

「ごめんね、でもほら、どうせまた飛ばすならすぐで良いかと思って」

「うぅ、私、新しいスペルカードとかも考えないと行けないのに」

「まぁ、良いじゃ無いの、時間は沢山あるわ」

「そうですけど…」

「それじゃあ、地底で妖怪達に挨拶してきなさい」

「はい…どうせ駄々をこねても意味ないでしょうし」

「勿論よ」


うぅ、分かってはいるけどさ? 当然分かってるよ。

でも、もう少し位休ませてくれたって良いじゃ無い。

確かに今日、私休みだから1日仕事無いけどさ。

休みの時位1日中眠っていたいな、とか思うし。


「はぁ、1日中ベットで寝てみたいなぁ」

「それ、かなり退屈よ」

「あ、く、口に出てました!?」

「まぁね、ほら、行ってきなさい、一応今回の事は謝るけど」

「謝る気、ありませんよね?」

「勿論よ」


やっぱり紫さんだなぁ…まぁ、強引な人だしね。

仕方ない、大人しく紫さんの言うとおりに行動しよう。

確か地底の妖怪達に会えば良いんだよね。


「それじゃあ、頑張ってね」

「はい…」


そう言い残すと紫さんはあの空間を閉じ、目の前から消えた。

はぁ、どうしよう…こんなに暗いのに。

一応、周りを見ようと思えば見えるんですけど、足下が見えにくくて。


「…あ、あれ?」


あ、足場が! 足場が無い! あ、あ、あ、あぁああ!


「お、落ちる! 落ちちゃうぅ!」


ひぃ! 地面が! 地面が凄い速度で近付いてくる!

死ぬ! 私死んじゃう! どうしよう! これ、どうしよう!


「やだぁあ! 死にたくなぁああい!」

「随分と騒がしいのが来たね」


そんな声が聞こえたと思うと、私は柔らかい何かに包まれた。

その柔らかい何かは大きく下に伸びた後、凄い弾力で私を持ち上げる。


「ふえ!? ふえぁああ!」


普通ならはじき飛ばされるだろうけど、私ははじき飛ばされること無く

そのまま再び地面に引っ張られる。

ある程度下へ落ちると、再び上へ、あ、あぁ! 目が! 目が回る!

目が回るよ! 何で下へ落ちたり上へ上がったり!? 何か引っ張られてるよ!


「あ、あぅ…」


それが何度も続き、ようやくその上下への動きは収まった。

だけど、私はまだふわふわしている様な変な感覚があるし

目もまだ回ってる…あぅ、どうなってるの? これ。


「う、ぅ…」

「落ち着いた?」


私の目の前には金色の髪の毛で茶色いリボンでお団子っぽいポニーテール

服装は黒色の服の上に茶色い上着とスカートが合わさった服。

胸元には6個のボタン、スカートには蜘蛛巣の一部みたいな黄色い模様がある。


「まぁ、本当なら落ち着ける状況じゃ無いんだけどね」

「あ、ありがとうございます、えっと、助けてくれて

 あ、私はフィルって言います」

「え? あ、えっと、私は黒谷 ヤマメ(くろだに)しかし、この状況で自己紹介とは

 それに助けたって、随分とまぁ、お気楽な」

「だって、この糸が無いと落ちてましたし…ね、ねね、ね!」


私は力を精一杯出して、私に引っ付いてた糸を引きちぎった。

凄い頑丈だなぁ、見た目は細いのにどうなってるんだろう。


「……嘘」

「と、っとと」


次は右手、左手と比べれば結構楽に引きちぎれた。


「…冗談でしょ? 私の糸をそんなあっさり…あんた何者?」

「えっと、紅魔館でお世話になってます」

「いや、そういう訳じゃ無くて、ただの妖怪じゃ無いでしょ

 当然、人間でも無い…人間にそんな力は無いし

 ただの妖怪でも私の糸はそう千切れない」

「え? 私はただの半獣ですよ」

「半獣? う、嘘でしょ、半獣じゃ、私の糸は流石に千切れない」

「でも、私は半獣ですし、あ、狼と人間の半獣です」

「……そんな事」

「……」

「あだ!」


う、うぅ、な、何か頭に当たった…凄く痛い。


「どうし……そうだ」

「ほえ!? 鎌!?」


え!? え!? えぇ!? 理解できないけど死にたくない!


「くぅ!」

「あ」


私は目の前に出てきた鎌に噛み付き、その鎌を噛み砕いた。

し、死にたくない一心だったけど、鎌って結構脆いんだ。


「…私の鎌」

「あ、危ない…」

「キスメ、証拠隠滅に殺そうとするの止めなさい」

「証拠隠滅!?」

「……ごめんなさい」

「…え?」

「この子、たまに人の頭に当たって、その時どうすれば良いか分からないから

 怒られないように殺そうと」

「いや! 怖すぎですけど!?」

「……」


私が大声で叫ぶと、私にぶつかってきた女の子は焦って桶の中に隠れた。

うぅ、どうなってるの? 何でこんな可愛らしい子が…

見た目小さいし、緑色のツインテール…服は真っ白だけど。

白装束って奴かな? 何だか不思議な服装だ。


「あ、あまり大声出さないで、この子、結構臆病だから」

「あ、あれでですか?」


いきなり鎌で殺そうとしてくるのに臆病なんだ。

いや、臆病だったからかな? でも、行動が極端というか恐ろしいよ。


「それにしても普通鎌を噛み砕く?」

「いや、あの、必死だったんで」

「しかも一瞬で砕いてたような…本当に半獣?」

「は、半獣です! 記憶無いんですけど、狼の半獣なのは間違いないです

 少なくとも人間の血は入ってます、はい」

「…そ、そうなんだ」


ほ、本当、とっさの判断だったけど、何とかなってよかったよ。

でも、鎌をかみ砕けるって言うのは初めてしたて知ったかな。

鎌って硬い気がしたけど、案外脆いんだね。

見た感じ鉄なのに、よく分からないや。


「えっと、とりあえず殺すのは止めてください」

「大丈夫だと思うけどね、もう」

「……」

「あ、あはは…そ、そうですね、あ、そうだ、私、そろそろ下へ降りないと」

「まだまだ下は深いけど、大丈夫? 運ぼうか?」

「良いんですか!? じゃあ、お願いします!」

「はいはい、任せてよ、気が変わったからね」

「気が変わったから?」

「あ、何でも無いよ、ちょっと敵いそうに無いって思っただけだから」

「ん? どういうことか分かりませんが、まぁ、良いです」


私はその後、ヤマメさんに連れて行って貰って、何とか下へ降りた。

その後、キスメさんがまた落ちてきたけど、今度は当たらなかった。

また当たったら殺されそうだし、当たらなくてよかったよ。

何でもキスメさん、落ちるときは制御不能の速度で落ちちゃうらしい。

浮くときは問題無いのに変わってる。

どうもキスメさんの妖怪としての性質らしいけど、性質なんてあるんだ。

私は特にそういう性質が無くて良かったよ、半分人間だからかな。

どっちにしても、普通に過ごせるからいいや、空は飛べないけどね。

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