スペルカード
スペルカード…それを作る事が出来ればきっと幻想郷になじめる。
スペルカードの作り方は確か技を考えて、その技の名前を考える。
その技名をカードに書いて、使うときはそのカードの技を宣言する。
その前に、何とか符とか、光撃みたいな感じで何かを書く?
あれ、何なんだろう、名前? サブタイトルみたいな感じ?
「うーん…」
「いたた…霊夢、本当に人間なのかと疑うほどに怪力ね
で、フィル、何を悩んでいるの?」
「あ、えっと、スペルカードを宣言する前に
魔理沙さんだと恋符とか、光撃、とかあったじゃ無いですか
あれがなんなのかで悩んでて」
「まぁ、特に意味は無いわね、でも、基本的に自分に関係している言葉を使うわ
例えば、私の場合能力から運命、紅符とかかしらね
でも、別に制限があるわけでは無いから、好きな言葉を付ければ良いわ」
あ、あれ、あまり意味が無かったんだ、深く考える必要は無いんだ。
「まぁ、特に気にする必要は無いから、深く考えなくても良いわよ」
「あ、はい、分かりました」
「ある程度の事が分かったなら、さっさと帰ったら良いんじゃ無いの?」
「何言ってるんだよ霊夢、折角こいつが居るんだ
スペルカードの1枚が出来るところを見届けようじゃ無いか」
「はぁ? 面倒くさいわ」
「まぁまぁ、減るもんじゃないし」
「減るわよ、私の過ごせる空間と時間が」
「別にやること無いんだから良いじゃ無いかよ」
「あるわよ!」
「何があるんだ?」
「…け、境内の掃除とか…」
「終わってるじゃ無いか」
「…の、祝詞を上げたり」
「上げてるところを見たことないぜ」
「…さ、参拝客の対応を」
「参拝客、来ないじゃ無いか」
「……」
「な?」
「はぁ…分かったわよ、1枚目が出来るまでよ!」
「よっしゃ! そうこないと!」
な、何だか魔理沙さんのお陰でこの場所で私はスペルカードを作れるみたいだ。
スペルカード、どういう風に作れば良いのか分からないけど、絶対に作るぞ!
「ん? 何だか雲行きが怪しくなってきたわね」
「あ!」
しかも、何だか雲がかかってきたと思うと、雨が降り始めた。
「……これ、ヤバいわね」
「帰れないじゃん!」
「……何でこのタイミングで降るのよ!」
「もしも雨が止まない場合はお泊まりだな、吸血鬼は雨の日出られないだろ?」
「はぁ!? 冗談じゃ無い! ただでさえ窮屈なのに吸血鬼の面倒まで!?」
「何か作為的な物を感じますね」
さっきまで天気が良かったのに、突然の雨だし。
「…まさか、あいつ」
「あいつ?」
「ちょっと待ってなさい」
「あ、はい」
そう言うと、霊夢さんはお祓い棒を取り出して、一振り
するとお祓い棒が通った場所の空間が裂け、その中に霊夢さんは入った。
…何あれ!? 瞬間移動!? どうなってるの!?
「ど、何処に…」
「さぁね、霊夢の力は良く分からないし」
移動して少し時間が経ったと思うと、霊夢さんが帰ってきた。
服が少しだけ濡れていろ所から考えて、外に出ていたんだろう。
でも、この雨の中どうして? あ、それに雨も止んだ。
「雨が止んだな、意味の分からない天候だぜ」
「はぁ…まさかあいつの面倒に付き合わされることになるとはね」
「ど、どうしたんだ? 何をしてきたんだ?」
「…ちょっと紫に話をね、ま、あいつから事情は聞いたわ
その結果、私はあなたに協力した方が良いと判断した
スペルカードルールに順応することが出来てくれれば良いのだけどね」
「え!? じゃあ、私の事を聞いてきたんですか!? お、教えてください!」
「それは無理ね、紫も言ってたでしょ? あなたが知るにはまだ早いわ」
うぅ…何なの? 私って一体何なの!?
「なんで…私の記憶なのに…」
「知らない方がいい記憶もあるわ、知らなくてもいい事実
少なくともその事実は、今のあなたには毒にしかならない
でも、一生知れないと言う訳ではないし、今は目の前ね」
「まぁ、霊夢も乗り気になってくれたことだし、私も協力するわ」
今度は目の前の空間が切れ、そこから紫さんが出て来た。
「紫? ここまで来ると本当によく分からなくなってくるわね
フィルはまだまだ新参、その新参のために幻想郷の賢者が
ここまで肩入れするとはね」
「少しでも早く幻想郷に適応して欲しいと思っているだけですわ」
「胡散臭いわ」
「よく言われるわ」
げ、幻想郷の賢者? 凄く偉い人って事?
そ、そんな人が私なんかに協力してくれる?
どうして? 私なんかに協力して、何の意味があるの?
「まぁ、あなた達にも損は無いでしょう?
この子がスペルカードを扱える様になるのだし」
「確かに損は無いわ、でも、どうもあなたの掌の上で踊らされてる感じで
少しだけ気にくわないのだけど?」
「踊ってそんの無い踊りなら、踊った方が良いでしょう?」
「あなたの掌の上だと言うことが問題なのだけど、まぁ、良いわ
踊ってやろうじゃ無い、それがフィルの為になるのならね」
「お、お嬢様…」
「勘違いしないで頂戴、あなたが強くなれば色々と楽になるからよ
後、フランの為でもあるわね、あなたがスペルカードを作れれば
フランも退屈しないですむでしょうし」
「うん!」
「ま、スペルカードは問題無いでしょうね、私達が手を貸すわけだし」
「そうだな、最強の使い手3人が面倒見るんだ、余裕だぜ!」
「あ、ありがとうございます!」
何で紫さんと霊夢さんが私に協力してくれるのかは分からないけど
でも、今は協力してくれるだけで嬉しい。
絶対にスペルカードを使えるようになって、記憶を取り戻す!
絶対に私が何者なのかを突き止める! きっとそれが1番だから。




