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お嬢様の部屋へ

咲夜さんに言われて、私はお嬢様のお部屋まで移動することにした。

お嬢様のお部屋には初日に1度入ったことがあったけど

それ以降は入ったことが無い…恐れ多くて入れないよぉ。

でも、今回は呼ばれたわけだし、行かないと駄目だよね。

うぅ…何なんだろう、何で私呼ばれたのかな?

やっぱり何か粗相をしちゃったのかな? だとすれば何をしたの?

あ、もしかして、天子さんを連れてきちゃったことかな!?

それとも、お料理が下手だったから!?

あ、あぁ…思い当たる節がありすぎて怖いよぉ!


「あ…あぅ…」


そんな事を考えていると…迷ってしまった。

ひ、広すぎるよぉ! 紅魔館!

何で外から見たときよりも広いんだろう…

絶対に外から見たときよりも広いって、そんな事あり得るの?

あ! もしかして咲夜さんかな? 四次元ポケットみたいな感じで

確か四次元って時間の空間だって何処かで聞いたことがあるよ。

だから、時間を操って空間を広げてたりして!

…なんて、そんな訳ないよね、ちょっと焦りすぎて変な事考えちゃった。

四次元ポケットなんてフィクションの道具だよ。

四次元とかあり得ないし…いや、待って待って

正直、あり得ないことが平気で起こってるこの幻想郷で

今更それをフィクションだというのはおかしいんじゃ無いかな?

だって、お嬢様吸血鬼だよね? 吸血鬼とか普通はフィクションでも

ここじゃ本当にいるし…だぁ! 何考えてるの私!

そんな事を考えてる暇は無いんだよぉ! 現実逃避は良いんだぁ!


「お嬢様のお部屋は何処なのぉー!?」

「はぁ、方向音痴ね、あなた」

「ひょわぁ!」


私が叫び声を上げると同時に、目の前に咲夜さんが現われる。

姿なんて見えないのに一瞬、やっぱりなれないよ。

よくあることなんだけど…でも、時間を操る力凄く格好いい!

私も颯爽と現われてみたい…まぁ、無理なんだけど。


「しかし、人里から紅魔館までは1人で帰ってこれるのに

 何で館の内部では迷ってしまうわけ?」

「い、いえ、その…館だとちょっと何処がどうなってるか分からなくて」

「まぁ、紅魔館は私の能力で広くなってるから迷いやすいのは仕方ないかしら」

「え!? やっぱり咲夜さんの能力で広くなってるんですか!?」

「やっぱりとは奇妙なことを言うわね、普通は想像も出来ないと思うけど」

「えっと、四次元空間が時間の空間だから、咲夜さんの能力で広くしてるって

 迷ってるときに変な事を考えてまして」

「…ふーん、フィル、あなた案外頭良いの?」

「いえ、悪いです」

「じ、自分で言っちゃうのね、何の躊躇いなく」

「い、いやぁ、だって、そんな馬鹿な事を考えちゃってる地点で頭悪いかなぁって

 常識的に考えて、そんな事あり得ないのに」

「それがあり得るのが幻想郷よ。想像の外側、いえ、想像の中心かしら?

 あり得ないがあり得る。それが幻想郷、外の世界の常識があり得ないのよ」


えっと…幻想郷のことはよく分からないけど、つまりどういうことかな?

外の世界…多分、私の故郷で考えられないようなことが当たり前に起こるって事かな? 

うん、やっぱりそうだよね吸血鬼なんてあり得ないことだったし

ま、まぁ、私も半獣本来ならあり得ない存在かも知れないけど。

こう自分の耳と尻尾を軽く触ると、そう思う。


「まぁ、その話はいいわ、難しい話は人里の知識人に頼めばいい

 もしくはパチュリー様ね、私はそう言う事を話すのは得意では無いの。」

「あ、はい」

「さて、それじゃあ、さっさとお嬢様のお部屋に行きましょう

 案内してあげるわ、お嬢様を待たせるわけにはいかないからね」

「す、すみません…」


私は咲夜さんに案内されて、お嬢様のお部屋まで到着した。

うへぇ、やっぱり赤い扉だ、大きいなぁ。


「ここがお嬢様のお部屋よ、それじゃ、私は掃除に戻るから」

「あ、は、はい」

「失礼の無いようにね」

「は、はい!」


そう言い残して、咲夜さんは私の目の前から姿を消した。

…う、うぅ…よ、よし、あ、開けるぞ、この赤い扉を開けるぞ!

この先にはお嬢様がいる…こ、怖いけど大丈夫。

粗相をしないように…ゆっくりと扉を…あれ? 開かない?

あ、開かない! 押しても全然開かない! 何でぇ!?

ぐぐ、ぐぐぐぅ! あ、開かないぃ!


「あ、開かない…な、何で?」


私は混乱しながらも必死に扉を開けようと強く押し続けた。

しかし、開かない…扉は開く気配も無く、ギシギシと嫌な音が聞こえる。

こ、これ以上やったら壊れちゃうんじゃ無いかな?

と、焦っていると、目の前の扉がゆっくりと開いた。


「…フィル、一応言っておくわ、あなたの方向からなら引きなさい」

「へ!?」

「押して駄目なら引いてみろ、聞いたこと無いの?」

「あ!」


そ、そうだったんだ! この扉、引けば開くんだ!

何やっての! 私ぃ! 恥ずかしい! 恥ずかしいよぉ!


「しかし、まさか無理矢理押してこじ開けようとするとはね

 と言うか、あなた結構力あるのね、扉が少しヒビが入ったわ」

「す、すみません! すみません! ば、罰は何でも受けますからどうかぁ!」

「別に怒ってはないわ、扉なんてすぐ直せるし、しかし、面白いのねあなた」

「へ?」

「本当、いちいち行動が面白いわ、あなたを館に引き入れて正解ね」


お嬢様が私の方を向いて、少しだけ微笑んでくれた。

あれ? これは喜んだ方が良いのかな? 罰が無いなら喜んだ方が良いよね?


「まぁ、あがりなさい、話すことが多いから」

「は、はい!」


お嬢様のお部屋の中に入ると、後ろの赤い扉が閉まる。

当然なんだけど…な、何だか怖いなぁ。


「さてと、フィル、色々と話すこともあるから座りなさい」

「は、はい…」


部屋の奥にある大きな机と何個もある椅子。

お嬢様は当然1番奥の上座に座り、私は手前の下座に座った。

…何だろう、何のお話し? こ、怖いよぉ…怒られないかな?

怒られるようなこと沢山したし…本当に怖いよぉ…うぅ…

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