表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/154

パチュリーさんの見解

パチュリーさんに呼ばれて、私はパチュリーさんの元に移動した。

パチュリーさんは手に私のマフラーを持って、不思議そうな表情をしている。


「どうしました?」

「あぁ、来たの、いや、ちょっと不思議で」


何だろう、何か私のマフラーに変な物があったのかな?


「…何か、あったんですか?」

「いえ、だからこそ不思議なのよ」

「え?」

「能力を封じているのなら、呪術かと思ったのだけど

 何も気が付けないと言う事は、呪術の類いでは無い

 かといって、神聖な力も感じない…普通なのだけど

 何か感じる様な気はするのよね、もっと調べたいのだけど

 もし、仮にこのマフラーがあなたの力を封印してるとするなら

 あまり長期間私が持っているのは危険な気がしてね」


そう言って、パチュリーさんは私の首にマフラーを巻いてくれた。

結構適当な感じで、少し名残惜しそうにもしている。


「私の力を封印する道具なわけ無いじゃないですか

 そもそも、私にそんな力があるわけありませんよ」

「あなたは記憶が無いのに、無いとハッキリと言えるの?」

「い、いや、だって私、凄く弱いし」

「レミィから聞いてるわ、あなたの力は。あなた、空を飛べないのに

 フランとレミィの喧嘩に巻き込まれて無傷だったそうね。

 あの2人の喧嘩となると、相当な弾幕でしょう、

 更に巻き込まれたと言う事は2人の弾幕を同時に回避してるような物

 それなのに無傷、力が無いのにそんな芸当が出来ると思ってるの?」

「フランお嬢様とお嬢様は姉妹ですし、お互い手加減したんじゃ無いかと」

「あの2人が? するわけ無いわね、死ぬことがほぼ無い吸血鬼同士よ?

 手加減をする必要が無いわ」


う、うぅ…でも、自分に凄い力があるとは思えないんだけどなぁ。

私、凄くおっちょこちょいだし、忘れんぼだし…。


「だから、私はあなたに相当な実力があると睨んでる。

 その力を扱えないとなると、可能性は封印。

 で、あなたの着ている服で、そんな事が出来そうなのは

 恐らくマフラー、あるいは体に直接施されているかのどちらか

 でも、体に直接施されているとするなら、私は分かるでしょう

 だけど、あなたからそんな気配はない、マフラーからも…

 だから不思議なのよ、あなたの存在が、同時に興味深い。

 私は未知が好きなのよ、未知を私の中の当たり前にする瞬間

 それが素晴らしく好きなのよ、だから、あなたの力を必ず解き明かす。

 あなたも自分の記憶の手がかりになるかも知れない、悪い話じゃ無いでしょ?」

「は、はぁ…でも、私、何もお手伝いできませんよ?」

「大丈夫よ、課題みたいな物を私が用意して、あなたにはその課題を達成して貰う。

 そうすれば、あなたの得意分野も苦手も分かり、そこから手がかりを掴むことも

 もしかしたら出来るかも知れないしね」


えっと、つまりたまに出されるパチュリーさんの課題を達成していけば良いのかな?

どんな課題が出てくるのか分からないけど、パチュリーさんに協力して

自分の記憶が戻るきっかけになるなら、それも良いかも知れない。

…どんな課題が出るかは分からないけど、やってみようかな。


「…はい、わ、分かりました…でも、あまり無理難題は止めてくださいよ?」

「大丈夫よ、じゃあ、早速だけど課題よ、まずは学習能力を知りたいから

 そうね、この本を少し読んでみなさい」


パチュリーさんが渡してきたのは赤い本だった。

本を開いてみると、そこにはなんて書いてあるか読めない文字が。

でも、さっきのグリモワールだったかな? あれと同じ様な字だ。

それなら、そこから考えて、読むことが出来るかも知れない。


「まぁ、普通なら読めないでしょうし、これを」

「えっと、私は50年間、ある幻想を探していた」

「…え?」

「その幻想は魔法、あるはず無いと言われた幻想の力だった

 それを追い求めていた私だが、ついにその魔法の力にたどり着いた

 この書物に記される呪文、これを読めば、人によるかも知れないが

 音響魔法という言語で発動する魔法を扱うことが出来る。

 だが、恐らくその力は真にその力を信じることが出来る物のみしか発動できない

 魔法を発動するには、純粋さが必要なのだ、疑わない力が…」

「ちょ、ちょっと待ちなさい…何で読めるの?」

「え? あ、えっと、パチュリーさんに言われて本を読んでたときに

 偶然手に取った本の文字がこれと殆ど一緒でした

 ですから、そこから予想して、文を組み立てて読んでますけど…」

「…ど、どの本!?」

「パチュリー様、こちらです」


小悪魔さんが私が読んでいたグリモワールをパチュリーさんに手渡した。


「……まさか、それで? 発動は…したの?」

「あ、はい、ワンちゃんが出て来ました!」

「…犬の使い魔? そんな使い魔がいるとは知らなかったわ」

「恐らくですけど、フィルさんの力と似た使い魔がその犬だったんだと」

「もう一度呼んでみて頂戴」

「あ、はい」


私はさっき呼んだ言葉を思い出して、もう一度呪文を唱えた。

すると、もう一度さっきの子犬ちゃんが私の目の前に現われる。


「はい! 出来ました!」

「呪文を丸暗記…大した物ね、何回読んだの?」

「1回だけです」

「……末恐ろしいわ、ま、まぁ、それは良いとして、この子ね」


パチュリーさんは私が召喚したワンちゃんに手を伸ばし、少しだけ撫でた。

…それで何が分かったのか知らないけど、小さく頷いて納得した表情をする。


「狼ね、子供の狼、その思念体かしら、ただどうかしらね

 成長した姿なら、もっと力があったりするのかしら」

「え? 狼なんですか?」

「そうね、恐らく小悪魔の予想通り、あなたの力に似た感じでしょう

 ほら、もう既にあなたに懐いてるわ、普通はしばらくの間警戒するのに

 となると、大分力の性質が似ているのかしら、不思議な物ね」


その後、子犬ちゃんは姿を消した。


「…しかし、そうね、今回、あなたの計り知れない才能の片鱗を見たわ

 あなたの力が封印されているとして、もしもその封印が解けたりした時

 幻想郷の脅威にならないことを祈ってるわ」

「なりませんよ、私みたいなちっぽけなのが」

「…はぁ、でも、まぁ、1つ分かったわね、どうやらあなたは犬では無く狼

 そんな気はしてたけど、やっぱりそうだったのね」

「あはは、狼の方が何だか強そうですね、申し訳ないです」

「なんでよ、まぁ、良いわ、とりあえず次の課題を考えるから

 今日は戻って良いわよ」

「あ、はい」


私が図書館から出ると、咲夜さんが私の目の前に現われて

お嬢様が呼んでいると言う事を告げられた。

な、何だろう…何か粗相をしちゃったのかな? 

少し怖いけど、速く行かないと!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ