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月の襲撃者


「……ふーむ、間違って月に来ちゃったな」


「侵入者! 何だお前、その穢れ! 貴様、地上の!」


「やぁ、月人君。こんにちは、まぁ丁度良いかなって」


「穢れた妖怪め!」


「前に月に行ったとき、僕って君達の事、嫌になっちゃったからさ」


「な!」


「え? あれは…」


 


あの狼は…な、何? 初めて見た、この月にあんな狼は居たっけ。


 


「レイセン、侵入者が…もしかして、あれか?」


「よ、依姫様!」


 


狼の様な耳…あの服装も違和感がある。


幻想郷の妖怪だとは思うが…服装にかなりの違和感があるな。


いや、いつぞやの吸血鬼も特殊な服装だった、そんな物なのかも知れない。


 


「ふーん、まぁまぁ強いとか聞いた気がするけど、月人ってのも大した事無いかもね」


「げ、幻想郷の妖怪!? あんな実力者が居るなんて聞いてないわ!」


 


まさか、月の使者があの短期間で手も足も出せずに撃破されるとは!


玉兎の連中がすぐにやられるならまだしも、奴は玉兎では無い!


 


「やぁやぁ、中々に強そうなのが出て来たじゃ無いか、身なりも違うし」


「ひぃ!」


 


私を目の前にしているというのに、あの飄々とした態度…私の事を知らないのか?


あれほどの実力で、幻想郷から来たと言うのであれば私達の事は聞かされてるはず…


 


「その隣に居るのは玉兎かな? あの子ならもふもふしたいとか言うのかな?


 まぁ、人型の兎をもふもふしたいとは言わないか、純正の兎ならまだしも」


「貴様、ここが何処か分かって!」


「あぁ、おやつの上だろ? 何、ちょっと暇を潰しに来ただけだよ。


 時間をあげると言った手前、すぐに帰るのは何だか嘘を吐いた感じになるからね。


 なんて、本当はすぐに帰る予定だったけどね、ま、不時着しちゃったから暇を潰そうかなって」


 


何だこの狼…今までやって来た幻想郷の連中も自分の実力を過信している風だった。


今のこいつもそんな風ではあるが…しかし、奴が月の使者の1人を撃破したこと


それは紛れもない事実…ただの妖怪であれば撃破など不可能だ。


ならば、奴は幻想郷の中でもそれだけ上位の妖怪と言うことになるだろう。


だが、こんな奴は今まで見たことが無い…今まで起きた月面戦争では…


新参の妖怪が強いとは思えないし…だが良い。


所詮は幻想郷の妖怪。複数体なら多少は面倒だが、単体ならば敵では無い。


 


「ははは、剣を使うのか、槍でも持ってくれば? どっちでも意味ないけどね」


「すぐに黙らせてやる、あの吸血鬼共と同じ様に」


「吸血鬼? 僕の中での吸血鬼と言えば、レミリアお嬢様達だけだね」


「ほぅ、知り合いか。なら私の実力は聞いているだろう?


 手も足も出せなかったと」


「そう言えば、そんな事を言ってたような気がするね」


「ならば、結果がどうなるかは分かるだろう?」


「あぁ、明白だ、明白すぎて考えるのも馬鹿らしくなるくらいにね」


「なら、大人しく身を引くが良い!」


「身を引く? 何でさ」


 


彼女は自身の背に背負っていたリュックを放り投げる。


その動作を見た私はすぐに間合いを詰めて彼女を斬り付けた。


そんな大きな隙を私の前で見せるとは馬鹿な奴だ。


 


「な!」


 


あ、あの隙が多い動きの直後に私の攻撃をいとも容易く避けた!?


私が攻撃が当ったと一瞬誤解するほどにギリギリで!


 


「君程度がさ、僕に攻撃を当てられると思うの?


 例え隙が出来たところでさ、君の攻撃は届かないよ」


「ち!」


 


なら、あのメイドが避けられなかった、この弾の壁で!


 


「おっと、弾幕を撃つのか。でもこれは弾幕のルール的にどうなのかな?


 避ける空間が無い弾幕を飛ばすって弾幕ごっこじゃない気もするけど」


「これは避けられないだろう? 威力も十分だ」


「そうだね」


 


な! 私の弾幕を片手で押しのけた!


 


「まぁ、今は弾幕ごっこのルール上で戦ってないからね


 開幕でいきなり斬りかかってきたわけだし、ごっこじゃ無いでしょ?


 となると、これはマジの殺し合い。殺し合いにルールは無いからね。


 


 となるとただの攻撃でしょ。この程度じゃかすり傷も負わないけど。


 でもなぁ、ちょっとショックだなぁ、全然本気じゃ無いじゃん。


 もうちょっと殺意を持ってよ、その程度じゃ僕は倒せないよ?


 僕の暇つぶしにもならない」


「く!」


 


今まで攻めてきた妖怪達とは一線を画している…全く違う!


 


「しかし災難だね、月の都も。復讐の悪鬼に狙われたと思ったら


 今度は暇つぶしでやって来た僕に滅ぼされそうになってるんだろ?


 どれもこれも、君達の考え方に問題があるような気もしないでも無いけど


 僕が来たのは完全に不運だしね」


「依姫様!」


「おっと援軍、ねぇ、君達は僕の暇つぶしの相手になってくれるのかな?」


「お前達、これは不味いぞ、お前達は引いておけ! 玉兎程度がどうこう出来る相手じゃ無い」


「あ、相手は地上の妖怪! ほ、誇り高き玉兎として、引くわけには!」


「……あぁ、僕はその筒、結構嫌いなんだよ」


「何だ、銃が苦手なのか! なら降伏しろ! 当ると痛いんだぞ! それに沢山だぞ!」


「あぁ、誤解があるかも知れないけど、嫌いって言うのは苦手とは違うんだよ?


 苦手は弱点かも知れないけど、嫌いは怒りのポイントってだけだよ」


「う、撃て!」


「ま、待てお前達!」


 


玉兎達が同時に弾丸を発射した! 表情には焦りがあり、冷静な判断力が無い!


そもそも、私と戦えるほどの相手を玉兎が揃った程度でどうにか出来るはずがない!


 


「……ほら、意味が無い」


「う、嘘…弾丸を全部掴んだ!」


「こう言う場合、弾丸をそっちに返せば良いのかな? ほら!」


「ひぅ!」


「く!」


 


あの狼、躊躇いなく掴んだ弾丸をこちらに投げてきた!


私が弾丸を弾かなければ、玉兎達がやられていた!


 


「よ、依姫様…」


「…部下思いだね、まぁ無意味な行動でしか無いんだけど。


 焦りすぎだよ、僕が投げた弾丸の軌道、ちゃんと見てたほうが良かったんじゃないの?」


「何?」


「僕が投げた弾丸は全弾玉兎を狙っては無い。殺すつもりは無いからね」


「信じると?」


「信じなくて良いよ、僕が知ってれば良いだけの情報だしね」


 


こいつ…何が狙いなんだ!


 


「ほら、役立たずはさっさと撤退させた方が良いんじゃ無いの?


 少しだけ待ってあげるよ」


「…撤退しろ」


「は、はい!」


「だが、その行動は失敗だったな狼」


「ん?」


「依姫様の援護だ!」


「今度は月人が来たのか。まぁ、兎よりは強そうだし良いのかな?


 とは言え、所詮雑魚は雑魚。雑魚を揃えても意味ないよ?」


「地上の妖怪が増長するな!」


「増長してるのはどっちかな? 何、すぐに分かるよ」


 


人数で押しつぶせばきっと勝てるだろう。都の平和は侵させない!

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